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北野武監督「首」

自分が監督の映画で一番好きなのは「ソナチネ」だけど、このチョイスだとなんか通ぶってるっぽくて嫌だと思われるのは自意識過剰だよな。

……え? そもそも普通の映画好きは北野武を観ない?

( ゜д゜)


( ゜д゜ )〈ソウナノ?

タイトル・首

監督・北野武

公開日・2023年11月23日


あらすじ

 時は安土桃山時代。織田信長が天下を獲っていた時代、その配下にいる名だたる武将たちは下剋上を狙い、謀略を巡らせていた。そんな中、信長の家臣である荒木村重が謀反を起こす。その謀反から端を発する混乱は、巡り巡って「本能寺の変」へと繋がっていく……。


感想

 めちゃんこ面白かった。

 この世界に生きる人間は、だいたい20世紀か21世紀のどちらかで生まれたので映画の舞台となった16世紀末の現実を知らない。勿論、義務教育で習うし、ヤフーでググればウィキやら論文やらが出てきて、何が起きたかは分かる。でも、それが100%真実とは限らないし、歴史なんて自分が勉強していた内容と違うなんてザラだ。でも、この映画は現実の安土桃山時代って案外こんなもんなのかなという気になってくる。

 まぁ、真実は22世紀になって猫型子守りロボットにタイムマシンに乗っけてもらえば分かるだろう。

 その時まで、気長に生きよう。

 話を戻どすが、この映画で描かれる安土桃山時代は、カッコいい面をぶら下げたイケボの戦国武将共がレッツパーリィーしているわけでも、堺雅人が六銭紋の旗を振り回しているわけでも、渡辺謙が眼帯をして暴れているわけでもない。つまり、美化されていないのだ。

 「首」は、戦乱の世を生き残って大将になっているなら、こんくらいはクレバーだよなという解釈を物凄くいやらしく書いているのである。

 それは終盤の西島秀俊演ずる明智光秀が遠藤憲一演ずる荒木村重に言う、「俺たち侍の契りなんかより、天下というものはずーっと重いものなんだ。分かるか?」というセリフに凝縮されている。作中で光秀と荒木は衆道の契り……まぁ、肉体関係を結んでる。(史実だと光秀の娘が荒木の息子に嫁入りしてるらしい)謀反を起こしてお尋ね者になってる荒木を光秀は自分の城に匿ったり、裸でおねんねしたりもしている。しかも荒木は光秀にぞっこん。でも、悲しいけど、これって戦国時代なのよね。天下人の称号をその手にすべく、光秀は愛した荒木すら始末する。タイトルにもなっている「首」は、そんな天下人への確実なチケットなのだ。

 ……でも、首ってのはあくまでも()()()()()()()()()を示す証拠物件なだけで、確実に死んだことが分かればなんでもいいんですよね。

 ラストの豊臣秀吉もとい、ビートたけし(北野武)の言葉が身に染みる。

「首なんて、どうでもいいんだよ!」


好きというか、気になった登場人物

徳川家康

 静岡県民として、家康の動向は見逃せなかったので滅茶苦茶注目してました。静岡の地では、銅像にされていたり、ウナギを尻から生やしたマスコットとして扱われているおっさん。ウチの母にとっては学生時代、「江戸城を建てたのは?」というテスト問題に「宮大工」と回答したら、父(自分からすると祖父)の怒りを買わせた憎き人物で、他の人は「織田がつき、羽柴がこねし、天下餅 座して喰らうは徳川」という狂歌が頭が浮かぶかもしれない。そんな掴みどころのないキャラを持つ家康ですが、今作では腹黒タヌキとして描かれておりました。

 色んなヤツが右往左往する中でヘラヘラと高みの見物を決め込み、何人も影武者を用意して殺されないようにして、作中で描かれはしないものの最終的には天下統一しちゃうんだから、食えない奴ですよホント。

 そんでもって、役者がいい。小林薫氏。自分にとっては「深夜食堂」のマスター役が印象強い。マスターはいつも飄々として、冷や飯食いのホストにアジフライをタダで食わせてやったり、どこぞの古物商に似たヤクザに物怖じせずタコさんウインナーを作ってやろうかと持ち掛けたり、それでいて人情味のある男ですが、そんなイメージが一気に吹き飛ぶ役柄でしたな。

 ……まぁ、役者ってそういうもんだけど。


まとめ

 北野武プロデュース、過度な美化なし、グロテスクでバイオレンスな血みどろ戦国時代活劇。

 サブスクにあるから、時間が有り余ってしょうがない人は観てほしい。

 ……二時間強あったからな。

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