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第十四話 もう隠さない

陸上部が練習しているグラウンドの近くに着いた樹は思っていたよりも状況が悪い事に気づいてしまった。

「ねぇあれって」「きたきた」「これまでどんな気持ちだったのかなぁ」

遠くで仁美のことをみながらひそひそ話している姿が見える。

この様子だといろいろ言われる対象が奏から仁美に代わっただけのように見える。


「そりゃこんな状況で部活には参加したくないよな」

「別に参加する気ではいたわよ?」

「いやあんなところにうずくまって泣きそうだったでしょ?」

メンタルが強くて部活に参加しようとしている人間が絶対に校舎裏にうずくまっているわけない。

ただ不思議なことに仁美の周りは赤く光らなかった。


「全然泣きそうじゃなかったわよ!いろいろ考えてて疲れてただけで」

「でも部活出ずに校舎裏でしょ?」

「動画の件で教師に呼び出されたのよ。どうせ部活に遅れるなら静かな場所で考え事した方が効率いいじゃない」

「なるほどね。藤崎もだけどそこまでメンタルが強すぎると普通に怖いな」

嘘が分かる程度で人と関わるのが怖くなった樹からすると考えられないぐらいにメンタルが強い。

陰口ぐらいでひるんでいたら、嘘つきながら生活出来ないのだろう。


「じゃあとりあえず今そこで私たちを見てた子たち捕まえるわよ」

そういうと仁美はすごい速度でさっきまで仁美たちを見ていた三人組に駆け寄っていった。

能力を使っているのかいないのか樹の目からは全くわからない。

これまで陸上部全員をだまし通せていたのもよくわかる調節の仕方だ。


「この世界に俺さえいなかったらすごい安定した生活を送れてたんだろうな……」

「なにぶつぶつ言ってんの?連れてきたわよ」

帰ってきた仁美のうしろには気まずそうに三人組がついてきていた。

この三人だってまさか走ってきてよく知らない男のもとに連れてこられるとは思ってなかっただろう。


「じゃあ今からいくつか質問するから、うそをつかずに答えなさい」

もう一度バレたから元の丁寧で優しそうな言い方をするつもりは全くないようだ。


「まず、匿名で投稿されていた動画をみたわよね?」

三人ともが目を伏せ気まずそうにしている。

それを見て仁美が一人の顎を上げ、いわゆるあごくいの形で見つめる。


「ちゃんと答えなさい?」

「はっはい!見ました。多分部活の人たちはみんな!」

顔だけはいい仁美に見つめられて一人の部員は顔を真っ赤にしながら答えた。

いっさい変化がなく、樹は無言でうなずいた。

あまりうそが分かることを周りにバレたくないからだ。


「わかったわ。じゃああれを盗撮か投稿した人に心当たりはある?」

「ありません!」「わたしも」「知らないなぁ」

また樹は無言でうなずいた。


「わかったわありがとう。次は本人にバレないところで悪口を言うことね」

「すっすいませんでした!」

そう謝りながら三人組は去っていった。


「いろいろ言ってる子たちが怪しいと思ったけど違うものね」

「逆なんじゃないか?わざわざ仲間内で見せないで、QRコードを置いて動画投稿なんてするやつなんて一人ぼっちのやつなんじゃないか?」

周りくどいことをやる人間が分かり易く陰口を言うとは思えない。

なんならこのまま雲隠れするのが一番リスクが少ない


「なんかいないのか?一ノ瀬の周りにいる奴で一人でいがちとか、話しかけてくるときは必ず一人で来るとか」

「そうねぇ……。いたわ!奏と仲の良かった子!」

「なんか最初に藤崎と対立した奴か」

「あら、知ってるのね。なんか私に対する熱意が高すぎて少し浮いてるのよね」

奏の話を聞く限りでも嫌がらせの原因になってそうではあった。


「あの時部室にたむろしてた中にはいたのか?」

「いや……多分いなかったわね。でも奏を目の敵してるのならあんた達が人払いをしたのを見て扉の前に張り付いて盗み聞きしてたっておかしくないわ」

「めちゃくちゃ怪しいじゃんそいつ。なんで真っ先に言わないんだ」

「うるさいわねぇ。心当たりってだけで違うなら総当たりで探すんだからいいでしょ」

「一ノ瀬、お前俺が善意で付き合ってるってことは覚えてるよね?効率的に行こうよ」

「はいはいだから今から連絡するわよ」

そう言うと仁美はスマホで例の部員に連絡を取り始めた。

いろいろ雑な扱いをしているがすぐに連絡が取れる以上名前とかはしっかり把握しているようだ。

返信が来ないのか、じれったくなったのか仁美は直接電話をし始めた。


「もしもし?急いで部室に来なさい。話があるの。じゃあ」

「おい、どんだけ雑な呼び出しだよ。予定があったらどうすんだよ」

「私の呼び出しよ?来ないわけないじゃない。しかもやった本人なら来ない選択って怪しくなっちゃうからしなくない?」

仁美はいたずらっぽい笑みを浮かべた。


「あんたは部室のロッカーにでも隠れてなさい。変に警戒されると困るわ」

「え?」

女子陸上部のロッカーの中にこもる変態になることが決まった。



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