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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第九章 聖者と愚者は紙一重

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第84話

「イリステラさん、俺、隊長に殺されませんかね」


「大丈夫よ、私が言い出したんだし」


「でも隊長は知らないんですよね」


「大丈夫大丈夫」


 心配そうにするヒューゴーとヒルデを前に、私は安心させるように微笑んで見せた。


 そう、今回の件……アドルフさんは知らない。知っていたら許すはずがない。

 わざと敵の策に乗ってそこから打破していくってのは戦略として一般的なことではあると思うけど、あの人は自分以外(・・・・)が危険な目に遭うことをよしとしていない。


 戦争をしていて、前線に投じられることの多い部隊の隊長としてそれはどうなのかって思われるかもしれないけど……被害が最小限に抑えられるからとかそういう理由がない限りそういった策は選択しないし、なんだったらやるなら自分が囮になるってタイプだ。

 部下思いで最高じゃない? ここ推しポイントね!!


(私が裁縫や絵みたいにクリエイティブなことが得意だったなら推しぬいとかブロマイド作っちゃうのに……!!)


 アドルフさんのぬいとか絶対需要あるでしょ。主に私に。

 前世では札束積んでハンクラ得意な友だちに頼んで作ってもらったもの。


 ええ、ええ、公式がアドルフさんグッズ作ってくれなかったからさ……自分でなんとかするしかないじゃん……!!

 ちなみに自作もチャレンジはしてみたことあるよ。

 結果は聞くな。

 

 でも今は寝室も一緒だしぬいを抱きしめて寝るとかできないし、裁縫上手っていえばマヌエラだから協力は求められるとは思うけど……ぬいぐるみは子どものもの! っていう風潮の中で欲しがったらあれじゃん、聖女の威厳なくなっちゃうじゃん……。


 ましてや本人と一緒に暮らして夫婦にまでなっているというのにぬいを欲しがるのはどうなの? って言われちゃいそうなんだよなあ。

 違うんだよ、ぬいはぬいでいいっていうか推しを愛でるのに本人を推すのは当然のこと、それ以外にも常に推しを感じていたいわけで……!!


(ハッ……でもこれをきっかけにぬい文化が生まれて世界に推し活を広めるチャンスでは……!?)


 これは国に戻った際、アニータ様に相談しなくては!!


 あの方ならばきっと理解してくれる。

 推しとか推し活って言われても困っちゃうだろうけど、応援したい人たちのためにできることとかなんとかやんわりとしたニュアンスで伝えたらいいんだよ私ったら頭いい~!!


 まあそれもこれも無事に今件を終えて……ってことだよね。


(今頃王城ではアドルフさんにどんなアプローチを仕掛けてきてるんだろ……)


 無難なところは夫婦揃って好待遇で迎えるから是非我が国に! ってところかな。

 次いで両国の架け橋として、やはりこちらも好待遇で迎えるから……とかなんとかかんとか。


 あとは超美人とかを差し出して愛人にどうぞっていう懐柔方法も考えられるけど、それはアドルフさんには効かないと思う。

 ただ心配なのはエミリアさんとダンさん夫妻を人質めいた方法で使ってくる可能性。

 それから、亡命したという人々を使って同情を引く作戦。


 基本的に真面目で優しい人だから、そちらは効く気がする。

 それでも感情にながされず理性で行動してくれるであろうと信じているので、アドルフさんは突っぱねるに違いない。


 だけどさ、心にダメージを負うかもしれないってことでしょ?

 私の大事な大事な推しの心に傷をつけてくるかもしれないってことじゃない!


(そんなの絶対許せないでしょ)


 馬車に揺られた先がどこに行き着くのかはわからないけれど、ヒューバートとヒルデのことを守りつつ彼らの〝主人公〟としての潜在能力に期待している。

 マヌエラとカレンが私たちの行方を密かに追ってくれているはずだから、それを後はいいように使えればこちらにとっても有利な切り札を手に入れることになるだろう。


(って基本的にはヘルマンが立てた作戦だけどね……後は私の応用力が試される)


 告げられたのは、とある支援団体に名を連ねている下位貴族の一人だ。

 慈善家として有名との話だけれどどこまで真実かはわからない。


 内密な話(・・・・)と言われているし『身の安全は保証する』なんて不穏な台詞付き、普通に考えたらついていっちゃいけない案件よ?

 あちらも何を考えているのやらね!!


 そう思ったところで到着した先は、森の中にある古びた洋館だった。

 手入れはキチンとされているのか中は綺麗だ。


 ただ、そこにいる使用人たちは人数こそ少ないものの身のこなしが軍人のそれ。

 すっかり包囲されたなと思いながらも私は笑みを絶やさない。

 だって聖女ですからね!


「ようこそおいでくださった、聖女殿」


「お招きありがとうございます、聖女のイリステラと申します。お名前を伺っても?」


「ああ、ご挨拶が遅れまして」


 柔和な笑みを浮かべた初老の男性が、私を前に一礼した。

 笑みも態度も柔らかく、甘やかなのに――その目はどこまでも、冷たい。


「わたしの名はグリゴア。グリゴア・スリコフと申します」


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