表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第八章 うるわしの せいじょさま

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

90/195

第80話

 私の……というか聖女の秘術で魂を救う、さすがにその説明はしなかったものの、普通の治癒とは何かが違う、それはあちらも肌で感じたことだろう。

 正直私からするとやっていることは同じだ。


 治癒する時も怪我をする人を前にその癒やしの力を行使する。

 魂を治癒する時だって、相手に触れてその魂に治癒の力を伸ばすだけだ。

 そこにあるのは目に見えるか見えないかって問題だね。


(でもアドルフさんの治癒をする時はあんなにすんなりできたのにな……)


 わずかに震える自分の手を見下ろして、つくづくこの能力は燃費が悪いと思わざるを得ない。

 私の気持ちが魂への治癒について、その力の反動具合を左右しているのだろう。

 そんなことを過去の聖女たちも言っていたようだしね!

 だからこそ、心を通わさないで奉仕だけを求められた聖女たちの治癒は大した結果も残せず、危機に瀕したっていう事実が残っているわけで……。


 ちなみにエミリアさんを一番最後にしたのはちゃんと理由がある。

 別に彼女に思うところがあって……とかそういう私情ではなくてね、正気を取り戻した直後に罵倒されたりするとこの場では問題行動でしかないし、何よりこの三人の女性の中でエミリアさんが一番状態が悪かったのだ。

 一番最初に重たい症状の人を治療して、果たして現状の私に残りの二人を治療できる余力があるか? となると少しばかり自信がない。


 いくら魔力のやりくりに長けていて、調整が得意とはいえ自身の体のことは自分がよく知っている。

 実際、一人目、二人目と微調整をしながら治療をしたところでエミリアさんの治療を終えた時には疲労困憊(こんぱい)だったわけだし。


(先にエミリアさんを治療してたら途中でダウンしてたかも)


 まあ意識がはっきりした彼女は私の姿を認めた途端に飛びかかってきそうになって兵士に取り押さえられてしまったのだけれどね。

 とりあえず私の顔色が酷いことと、実際に治療をしてみせたこと、三人治療しただけで息も絶え絶えという風情になった私の様子を見てその場は解散となった。

 リンドーンとしてもいろいろと考えたいのだろう。


(……まあアニータ様だったら、もうちょい人数いけたもしれないけど)


 私が最弱の聖女であることを明かす必要はないからね、最弱でも要領よくやれば三人はいけるし……それこそ秘密を明かしていくならば、聖女の誰かを嫁がせて婚姻相手をアンテナ代わりに治療の範囲を広めたらいいと思う。

 問題はそこに利権だとか、聖女を心から愛せるのかとか、そういった事柄があるって点だけれど。


(それに聖女の秘密に関しては明かしていかないだろうな……貴族たちの沽券がどうとか言われそう)


 偽の聖女問題や、これまでの人権問題……私が考えるべき点ではないけれど、頭が痛い問題に違いない。

 さぞやゲオルグ陛下は頭を痛めていることだろう。ざまあみろ。


「……無理はしないと言っただろう、イリステラ」


(ごめんね、もうちょっと上手くやれると思ったんですよ)


 私を気遣うアドルフさんの声に、ぼんやりする頭の中で返事をする。

 瞼は重くて開けられないし、口も動かすのが凄く億劫で仕方ない。


 しんどくてたまらないのに聖女としての役割を果たせたことに私はひどく満足している自分に気付いて、おかしくてたまらなかった。

 アドルフさんのためだけに聖女として成り上がったつもりでいたし、今もその気持ちはある。


 だけど、私はやっぱり〝聖女〟でもあったんだなあって。


「イリステラ」


 私の名前を呼ぶその声にただ身を委ねる。

 アドルフさんの腕の中が、今の私にとって最も安心できる場所だから。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ