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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第八章 うるわしの せいじょさま

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第77話

「一度、この場を休憩としてまた一時間ほど後に再開する」

 

 どれだけ話しても平行線。

 本人たちを連れてくるでもなく、ただただ人権を訴える人々を前に鼻を鳴らすだけのヘルマンという構図に議長からそう声が上がる。

 

 といっても、おそらくは国王がそう指示したのだろうけれども。

 ぞろぞろと退出を促されて先ほどまで人権がと声高に叫んでいた貴族たちが退出したところで、私たちは別室に招かれた。


 そこには国王と宰相(名前は忘れた)と、第一王子の姿。

 そして彼らを守るようにスリコフ将軍が立っている。


 美味しそうなお茶とお茶菓子が用意された席に招かれた私たちは静かにそれに従った。

 スリコフ将軍は立ったままだけどね!

 

「さて……ジルツェン殿、ミュラー殿。この際、うわべだけのやりとりは取っ払い直接的なことを言わせていただこう」


 国王が開口一番、ものすごい剛速球を投げてきて思わず私は目を瞬かせる。

 ヘルマンはさすがというか微動だにしないし、アドルフさんは……うん、いつも通りで素敵!!


(いやいやそうじゃなくて)


 私が驚いたことは察されたと思うけども、とりあえずにこりと笑う。

 焦って醜態をさらすなんてことはアドルフさんの手前許されねえよ!!


 推しにかっこ悪いところもみっともないところも見せたくないし、ここで私がそんな醜態をさらしたらそれはそれで聖女としても立場がないっていうか……。

 私がそんなだと『これだから平民上がりは』だとか『こんな聖女が属しているなんて第五部隊っていうのも程度がしれる……』なんて難癖つけられると思うとね!

 やってられるかって話なのよね!!


 いや私が言われる分にはいいのよ、実際聖女としてはよく聖女になれたなレベルであることは自覚しているし。

 その分、努力してきたってことは自慢だけど……あの事件以降衰えたままなのも事実。

 そういう意味では聖女に今も名を連ねていていいのか? って常々思ってはいるんだけども。


 でもそれとこれとは話が別!

 推しと箱推しのみんなに迷惑がかかるのだけは絶対に許せない、略して絶許!!


「……ヘルマンから聖女殿のお言葉、確かに受け取っておる。それを前提に、今から三人の女性をこの場に招く故、聖女殿の知見をお聞かせ願いたい」


「それはどのような意図ですかな? 我が国の聖女を使役しようとなさるそのお心を伺わねば、当方としてもそれを安易に許可はできかねます」


「聖女殿は神官か否か、見ればわかると事前にそちらの国から回答をもらっている。ただし、この場にいる余の信頼が置ける人間にしか話しておらぬ。だが、それが真か確かめずに鵜呑みにするわけにはいかん」


「なるほど。……どうだ、ミュラー夫人。できるか?」


「それは勿論」


 聖力と呼ばれる治癒力と、獣化する魂かどうか、それを見抜く目は幸いまだ衰えていない。

 これもいつかは消えていく能力ではあるから惜しくもなんともないけども。


 私の言葉に頷いた王が重々しく手を振ると、兵士に連れられた女性が三人。

 いずれも顔色が悪く、震えている。


 でも私は少しだけ言葉を失い……そして、そのうちの一人の女性を指さして将軍をにらみつけてやった。

 スリコフ将軍はしれっとしたものだったし、私の態度に驚きもしないところを見るとわかっていてやったんだろう。


「彼女を連れてきた意図を、ご説明願います!」


 そうだ。説明しろ。

 なんでここに――エミリアさん(・・・・・・)がいるのか。

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