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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第七章 かわいそうな せいじょさま

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第70話

 いろいろと考えることができた。

 そう私たちに告げたスリコフ将軍はさっさと下がってしまい、その際に私たち夫婦が面会するのに特に規制はかけたつもりはなかった、と謝られた。


 いやそれもっと早く言ってくれないかな?

 まあ周囲にいた侍女さんたちがビクッて肩を震わせていたので、どうやら本当に彼女たちの独断と偏見に基づいた行動だったようだけど。


 あれが善意だっていうからタチが悪いんだよなあ。

 なんだよなんだよ、確かに始まりは(私の一方的な)結婚だったけどさ!


 見ろようちの旦那様、我が最愛の推しを!

 男らしくてかっこいい、おたくんとこの将軍だって一目置くような強さを持っていながらそれを誇示するでもなく寡黙に任務をこなしちゃうのに家庭では想いを交わす前から良き夫として常に妻である私を気遣い優しく接してくれる最高の旦那様だぞう!?


 可哀想って言われるなら、そりゃアドルフさんの方だっての!!


 私みたいに体格も能力も貧弱で根性と推しへの愛だけでここにいる人間ですみません。

 いや卑下しているつもりではなくて、冷静に判断してそう思えるからしゃーない。


「それで?」


「はい?」


 スリコフ将軍がいなくなったので、私はアドルフさんのお部屋にお邪魔させてもらったんだけど……いやあ、相変わらず生活感が感じられないな?

 ちゃんと寝泊まりはしているはずなんだけどな……?


 そして何故部屋に入った途端にベッドに座ったアドルフさんのお膝に座らされているのだろうか。

 当たり前のように座っちゃったけども!


「この結婚には双方の意思が確認されるんだったか?」


「あ、あー、あー。そうですね、そうらしいですね」


「……俺は一つも確認された覚えがなく、あの場で唐突にお前に求婚されたはずだが?」


「ア、アレー? ナンデデスカ、ネエ?」


 うん、まああれだよそれはゲオルグ陛下と私との間で交わされた取引の結果っていうかね!

 あの当時は〝不倫される不幸〟がルート上にあったアドルフさんを救うために、まず私が妻の座を得てその間に戦争を終結させようという計画だったわけで。

 基本的に聖女からの申し込みに拒否権がないとはいえ、その双方の確認で本人がどうしても、どうしても、断固拒否だ! って言えば一応拒否する権利は与えられているのだ。


 で、当時の私にはアドルフさん以外を伴侶に……っていう提案もされていた。

 その相手は今回第一部隊で外交官として随従しているメンバーの中にいたりする。

 ちなみに会話をしたことはない。ゲオルグ陛下の腹心の一人だよ!

 

 ただ、あのゲームでのストーリーを考えたらどうあってもアドルフさんを幼馴染みのエミリアさんと結婚させるわけにはいかなかった。

 当時の私はそれしか考えていなかったと思う。


 一応獣神部隊の人間は許可なく結婚できないって形になっているので、あのゲームではどうやって結婚に至ったんだ? とは疑問が残るところではあるけれど……とにかく、まずはそうならないことだけを考えた結果。


 有無を言わさず結婚しちゃえばいいんじゃない?

 ってことに落ち着いたわけですよ。


(今思えば申し訳ないよね……!!)


 断られるわけにはいかなかったんだよ。

 どうしても推しを救いたい、その一心で動いていたからさ……とはいえそれはあくまで私の都合だったもんね。


「……他の人とは、考えられなくて」


 推しを非業の結婚から救うためには他の人と結婚なんてしてらんねえ!

 なんて言うとかなりいろいろつっこみどころしかないのでそれっぽく答える。


「そうか」


「すみません……」


「いや。そうだな。当時の俺はきっと家庭を持つことなど考えられなかったから、聞かれていたら固辞していたかもしれない。結果としてお前が俺の妻になってくれてこうして幸せを教えてくれているのだから、聞かれなくて良かったんだ」


「アドルフさん……!!」


 さすが私の推し! なんて優しいの……はあ、尊い。

 思わず振り返って尊敬のまなざしを向けるとそっと微笑む姿がまあなんて素敵なのかと。


 これ小一時間どころか数時間語る自信あるわ。

 とりあえず私からは推しに触れるなんて恐れ多いので、アドルフさんが満足するまでぬいぐるみよろしく抱っこされるのであった。


 はあ、うちの推し、可愛い。


(……それにしても、スリコフ将軍の母親とは面会できるのかな。他の亡命者(・・・)たちに関しても調べたいところだなあ)


 彼らを盾に、保護したという人々が何を企てているのか。

 それを探るためにもやはりスリコフ将軍が鍵か。


 私はそれを思って、ああ面倒くさいと思うのだった。


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