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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第七章 かわいそうな せいじょさま

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第64話

「あ、あの、聖女様……いかがいたしましたでしょうか。お散歩でしたら庭園の花が見頃でして」


「ええ。ですから夫と見たいと思いまして。今の時間でしたら男性たちは各々割り当てられたお部屋に戻っているのでしょう?」


「さ、さようですが……その、女性が男性の元を訪ねるのは我が国ではあまり褒められた行動では」


「ええ。ですから私は」


 私の前に立ち塞がる侍女さんたちを前ににっこり聖女スマイルだ!

 

 いやあもうね、その下り何回やったと思ってんの?

 初日から毎日庭園へ……って言われて最初のうちは確かに揉め事起こすわけにもいかないからって諦めて行きもしたけどさあ。


 確かに綺麗な花が咲いていると思うけど、それでも毎回花だの噴水だの庭園に行かせるのはいかがなものかと思うよ……。


 相手を慮っておとなしくしていたけどさあ、その『男女がどうたら』って発言も本当にもううんざり。

 だってこの国の人間じゃないし。

 そもそも不純異性交遊とかじゃなくて、アドルフさんと私は国家が! 認めた! 正式な夫婦なんだぞ!?


(アドルフさんが私不足って言ってくれるのも可愛くて嬉しいけど、私も推し不足が深刻なんだよなあ!)


 これは深刻な問題ですよ、もう最重要と言えるだろう。


 かつて遠くから推しを眺めその幸せを祈る日々だった頃とは訳が違うんですよ。

 共に暮らし推しの生活を傍で支え、なんだったら衣食住全てにおいて私が手を出し労われる時のあの気持ち!


 それがここでは味わえないのよ!!

 もーそれって最悪でしょ!!


 仕事だと思って我慢してるけどさあ、せめてそれなら夫婦として同室にできないならそこは配慮して自由に行き来くらい許す度量を見せようって思わないのかしら。


「最愛の夫と、花を、見たいと、思いまして」


 強調するように、ゆっくりと笑顔でそう告げれば彼女たちも顔をひきつらせる。

 やだなあ、怖がらせたい訳じゃないんですよ。


 ただ推しが足りない。

 それだけなんでね!


「よろしいでしょうか?」


「は、はいぃ~……」


「ありがとうございます」


 おっしゃ! 推しへの愛で勝った!!

 今行くよアドルフさん……!!


 内心ガッツポーズを決めて踏み出そうとしたところで、私は足を止める。

 前から歩いてくる人物の姿に、思わず眉間にしわが寄りそうになるのをぐっと堪えた。


「これは聖女殿。初日のご挨拶以来、ご無沙汰しております」


「……スリコフ将軍、お役目ご苦労様にございます。大変お忙しい様子ですし、どうぞお構いなく」


「優しいお言葉に感謝を。それで、どちらに行かれるのですか?」


「夫に会いに」


 もうゲームのストーリーも何もわかんない、手探りだ。

 登場人物だってことくらいしかわかんない以上、私が無駄に頭を働かせたところでどうなるとは思わない。


 せいぜい、聖女について……が鍵かとは思うけど、それだってゲオルグ陛下から秘密裏に指令を出されているからって外に出られないんじゃたいしたことは調べられないっていうか……とりあえずこちらの国の人には随分と哀れまれてるってことくらいだろうか?


 本来ならハニートラップでも何でもいいから私が興味を持たれていることを利用して、このスリコフ将軍と話をしてみる……ってのも手なんだけど。

 

(腹芸は、苦手なんだよなあ)


 かといってヒルデは私以上に経験が少ないし、聖女候補に名を連ねているとはいえ今のところまだただの神官だ。

 彼女に押しつけるようなことはしたくない。


 たとえ、元ゲーム主人公だったとしてもだ!


「ほほう、ミュラー将軍に。なるほど……では私も同行するといたしましょう」


「えっ」


「何、仇敵だなどと周囲には言われがちではありますが、私も彼とは一度ゆっくりと話をしてみたかったのです。なかなかに寡黙な御仁ゆえ、ミュラー夫人(・・・・・・)がご一緒してくださるのであれば話もしやすいでしょう」


 にやりと笑うその姿。

 どうやらアドルフさんか私か、どちらかがしびれを切らすのを待っていたってところだろうか?


 ふむう、そういうことなら受けて立ってやろうじゃないか!

 私は再び聖女スマイルを貼り付ける。


「まあ、ではそういたしましょうか!」


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