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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第七章 かわいそうな せいじょさま

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第63話

 とりあえずマヌエラ、カレンに動いてもらってわかったのはやっぱり私のことをこちらの国の人間が『可哀想』と思っているってことだった。


 そんで何が可哀想なのか? ってのを探ってみてもらったところ、なんだかおかしなことが発覚したのである。

 何がおかしいってそりゃあなた。


 曰く、聖女は無理矢理男性と関係を持たされる。

 それはもはや暴力と大差なく、彼女たちには自由というものが与えられておらず、教会は彼女たちを洗脳していた。


 曰く、獣化を状態化した戦士たちはその本能こそが獣であり危険である。

 故に獣神部隊で活躍した第五部隊の中でも隊長のアドルフ・ミュラーは危険人物である。


 ということらしい。

 それはこちらの国での教義とか、そういった思想などからも色濃く影響を受けているのだろうけれど……いやいや、待て待て?


(まあわからないでもない。わからないでもないけど……)


 アドルフさんはかっこいいじゃろがい!!

 どっからどう見ても魅力の塊! そんでもって紳士!!

 私に対しても妻に敬意を払いつつ愛情表現を欠かさず、他の人には見せないあの優しい微笑みと目線を常に送ってくれるところとかどう考えたって推せるだろ。


(っていうか推せるポイントしかないじゃん!!)


 おかしい。

 いくら教義がどうの、こっちの国では信仰が重視されるとかはあってもよそ様の夫婦関係に文句つけるのよくない! よくないよ!!


 少なくとも私はアドルフさんの妻になれてサイコーに嬉しいんだからさ。

 何が中身が獣……いや、確かに戦場で獣化した姿を見た敵はそりゃ恐ろしい思いをしただろうけども、味方からしてみたらアドルフさんは最高のヒーローなんだよ。


 獣化だって、彼の後ろにいる人たちをただ守るために、その手段として用いていただけで……本人はボロボロになりながら、それでもただ前を見据えて戦ったのに。


(ところ変われば視点も変わる。それは仕方ない)


 だけどその価値観を、私に押しつけないでほしい。


 私にとって、アドルフ・ミュラーという人間は、誰よりも尊い存在なのだ。

 それをそんな風に言って、挙げ句に私を哀れもうなんてどこまで行ってもお門違いな話ではないか!


「……ってことは、まずアドルフさんと私が仲良し夫婦であることを見せつける必要がある……?」


「早速別室に追いやられてろくに二人でいられない状態で隊長のメンタルめっちゃ大変みたいだけど?」


「不機嫌すぎてこちらの国の方々には怖がられているみたいで悪循環ですね」


「隊長にはイリステラさんが必要なのに、引き離すからいけないんですよ……」


 うん、なんか結局そこに落ち着いちゃうんだよな……。

 私たち夫婦が観察? 監視? の対象だからそういう措置になるんだろうけど、いい加減王城に行った連中とも連絡を取りたいところだし、スリコフ将軍にここは直接交渉しにいくべきだろうか。


 だとしても私じゃなくてそれをやるのは立場的に言えばやはりアドルフさんになるわけだけども。


 アドルフさんならきっと一言わかったと理解を示してくれる。

 でもどうせだったら一緒に行きたいな。


「よし、メイドさんたち突破してちょっくらアドルフさんのところに行ってくる!」


「わはー。さっすがイリステラ。見た目と違って行動派ぁ」


「見た目と違うってなに!?」


「ちっちゃくて気弱そう」


「……カレンが大きいだけだからね?」


 かつての私なら戦場で鍛えられた逃げ足を使ってメイドさんたちを撒くくらいできたと思うけど、今はかなり厳しいしなあ。

 それに駆けずり回ったら聖女の品格をなんだと思ってるんだって戻った時にゲオルグ陛下から説教されそうだからそれも一応したくはない。


 だから堂々、正面突破しかないよね! やっぱね!!

 

「それじゃあイリステラは隊長んとこ行かなくちゃいけないなら、あたしたちが手伝わなきゃねえ」


「そうですね、こういう時は物量です」

 

「なんだかヒロインを助けに行くヒーローみたいですね!」


 ヒルデがわくわくした顔でそう言うのをカレンとマヌエラが微笑ましそうに見ていたけど、あれ? それって普通逆じゃないかな……?

 

 アドルフさんが! いつだって私のヒーローだよ!!


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