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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第六章 ようこそいらっしゃいませんでした!

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第57話

 さて、出発の日。

 特に何か遠征式みたいに派手なことはないものの、服装だけは綺麗にしておけという、国王陛下のご配慮により私たちはパリッとした新品の制服を与えられてそれに身を包み王都を後にした。


 一応国家としての代表だしね!


 しかも代表団? に選ばれた私たちは新品の制服だけじゃなくて、これ以外にも新品の礼服も与えられたんだぜぇ……税金の無駄遣いでは……?

 だって確かに代表団の一員だけど、メインメンバーではないんだから礼服じゃなくてこの新品の制服で十分だと私は思うんですよ……思うんですよ!


 なんかよくわかんない難しい話し合いについては第一部隊の、国王陛下の腹心な人だし?

 後は外交官たちがなんか頑張るって話だし?


 端っこで大人しく立って国の威信がどうたらってだけなら、軍の服……つっても私は聖女用のやつだけど、それで十分だと思うんだよなあ。

 何が悲しゅうてその後開かれるっていうパーティーの準備まで持って行かなければならないのやら。


 そういうとこにお金使ってる場合じゃないんだぞと言いたいがまあアチラの国では余裕があるってところを見せつけてんだろうなあ。


(いや、アドルフさんの礼服姿!)


 やばいぞ、その魅力が尊すぎてあちらのレディーたちが卒倒しちゃうかも。

 ファンクラブもできちゃうかもしれない。


 推しがみんなに愛されるのはとても喜ばしい事態だけど、推しが不快にならない距離を保ってもらわねば。


「……アドルフさん、あっちの国に行って嫌なことがあったらいつでも言ってくれていいんですからね」


「どうした、急に」


「いいえ、私もできる限りのことはしたいと思いますので!」


 にっこり聖女スマイル。


 そう、戦うことは元々専門分野じゃないし。

 戦争が終わった今、最近じゃ治癒能力もそう使うこともないし。


 まるで怪我をしないってわけじゃなくて、治癒能力を使うほどじゃないってみんなが遠慮してるっていうか……。

 それにヒルデがいてくれるから、彼女の訓練という名で私に順番が回ってこないだけってのもあるんだけどね。


 彼女の方が技術は未熟でも潜在能力はピカイチなんでね。

 さすが女主人公……しかも努力家で健気とか推せるでしょ。

 今や第五部隊の可愛い妹分だからね!


 勿論ヒューゴーもみんなの可愛い弟分だよ!


(このままじゃあ書類仕事するだけの人間になっちゃう)


 戦争が終わって事務処理の方が多くなってきた今、それでもいいとは思っている。

 実際問題、隊長として忙しいアドルフさんを妻として健康面で支え、部隊員として事務処理をすることで支えられるんなら私はそれでも構わない。

 なんたって、推しの支えになれるならなんでもいいんですよ、ええ。


 アドルフさんが元気で、幸せだって思いながら日々を過ごしてくれること。

 私にとってはそれが最高だもの。


 推しを! 支えられる幸せ!!


(でもこの世界があのゲームとおんなじなら、油断はできないんだよなあ)


 そもそも続編があのストーリーとそう間を置いていない上に制作陣のことだもの。

 そりゃ警戒の一つや二つ、なんなら百や千したって仕方ない。


「……それよりも俺としてはお前の方が心配だが」


「そこは何度も話し合ったじゃないですか」


「だが長距離だ、やはり馬車の方が」


「みんな馬で移動するんですから一人だけ馬車ってわけにはいかないでしょう」


 むしろそれなら隊長のアドルフさんが乗らないとだめでしょ!

 私の体調を案じてくれるのは重々理解しているけども!!


 んもー体格のでっかいクール男子がそんな困ったような顔したって可愛いだけだからな!

 私には通用しまくるけどこればっかりはだめなんだって!!


 くっ……そんな顔も推せる……。

 いったいこの道中でどうやったら推しに貢げるんだ……!


 カレンとマヌエラがそんな私たちのやりとりを冷めた目で見てたけど、気にしないよ。

 だって推しは推せる時に推すし推しのためなら頑張れるってもんでしょう。


 長距離移動の馬くらい、華麗に乗りこなして見せますとも!!


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