第56話
さて、予定としては王都を出発、国境沿いであちらの国からお出迎えという連行部隊と合流。
そんでもって相手方の王都に行って講和条約そのものは結ばれたけどその後についての話し合いアレコレ、ぶっちゃけ外交。
その外交には第五部隊は関与しないで良いというありがたーいゲオルグ陛下からのお言葉を賜っているわけだけども!
(でもわざわざうちの部隊を招いたって点で話しかけられることは大前提)
しかもアドルフさん指名なわけだしね。
私? 私については……まあわからん! なんで呼んだ!!
って、聖女だからですよねーそうですよねー。
ただでさえ鬼強いアドルフさんが終盤急に(?)元気になったってんできっとあちらの国は大慌てして情報を集めたら『なんか聖女と結婚したらしいぞ!?』って話が流れてきてその相手は誰だ! ってなった結果の私ですもんね!!
アドルフさんが元気になったのは聖女……つまり私が関与しているに違いない! って探りを入れたいんだと思うんだよ。
まああちらの国にも聖女が幾人も亡命している歴史を考えるに、彼女たちから『聖女とはなんぞや』から始まって、獣化による暴走の鎮め方なんてもんは伝わっているとは思うんだけど……。
(……あっちの国で、聖女ってどういう扱いなんだろ)
ふと、それが気になった。
なんていうか、続編の主人公になる敵国の将軍、彼は母親が聖女っていうデータだけは人物紹介欄に書いてあって、それが原因でうちの国を恨んでいる……とかなんとかあった。
正直、情報が足りなすぎて笑っちゃいそう。
「どうした? イリステラ」
「いえ。そういえばアドルフさん、最近お体の調子はどうですか? 私の体調を優先するばっかりで全然治癒してないじゃないですか」
「そうだな。いや、体調に問題はない。普段からお前に触れているからかもしれないな」
「いやいやいや」
確かにね? 聖女と獣化する人間との身体接触って大事なことだけどさ!
でもそれはあくまで聖女側にとってのメリットだからね!?
生命力を分けてもらうとかそういうのだし、それにそれってつまりごにょごにょ。
だからハグとかキス程度では全く関係ないっていうか。
アドルフさんがそんなことを真顔で言うから逆に私が照れるじゃないか!!
くそう、そんな私を見て意地悪く笑うアドルフさんもかっこいい……。
「あーもう、出発の準備確認してきます!」
「ああ、マヌエラもチェックをしていたからあいつのところに行くと良い」
まったくアドルフさんったら、大人の対応……。
そこがまた良いんだけどさ……推せる……推してるけど……。
だからこそ、推しを守るために私は何をするべきだろうか。
元とは言え敵国、恨まれていないかと聞かれたら難しいのが現実ってものだ。
相手の将軍に対してだってこちらの国民が良い感情を抱いていないのと同じ。
でもアウェーだろうと!
私は私の推し(たち)を推しまくるんだからねえ!
負けてなるもんか。
むしろアドルフさんの魅力を私がわからせてしんぜよう。
(まずは待ってろ将軍、アドルフさんの魅力をわからせてやっからな!)




