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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第一章 推しを幸せにしたい。いい目標じゃないですか。

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第5話

 Q.アドルフさんにどうやったら私という存在について興味を持ってもらえますか。

 A.とりあえずなんでもいいから好印象を持たせるところから始めましょう。


 というわけで孤独な脳内会議を終えた私は、コーヒーを淹れて食卓の前で待ってみた。

 そういや待ち合わせしたわけでも何でもないわ、一旦荷物片付けようって提案しただけだからアドルフさんが部屋から出てこないって可能性も大じゃん……。

 私、初手から失敗してない?


 いやでも同じ屋根の下にいるんだから、きっと彼も話し合い自体は必要なことだと認識しているはず。

 その上で私に何も求めていない、愛されることを期待するなってきっと念を押してくるに違いない。


 別にそこについては否やを唱えるわけじゃない。

 しかし……推しと一つ同じ屋根の下か……!


 おっと変な笑い声が出る前に自重自重。

 それよりもなによりも、どうやったら私がアドルフさんに信頼してもらえて〝聖女として正しく〟彼の役に立てるかをアピールするかって問題について考えなければ!


(……アドルフさんは部下想いだ。まずは私が聖女として部隊に役立つと証明すればそこから信頼を勝ち得ることができるはず!)


 ずるいと言うことなかれ。

 私だって必死なのだ。


 まずは嫌われないことを第一目標に掲げている。


 だって考えてもみてよ。

 推しぞ? 一緒に暮らす推しが夫ぞ?

 尽くしたいし拝みたいしできれば生活圏内でいろんな表情をこの目に焼き付けたいでしょ?

 可能ならば会話もしたいしゲーム内では語られなかった表情とか好きな料理とか季節とか知りたいし、甘い微笑みなんて贅沢は言わないから優しい言葉の一つをくれたら一生の宝物にしますって勢いだ。


 洗濯掃除食事の仕度、部隊の書類作業から繕い物までなんでもござれで尽くす気満々なんですけどね!!

 しょっぱなからそれを言ったらドン引きされるって理解してる。


 でもできないよりは断然いいと思うんだ。


(下級神官時代の苦行がこんなところで役に立つ……)


 役に立つはずなんだけど、まずは相手に信頼されなきゃそのスキルだって披露する場面に至らないわけですよ。


 一年の猶予、それを長いと捉えるか短いと捉えるかは人それぞれだろうけど……。

 私にとっては短い。


(だって推しと過ごす一年なんてあっという間じゃんかーーー!!)


 足りないでしょ。圧倒的に足りないでしょ!!

 なんだったらこっちは推しが生まれた瞬間から崇め奉りたい勢いなんだけど?

 さすがに私が年下なので誕生の瞬間を目に焼き付けるなんて神の所業は無理ですが、それなら推しが健やかに生きて歳を重ねていくその瞬間を毎秒毎分脳内フィルターに焼き付けたいのです。


 言ってることが若干ヤバいことは自覚しているが、そのくらい私にとってアドルフさんは特別なのだ。


 前世の推しってだけでもすごいアツいんだけど、この世界で『あ、死ぬな』って思った瞬間を救われたあの時から私の中でアドルフさんはアドルフさんなのだ。

 何を言っているかわからないって?

 わかんなくていいよ、とりあえず私はアドルフさん大好きってだけの話。


(……あの人が、幸せになってくれたら嬉しい)


 名前も知らない下級神官のことなんて、戦場でのあの一瞬のことなんて、彼が覚えているはずもないことはわかっている。

 私だけじゃなくて、あの時あの場所で死ぬかもって思った人たちの中に、鮮烈な印象を残した第五部隊とアドルフさんのあの雄姿は、今も私の中で宝物だ。


「あ、食料品は結構充実してるな……多分これ買い物行かせない気だな?」


 一般家庭と同じ造りをしている一軒家は、国からの支給品。

 義務として結婚する聖女と騎士に対するせめてもの……と言うと聞こえはいいけれど、実のところ監視しているぞっていう押し付けでもある。


 聖女ってのがいかに特殊かってのを身を以て感じるよねえ。

 ただこの利用価値こそが、アドルフさんに『私』を売り込める唯一の利点でもあるのだ……!!


「……待たせたか」


 推しが! 私と話をするために来てくれたー!!

 

 階段を下りてくるアドルフさん、ちょっとラフな格好になって袖をまくりながらとか……ご褒美タイムですか、ありがとうございますー!

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[良い点] イリステラさん、ただいま絶好調!
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