第51話
私は転生者として、かつてこの世界に似た【ゲーム】をプレイした。
別にそれはそれである意味で知恵を得たと思っておくとしよう。
特に、推してた人の運命を変えて『幸せだ』って笑ってもらえるようになったことや、血みどろの未来を歩んで目から輝きをなくしてしまう主人公たちを見なくて済んだのだから!
そのために彼らを救いつつ誰もが満足できる……ってのは無理だけど、この場合は『戦争がダメージ少なく早く終わる』ためのルートを探ってそのキーマンである当時王子だったゲオルグ様に接触したり、治癒能力を持つ中でも最高位にある〝聖女〟にのし上がったりと私は努力を重ねたわけだ。
その思い描いたエンディングまでは過酷を極めたわけだけども、私も死にたかったわけではない。
推しであるアドルフさんと結婚したのだって彼がゲームシナリオの中だと結婚して不幸になった描写があったからそこから逸らすためだった。
役目を終えたら離婚だって辞さないつもりだったし!
最終的には推し(複数)が幸せになる姿を見守りつつ報奨金を手に楽隠居生活をする予定だったんだよね!!
ただ予定外っていうか大前提で推しだけあって好みどストライクだったアドルフさんのことを私が恋愛的な意味で思いっきり好きになっちゃって離れがたいな~なんてメソメソしてたらアドルフさんが私のことを好きだって言ってくれて私史上最大最高のハッピーエンドを迎えたワケなんだけども!!
しょうがないじゃん、最高の推しだぞ?
それが一緒に暮らしてんだぞ?
恋に落ちない方が無理ってもんでしょ!?
いやまあ最終的に両思いなれて良かったです。
で、だ。
私は表に名前こそ出ないものの戦争終結の立役者なので、教会でも一目置かれた存在だしなんなら王妃である元聖女のアニータ様とはなんだかんだお友だちになってしまった。
ひええ、おそれおおい……。
アニータ様は王妃業が忙しくて教会その他は手が回らないので、引き続き聖女長様が聖女と神官たちの教育に携わっておられるのだ!
私? 私はほら、第五部隊所属なので……。
「どうしてなんですか~~~~!!」
「あらあら」
「オマエな。国王に直接陳情書持って来て挙げ句に茶菓子を食い漁って遠慮無く文句を言う聖女なんて他にいないぞ? というか不敬とは思わないのか。あ?」
「凄んでも知りませんよアニータ様と私はお友だちなんですぅー、なんだったらゲオルグ陛下もお友だちにしてあげますけど!?」
「お前みたいな友だちなぞいらんわ、アニータも友は選べ」
「ああー、ゲオルグ様元々オトモダチいませんもんね……アニータ様とられて悔しいんですね、ざまぁ」
「てめぇそこに直れ」
ちょっぴり我慢できないことがあって陳情書を出すだけじゃ物足りなかったので直接持ってアニータ様にお話を聞いてもらいがてらお茶を楽しんでいたらゲオルグ陛下が勝手に乱入したのにひどいと思う。
アニータ様は陛下と私のやりとりを見てにこにこ笑っていた。
「あらあら、相変わらず仲良しですねえ」
「ちがいますうー」
「絶対にそれはない」
「ほら息ぴったり」
嬉しくない。
切実に嬉しくない。
「それで? 陳情書を寄越せ」
「終戦前に私と取り決めてた第四、第五部隊は国外への遠征や護衛任務からは外すってあれですよ」
「……あー……」
私のぶすくれた言葉に陛下がそろりと視線を逸らす。
おうおう、私の不満がなんなのか思い当たる節しかないもんな?
「なんで! 第五部隊が! 外交官と一緒に行かなくちゃいけないんですか!!」
前線でさんざんぶつかって憎まれているであろう第五部隊が!
あえてその元敵国に! 連れてかれなきゃならんのだ!!
どう考えたって第五部隊のみんなのストレスだもの。
出張が決まってから出発の日が近づくにつれみんなの顔色が優れないのがもうね、心配で心配でならないのよこっちは……。
箱推しメンツの健康は! 私が守るんだから!!
「仕方がないだろう……あちらが講和条約の最終締結の条件として、第五部隊を連れてくることを条件に出してきたんだ。うちは負けていた側だ、強くは出られん」
「ぐぬ」
そうなのだ、敗戦国ではなく停戦とはいえ力関係そのものはどうしようもない。
疲弊しまくってた我が国としては強く出られない、それは理解できる。
「なんで第五部隊を……」
やっぱ恨みかな。恨みだよねええええ!?
どうしよう、もしゲームの続編が始まっていたとしても私は詳しい情報知らないんだよね。
だってプレイしてないし!
アドルフさんが登場しないなら関係なかったんだものー!!




