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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第五章 推しが幸せなら、まあいっか!

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第50話

 正しく夫婦になってから、私はアドルフさんの言うところの狼の気質? とやらをとても……とても体感していた。

 いやあんなスキンシップ多めっていうかお元気ですね!?

 私はおかげさまでリハビリもままなりませんが!?


 好きな人に好きだと惜しみなく言ってもらえるのはありがたいですが、朝起きれないのだけはなんとかしてください。

 ついでに第五部隊の宿舎に行くのにも足腰が笑ってどうしようもないからって毎回私を姫抱きにして家を出るのももう……いやそれは諦めた。

 もはや途中で通過する市場の名物になりつつある。


 まあそれも午後になれば動けるからいいんだけども……恥ずかしさって日々繰り返していると慣れるもんなんだね……。


「あの、アドルフさん」


「うん?」


「……お仕事終わったんですか」


「ああ」


 どうやら狼の特性? というのはこう……たった一人の相手と認めると、その相手に対して愛情表現過多になるというか、とにかくこう甘い。

 甘いっていうか、それを越えて砂糖漬けっていうかね。


 隙あらば一緒にいたいオーラを出す推しとかもう可愛すぎて……あ、勿論カッコイイのは変わらないよ? 世界一のイケメンだと私は思っているからね?


 ただ人前ではなるべくほっぺただろうとキスは止めてほしいし、男の人相手に全部やきもち妬くのもちょっと……嬉しいけど、生活面でいつか支障をきたしそうですので。

 お野菜納品に来たおじちゃんにまでやきもち妬かれたら困るでしょう!?


 まあおじちゃんたちは『微笑ましいねえ~』なんて笑ってくれたからいいんだけど!!


「……治安も大分良くなってきたな」


「そうですねえ」


「……落ち着いて結婚記念日を過ごせる」


「揃って休日を取れるだなんて、贅沢ですよねえ」


 そうなのだ。

 もうあと一週間もすれば私たちは結婚一年目を迎えるのだ。


(……いろいろあったなあ)


 当初の目的からは、随分と着地点が変わった気がする。


 アドルフさんの憂いを払って、彼が幸せになることを前提に戦争を終わらせた。

 結婚したのは、彼がエミリアさんと結婚して不幸になるのを防ぐためで……当初は、離婚した後に平和になった世界でアドルフさんが本当に(・・・)好きな人と結婚式を挙げる姿を遠目に見守ろうなんて考えていたんだよね。


(そして聖女のお役御免をしてもらって地方に引っ越して、穏やかな余生を……とか考えていたのになあ)


 そうそう、地方というか私の出身孤児院であるカルデラ教会にでも身を寄せるってのも方法の一つではあったな。

 元聖女って箔があればどこの教会でも重宝してもらえるかなって!


(それが、今や……私がアドルフさんの奥さんのままでいいだなんてね)


 好きだと思っていたし、尊敬もしていた。

 勿論、恋に落ちる可能性もあったけどフラれる前提でいた。


 実際に恋をしてみたら諦められなくなって、いや諦めなかったんだけどさ……。

 まさかの溺愛フルコースが待っているなんて思いもしなかったよね。


(アドルフさんが幸せになってくれたら、それで良かった)


 私を後ろから抱きしめるアドルフさんを、見上げる。

 それに気づいて、アドルフさんは目を細めて笑ってくれる。


 うん、愛されているなあ。


(笑顔のアドルフさんが、結婚式でみんなに祝福される日を脳内スチルなんか作ってそれを糧に努力してきたけど)


 私とアドルフさんの結婚は、戦時中と言うこともあって書類一枚ぺろっと提出して終わりの味気ないモノだったから。

 平和になった今なら、きっとそれなりの式が挙げられただろうなと思うのだ。


(白いタキシード、いやこの場合は軍服のままか)


 じゃああんまり普段と変わらないな?

 聖女は白っぽい衣装だから、ある意味では婚礼衣装みたいな雰囲気あるし。


「どうした?」


「……アドルフさんに聞いてみたいことがあって」


「何だ」


 抱きしめてくるこの腕が、私から離れていくとはもうこれっぽっちも思っていない。

 そりゃあんだけ毎日愛を伝えてもらっていれば当然といえば当然なのだけれど。


 今や私とアドルフさんの関係は、第五部隊の面々からは呆れを通り越して微笑ましいまで行っているバカップルだと思うもの。

 あ、ちゃんと仕事はしているからね!?


「アドルフさんは、幸せですか?」


 私の問いに、アドルフさんは目を丸くする。

 緑の瞳は以前に比べると昏さが減った気がする。それでも、時折切なそうに戦禍の傷痕を見ることがあるけれど。


 近隣の子供たちがアドルフさんの傷や普段の無表情(本人はただ何も考えていないんだけどね!)を見て怯えられることや、平服の時に傷痕で周囲の人におっかなびっくりされることで地味に傷ついている姿も、どうしようもないことだって知っている。


 だけど、彼の口から聞いておきたいなと思ったのだ。

 だってそれは、私の目標だったから。


「……幸せだ。イリステラ、お前がいてくれるから」


 とろりとまるで蜂蜜みたいな甘さを含んだその声で、口づけを落としてくるこの人が『幸せだ』と言ってくれるなら。


(そうだ、アドルフさんが幸せなら……それでいい)


 着地点はそりゃ違ったものになったけど。

 推しが幸せなら、まあ成功でしょ!


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― 新着の感想 ―
あまーーーーい!!!狼さん本気の溺愛最高です
[一言] 角砂糖数個を最高糖度の蜂蜜入り練乳で一気飲みするかのような
[気になる点] アドルフさんの溺愛、元妻のあの人にも発動してたんでしょうか?
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