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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第五章 推しが幸せなら、まあいっか!

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第41話

第五章、突入です

(いや、本当に三ヶ月経ってた……)


 アドルフさんの衝撃の三ヶ月発言から一週間、私はようやく教会にある部屋を後にすることが許された。

 いやそのくらい私の体は限界を迎えていたらしい。


 聖女長様には『渡した薬は痛み止めだけでなく回復の効能もあるとあれだけ言い含めたのに何故飲まなかった!』と叱られましたがあれは飲めなかったんですう、飲みたかったんですう!!


 まああの状況は仕方がなかったということで、聖女長様とアニータ様には抱きつかれて泣かれてしまったよ。

 お二人とも大変良い匂いがしました。


 とにかく心配かけてしまったんだなあと反省しつつ、私はアドルフさんに連れられて自宅へと帰っている。

 いやまあある程度体も回復したならそりゃ当然だ。

 当然なんだ、が。


(どうしてこうなった?)


 アドルフさんは当たり前のように私の荷物(といっても大してない)持ったかと思うと当たり前のように手を繋いで(!?)私の体調を気遣いながら全ての手続きを終えてあるとだけ告げて歩き出したのだ。


「本当なら馬車がいいんだろうが」


 外に出て町を歩く中で、アドルフさんがぽつりと言った。

 私に向けられた目はどこまでも柔らかだ。ドキッとした。


「お前の努力が、どう実を結んだのかその目で見てもらいたかった」


「……え?」


 町を見る。

 私が覚えているよりも、活気があるだろうか。


(ああ、そうか)


 戦争は、私たちが計画していたとおりに終わりを迎えた。

 鉱石を手にゲオルグ王子が国王を適当に丸め込んで儀式を行わせ、神鳥は大きな力(?)を用いて威信を示した後、他国に向けても去ることを明言。

 いつでも見守っているよというような発言の後に神々しく姿を消していったのだとか……。


 で、これまで王家と一部の教会の偉い人がやっていた不正や、神鳥様の願いを却下して戦争していたことをゲオルグ王子が告発。

 第二王子含め多くの人間がそれなりの処罰を受ける中、一連の責任を取るというか、新時代に向けてという名目で国王も譲位することを発表。


 こうしてゲオルグ王子が国王となり、勿論その婚約者であったアニータ様が王妃になったわけだ。


 神鳥様がいなくなってもすぐには獣化と聖女の関係そのものが消えるわけではないらしく、時間が全てを解決していくとかなんとか神鳥様から説明があったらしい。

 私は聞いていないので、全て伝聞だ。


 でも、戦争が終わった。

 和平条約が締結されて、まだどこかギスギスしたものは残るのだろうけど……でも、もう以前のように怯えなくていい生活が戻ったのだということで、人々には活気が戻ったそうだ。


「まだこれから復興で多くの問題はあるが……それでも、人々の笑顔を取り戻したのはイリステラ、お前が努力した結果だ」


「……」


「それを大々的に公表はできないことも、事情も、陛下から聞いている」


「……」


「俺たち獣神部隊(ビースト)は解散されていないし、俺もまだその隊長で、お前は聖女のままだが……当面は俺たちは待機部隊だ。イリステラのことをみんなも心配していた」


「そ、う……なんですね」


 どうしよう、実感がない。

 だって三ヶ月眠っていて大事なところを全て見逃してるんですよ、しょうがなくない!?


 でもまあ、行き交う人々の表情が明るいことはわかるし、並ぶ品々が劇的に変化したとかはないけれど……以前よりもなんだか活気がある気もする。


「まあイリステラは当面、一人での外出はだめだ」


「ええ!?」


「お前の体はまだ万全じゃない。出歩くにしても、俺が必ずついていく」


「う……」


 確かにそれを言われるとその通り。

 私自身、寝っぱなしだったことも影響しているのかかなり全身の筋肉が落ちていることは自覚しているし、体力も衰えていることだろう。


 正直、こうして歩いていてもそれを感じるのだから平和になった町を見てテンションマックス! なんてことになったら途中でダウンする未来しか見えない。


「……わかりました」


「理解してくれて助かる」


 どこかホッとした表情を浮かべるアドルフさんは、私がだだをこねるとでも思っていたんだろうか。

 これまでしたことないんだけどなあ。僅かにショックを受けてしまうわ……。


 推しを困らせるなんて! いたしませんよ!!

 

(推しのことは幸せにしたいし本当なら三ヶ月もお世話放置してただなんて自分的にはあり得ない事態なんだけど、この雰囲気だとおうちに着いてからも以前と同じレベルの家事をこなそうとしたら逆に迷惑かけそうだしむしろ心配かけちゃうか……?)


 ぐぬぬ、これは由々しき事態だぞ。

 そんなことを考えているとアドルフさんがふと一つの店に目を留めて、私を見る。


「お前の好きな果物があるが、買っていくか?」


「え、いいんですか?」


「ああ。お前の快気祝いでもある。晩飯は……まあ、悪いが俺の作ったもので我慢してくれ。部隊の連中には明日、宿舎に連れて行くと言ってあるからご馳走はそっちで、な」


「はい!」


 あっ、家事云々は後で考えよう。

 箱推しメンツがみんなで私のことを待っていてくれるとかそんなん聞いたら悩んでる時間の方が惜しいじゃない。


 ああ、私ちゃんと生き残ってて良かったア!!


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