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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第四章 高難易度ミッションをクリアせよ!

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第38話

 硝煙の匂いが強くなる。

 そこに交じる血の匂いに、グッと胃が気持ち悪くなるのを感じた。


 ああ、私の大切な人たちが今そこで戦っているのか。

 互いに守り守られる立場の仲間に、攻撃されたのか。


(でも大丈夫、駐屯部隊の人数は……多いけど、全員が敵じゃないはずだ)


 ゲオルグ王子も裏切りの可能性は示唆していた。

 確たる証拠が今のところないため摘発は無理だと言われたけれど、やはり神鳥の願いを叶えることで王権を乗っ取ろうと画策する人たちと、安易にこの山で採れる『特殊な鉱石』を手に入れて周辺諸国に高く売りつけたいだけの人間がいるって話だ。

 多分、この二つのうちのどちらかと考えていいと思うけど……おそらくは前者だろうなあ。


(じゃなきゃ、人数で勝てるにしてもその後が問題だものね)


 他国に売りつけるにしたって、部隊全員で……なんてものがまかり通るのかって話だもの。

 幾人かが画策して、部下たちを扇動したとしてもそれこそまず鉱石を手に入れてから行動を起こすと思うのだ。


 その流れで考えれば第五部隊を人質に、私たちに対して鉱石を渡せと言うか……あるいは、自分たちの仲間になれと持ちかけるか。


 鉱山の入り口は聖女の結界のせいで普通ならば入れないし、手に入れることが困難であることはそれなりの地位にいる貴族ならば知ることができるだろう。

 かつて鉱夫たちを犠牲に採掘していたことにも辿り着いているかもしれない。


「下がっていろ、俺が行く。場を確保したら回復。いいな」


「はい」


 私の隣に、いつの間にか獣化したアドルフさんがいた。

 金の毛並みを持つ、狼。

 普段よりも二回り近く体躯が大きくなっていて、いつも以上に見上げるけれど……怖くなんてない。

 

(名前の通りの、狼)


 アドルフって、昔の言葉で狼なんだってね。

 カレンから教わった。


 金色で、強くて。

 だからその分、背負っちゃって。


 ドンドンと敵をなぎ払い、場所を確保する姿を見てウットリしている場合ではない。


 第五部隊のメンツは、アドルフさんが戻ったことであっという間にいつも通りの行動で敵を……といっても、本当に駐屯部隊の一部だったらしく、それらを圧倒したのだ。

 私もこちらに気づいたマヌエラに護衛されながら合流して、回復の魔法を施していく。


(あ、やばい。ちょっと魔力が枯渇しそうかも)


 この状況下では魔力を惜しんでいられないので、自分の回復を後回しにするしかない。

 なんだったら防御系の魔法も遮断した。

 危ないからお勧めできることではないけど、自分の魔力の少なさを恨むよりも今できることをしなくちゃならないのだ。


 だって私、聖女ですから!

 なんてドヤ顔したって誰も見ていないので、あほなことしてないで仕事をする。

 それが一番、アドルフさんと第五部隊にとって役立つことですからね!


 推しのためなら聖女として身を粉にして働きます。

 働かせていただきまアす!!


(まあそんなことマジで口にしたら正座で説教コースなんで黙るけど)


 でもそのくらいの気持ちですよっと……。

 幸いにも何故戦闘が起きたのかと混乱する駐屯部隊は幾人かの説得もあって、第五部隊の味方になった。

 敵対したのは駐在部隊長含む幹部、彼らは第二王子がどうのと声高に叫んでいたけど。


(あとはきっと、ゲオルグ王子が何とかしてくれるでしょ)


 っていうかしてくれないと困るのよ。

 そう思った視界の端で、アドルフさんが獣化を解こうとしていた。


「……アドルフさん」


 それは、特に自分の意思でどうこう、とかじゃなくて。

 当たり前のように、飛び出していたっていうか。


 飛び出した男と、アドルフさんの間に立って、庇っていた自分にもびっくりだけど。


「イリステラ!」


 気がついた時には、後ろからアドルフさんに抱きすくめられて。

 目の前にはカレンが男を押さえ込む姿があって。


「……俺を庇うつもりだったのか」


 苦虫を噛みつぶしたかのようなその声にヒェっとなりつつ、私は頷くしかできない。

 自分でも何してんだよとか、まあ障壁を作り出すほどの魔力も残ってなかったんだよねとか、いろいろ言い訳を口にしようと思えばできたはずだったんだけど。


「(推しが)危ないと思ったら、体が勝手に」


「……」


 私の口から出てきたのは、そんな本音だった。

 アドルフさんがものすごく微妙な顔をしてこちらを見て……いや、周りのみんなもだな!?


 だってしょうが無いじゃない、推しの危機だったんだもの!!

戦闘系は相当省きましたがまあまだ続きます(

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