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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第四章 高難易度ミッションをクリアせよ!

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第34話

 ちなみに山登りは普通にきっつい山登りである。

 なのに聖女としての身嗜みとやらはきちんとしなくちゃいけないっていうね。


(やってられるかってんだよ!!)


 というわけで、どうせ汚れたら儀式も何もないので鉱山の神殿まで辿り着いたら着替える……という形にしてある。

 ちなみにそれはあくまで確認のために『神の御山で祈りを捧げる儀式を行う』ということになっているので、別に本来は聖女としての制服みたいなものは着なくてもいいんだけどさ……ほら、一応ポーズとしてこういうのって必要でしょ?


 でもさあ、考えてもらいたい。

 ほとんど岩山みたいな感じの山で、舗装なんてされてないしなんだったらほぼほぼ道なんてものはない!

 そんな中をひらっひらした服を着て登れという方が酷ってもんだろう!!


(昔の王族ってどうしてたんだ……?)


 叩き上げ聖女としては体力も結構自信があるんだけど、登るのにゼェハァしてるんですけど。

 ちなみにアドルフさんだって僅かではあるが息を乱すくらいには険しい山なんですけど。


 ちょっと王子ィ、そういうとこだぞ!

 登るためのフォローとかなんか考えろよ!!

 聖女の協力が必要ってわかってんだからそのくらい気遣えよ、ほんと婚約者のアニータ様以外眼中にねえな!


 私もアドルフさんと第五部隊以外割とどうでもいいけど!!


 そんな感じで脳内でゲオルグ王子に悪態を吐きながらなんとかかんとか、目的の坑道入り口に辿り着きましたよ、まったくもう……。


「ここか」


「……到着するまで、敵の気配はありませんでしたね」


「そうだな。だが油断はできない。このまま中に入るのか?」


「いえ、ここには聖女の結界が張られています。一度解いて中に入り、再度結界を張り直したいと思います」


「わかった」


 わかっていたとはいえなかなか厳重だ。


 その昔、ここで王族が直接鉱石を採掘して神鳥に捧げた。

 それは次第に時代を経て、鉱夫たちの負担を考えずに掘らせて犠牲者を出しつつ王城に届けさせるようになった。


 そして、次第に鉱石を掘って差し出しては神鳥が去ってしまうことを恐れた王族と一部の神官によって別の物に変えられ、王家は認識を歪ませ、一部の神官たちは自分たちの利益を優先するようになったわけだが……ここで疑問が生じるだろう。


 何故、神鳥はそれを許したのか?

 それは『ゲームの中』でちゃんと語られている。


 彼らは精霊で、私たちと時間の感覚がまるで違うのだ。

 そして嘘という概念もないので『採掘できなかった』『間違えてしまった』と言われれば『そうなのか』で待ててしまったのだ。


 その結果、ゲーム主人公たちが『そろそろ待てない』状態になってゲキオコになった神鳥……もとい精霊に鉱石を届け、一時的にでいいから迫り来る強敵(ラスボス)と戦う力をくれと願うのだ。


(まあ、それをやるのが一年以上早まっているので神鳥は今のところ『マダカナー』って感じで不満そうってだけだけど……)


 ゲーム開始から終盤まで、時間経過がちょっとわかんないんだよね……ただ年単位っぽかったんだよな、台詞回し見ている限りは。

 とりあえずはゲーム開始時期よりも前にここまでもってこれたんだから、自分を褒めたい。


 いや、ゲオルグ王子の努力もあるんだけどさ……。

 でも私も頑張ったんだよ!?


 生存率低い下級神官から聖女まで無事に成り上がって聖女長様を味方につけたし!

 上級神官時代には王子に接触して信じてもらえないまでも言質を取って協力させて今に至るんだからね!?


 おかげであの王子に結構無茶振りされて、上級神官の仕事しながら下級神官になりすまして前線に行ったこともあるし。

 こき使いすぎじゃなぁい?

 

 まあ、内部から神鳥の不満でボッコボコになる前になんとかできそうで私も安心である。

 アドルフさんたちが危険な戦場に行かなくて済むのが一番だもの。

 第五部隊のメンツの中には、危険手当も含めて高給が必要だってのは理解もしているけど……戦争がなくなった世界でお仕事探すのは大変かもしれない。


 それでも、戦争が終結したからって治安維持の意味もあって、しばらくは獣神部隊(ビースト)は解散されないはずだ。

 だからその間に身の振り方を考えてもらえたらと願うばかりである。


「……張り直せました」


「わかった。俺が前でいいな?」


「はい」


「……地図は、頭に叩き込んである。だからお前が持っていろ。見落としがあればすぐに教えてくれるか」


「はい」


 罠があるから、私を先行させないのも優しさで。

 私が地図を持つのも、ちゃんと『後ろを任せている』っていう意思表示で。


(……本当にアドルフさんはずるいなあ)


 惚れてまうやろ! もう何度目か知らないけど!!  

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