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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
(第四部)第十六章 それは誰のための物語か

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第158話

「だめだ」


「そんなあ……」


 私特製のプリンアラモードを食べながらアドルフさんは私の提案を却下した。

 がっしり体型の推しが可愛いものを食べる……ああ、なんて可愛い!


 とか推しを堪能している場合ではなかった。

 アドルフさんの説得に失敗してしまったではないか。


(アドルフさんの好きなものを出して食べている時ならもうちょっと考えてくれるかなと思ったのになあ~~~~~)


 やはり物事はそう簡単にはいかないか!

 いやまあそりゃそうだ。


 好物出されたからって懐柔されるようじゃ隊長は務まらないよね……。

 いくら最愛の! 妻!!(ここ重要)が作ったものだからって、それだけで絆されない……そういうところが素敵……しゅき。


(って、うっとりしてる場合かぁ!)


 推しを前にすると意思が弱くなる己の情けなさよ……。

 でもアドルフさんがプリンを食べている姿はこの目に焼き付けておかなければならないからさあ。

 アドルフさんが自分で気づいているかわからないけど、プリン食べる時にほんの少し目を細めてるんだよ! しかも食べ終わる時とか最後のほうちょっぴり名残惜しそうな雰囲気あるの!

 獣化してないのにしょげた耳と尻尾が見える気がするほどにね!!


 っかー! どんだけ私を惑わすんだアドルフさん……。

 さすが最高の推しだよ!!


「……別に、イリステラを信頼していないとかそういう意味ではないんだ」


「はい」


「俺が一緒だと、敵も味方も近づきづらいのだろうということもわかっている」


「は、はい……」


 プリンの上に乗っけておいたフルーツをじっと見つめるような姿勢で、アドルフさんはぽつりぽつりと言葉を続ける。


 つまりまあ、要約するとあれだ。

 私がやりたいことは理解できたし応援もしたいけど、現状一般の神官でさえ警戒を強める中で兵士と共に行動する軍属の神官たちにも気を配る中、同じく軍属の聖女である私が行動を起こせば、ある程度民衆からの不安も和らぐかもしれない。

 なにせ、私は市場とかにちょいちょい顔を出していたし、厨房に出入りしているもんだから業者さんたちとも当然顔見知りになっているので……そういう点では親しみやすさが功を奏したと申しましょうか庶民派聖女の面目躍如ってやつですかね!?


 でもそうしたことは頭で理解できているけれど、どうして自分が守るんじゃだめなのかという本能的な葛藤があるようで……やだなにそれ素敵。


「すまない……」


「い、いえ! 大丈夫です! ほかの方法を考えてみますね!!」


 そうだよね、聖女である私にはわからないけれど、このオーベルージュの人間で獣性を持つ国民は大なり小なり、その獣性に引っ張られる部分がある。

 たとえばアドルフさんはオオカミの獣人だけど、その獣性は縄張り意識が強く(自宅に人を招き入れたくないタイプ)、群れを大切にする(第五部隊のみんなをとても大事にしている)、ツガイ(・・・)に対してとても重たい愛情を持つ、など……。


 カレンやマヌエラ、フランクなんかも獣性が強いって言っていたからみんな結構そういう意味で苦労もあるみたいだった。

 

 ちなみにゲオルグ陛下はクマの獣人で匂いにやたら敏感で、自分のものに対する執着心が強いから基本的にはあまり何かをほしいとか、大事な人を作ることはしないんだってさ!

 これはアニータ様からの情報だから信頼できるよ!


 だから陛下はアニータ様に対してものすごく独占欲が強いんだってさ。

 ただの元からの性格じゃなかったんだね!

 

 いや、陛下について詳しくなっても嬉しくないないけど。

 それはもうこれっぽっちも嬉しくないよね。

 不敬! って声が聞こえてきそうだけど、そっちはそっちでよろしくやってくれとしか……。


 とにかく、私は推しが大事なのだ。

 推しのために努力するからって、推しを悲しませてまでやらなきゃならないことってほどでもないことで私がわがままを言うわけにはいかない!

 ほかの方法を模索するかあ……!!

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