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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
(第四部)第十六章 それは誰のための物語か

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第157話

 第五部隊の宿舎で、私がする仕事はそう多くない。

 基本的にアドルフさんの秘書的な役割、教会との渉外係、それから厨房のお手伝いである。


 アドルフさんの秘書的な役割。

 これはもう私が望んで立候補しているだけで、本当は必要ないっていうか……アドルフさんはシゴデキだからね! さすが推し! 素敵!!

 まあ得意ではないみたいだし、私が来るまではマヌエラや、他にも商家出身のメンバーが手伝っていたらしいんだけどさ。

 今はね、私のことを大事に大事にしてくれるアドルフさんが『イリステラは俺の補佐に入ればいいだろう?』って当たり前のように言ってくれるからさぁ……!


 あ~~~もう好き。大好き。


 で、教会との渉外係。

 これはどの軍属になった神官もその役割を担っているわけで、第五部隊は私が配属になるまで『死神部隊』なんて呼ばれて敬遠されていたから私がそれを一手に担うようになったのは自然の成り行きだ。

 とはいえ、今はもうそんな不名誉な呼び方もされなくなって町の人気者になった第五部隊は教会の人たちとも上手くやっているよ!

 それに今はヒルデもいてくれるので、とっても楽ちんなのだ。

 あの子はすごく真面目だからね……、仕事を覚えて一人前になるんだーって日々努力を重ねているのだ。


 正直、もう教えることなんてないよ……!

 でも真面目なヒルデによると、まだまだ半人前だそうで……一人前の判定ってどこでわかるんだろうね?


 そして厨房。

 これに関しては私が神鳥様の石を掘り出す以前の問題で、第五部隊の面子と神官の体力を一緒にすんなって話なだけよ!!

 そもそも訓練とかないしね……?

 いや、下級神官時代は体力勝負だから温存する方法とか、隠れるとか、そういう技術は磨いたけど……走り込みとか重量挙げとか筋トレはまた別ぅ!


(それに愛しのアドルフさんにプリンを作るのは私の役目でなくっちゃね)


 推しが食べるものを自分で作れるこの幸せ、人に譲ってなるものか……とはいえ料理人さんが作ってくれた方が美味しいのは事実だから、宿舎にいる時はお手伝いでそのスキルを学ばせてもらっているわけだけども。

 それでも私の作る料理を箱推し(第五部隊)のみんなも美味しいって言ってくれるから幸せなのさ!


(……まあ、私がしなきゃいけないのは第五部隊の一員として、怪我人対処に当たるチームにどう入るか、だなあ)


 アドルフさんは隊長だから基本、この宿舎から指示を飛ばす役割を担っている。

 緊急連絡が来たら飛び出していく形だ。

 でも教会が神官たちを各所に派遣できなくなってしまった今、人々の不満の声は手が行き届かない地方から徐々にこの王都にまで押し寄せてくるはずだ。


(それに、王都は大きな教会はあるけど……)


 本物の(・・・)聖女のように特殊な術を使う人間は少なくてもある程度平気だとは思うけど、治癒能力を持つ神官たちのことが心配だ。


(町中の不安の声は、聖女である私が出歩くことで直接向けてもらえるかもしれない……)


 一般の神官たちでは怖いだろうけれど、幸いにも私には第五部隊の仲間がいるのだ!

 さすがにアドルフさんが隣にいると推しの神々しさからから、みんな一定の距離を保って不満なんてぶつけてこられないだろうからさ……。


 こういう時こそ庶民派聖女である私の出番ってわけさ!

 とはいえ、一緒に行動するのが強面なフランツだとアドルフさんとはまた別の意味で声をかけづらくなっちゃうだろうからカレンやマヌエラ、もしくはヒューゴーあたりと行動を共にしたいけど……。


(問題はどうやってアドルフさんを説得するかだなあ)


 トン、と包丁を置く。

 大量にできたタマネギのみじん切りが入ったボウルを持って料理長のところへ。


「次は何を切ればいいですかねえ」


「いやあもう下処理は終わったよ~、いつも助かるよイリステラちゃん。後はもうこっちでできるから、隊長用のデザート頼むわ。果物は好きに使っていいから」


「はあい、ありがとうございます」


 さあって、デザートは何がいいかなー。

 アドルフさんが喜ぶ顔を思い浮かべて、頑張るぞ!

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