第13話
とまあ、そんな教会に属している私も第五部隊からしてみれば敵みたいなものなのかもしれない。
とにかく獣神部隊の中でも過酷なところに行かされる彼らに、回復をかけてさあ戦いに戻れ! ってしてんだからね。
(……あーあー早く会って、お礼言いたいなあ……)
あの戦場での絶望から、助けてくれた人たちを。
まあ、地道にアドルフさんを癒やして彼を通じてみんなが回復してくれたらいいなと思うので、今日も頑張ろう!
(今日はアドルフさんの好きなシチューにしようっと)
美味しいとかマズイとか言わないけど、食べる量が変わるのでとてもわかりやすいんだよなあアドルフさん。可愛い。
最初の内は完璧だった姿も、段々と打ち解けるにつれてだらしないところを見せてくれるようになったのってなんだかこう……野良猫がデレてくれるみたいで、本当に可愛くって愛しくって!
最近では寝癖を整えることも許してくれるもんね!
あのさらさらな金髪にブラシをかけるの、すごく楽しい。
「あらイリステラちゃんいらっしゃい!」
「おばさん、こんにちは。今日はお芋がたくさんあるのねえ」
「ええ、ええ。最近は戦も少しだけ落ち着いたでしょう? 収穫期が穏やかに過ごせたからかしらねえ」
「それじゃあお芋を少し多めに、あとは……そうだなあ、そっちの果物もほしいな!」
「はいよ。いつもありがとうねえ」
市場に寄って、買い物を済ませる。
ちなみにアドルフさんは好き嫌いないけど、言わないと野菜を食べないどころか携帯食を食べようとするので料理は私の担当と決めている。
美味しい……とまでは言わないが、とりあえず家庭料理くらいは作れるので!
胃袋を掴む……は難しいけど、推しにそんなモソモソしたもん食わせられるかあ!!
ってことで、私の中にある前世プラス今世の知識総動員で日々料理に勤しんでいるわけですよ。
なんならデザートもつけてるからな! 偉いだろう、私!!
……まあ、自炊が当たり前の世界にきて料理ができるからって褒められるわけでもないんですけどね……。
「ただいまー……」
牛乳と卵は配達頼んだし、野菜は買ってきたし。
ハムとお酒も一応置いてあるけど、アドルフさんは滅多に飲まない。
酔った推しも見てみたいが、さすがに強要はしない。アルハラよくない。
(今日はデザートにプリンでも作っちゃおうかなー!)
お砂糖は少し値段が張るとはいえ、結構お給金をいただいている共働き夫婦(仮)である。
ちなみに私のお給料は幾分か育ててくれた孤児院に寄付させていただいているので、実のところそこまで多くはないんだけど……まあね、これまで聖女になるために寝る間を惜しんで努力していたので無駄遣いがなかった分、貯金があるんですよこれが。
アドルフさんの方がどうかは知らないけど……生活費は一応折半ってことになっている。
でも多分あんまり生活にお金かけてこなかったんだろうなあ、アドルフさんって多目に渡してくるからさ……要らないとも言えなくて、とりあえず使った分で計算して余ったのはタンス預金しておくことにしている。
一年でいくら貯まるかな。
信頼は勝ち得ていくけど、いずれはアドルフさんだって自分の幸せを掴みに行くだろう。
その時にはそのタンス預金を気持ちよくプレゼントするつもりで、節約も頑張るつもりだ!
(……アドルフさんの幸せ、か)
誰かの横で、私もまだ見たことがないような満面の笑みを浮かべるアドルフさんを想像する。
私は零すような笑みとか、荷物を持ってくれるぶっきらぼうな優しさとか、まだそのくらいしか知らないけど……それも、いつかは本当のお相手に返さなきゃな、そう思うのだった。




