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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第十三章 その喧嘩、買ったらぁ!!

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第123話

 女将さんの態度はいつもと変わらない。

 けれど、あの日感じた違和感は間違いのないものだった。


 そしてそれは女将さんだけに留まらず、宿に泊まっている人たち、宿に顔を出すお医者さん、その助手さん、食料を分けてくれる町の人たちにまで及んだ。


 どういうことかって?


「顔を合わせる人合わせる人、離婚しろだの今からでも神様に謝罪するべきだの言ってくるのはなんなの……!?」


「落ち着けイリステラ」


「これが落ち着いてられますか……!!」


 いや、別に無理強いされているってんじゃなくて会話の端っこに『そういえば離婚しないの?』とか『神官さんたちを通じて謝罪したらいいんじゃない?』みたいなのがついてくるのよ。


 それ以外はこれまでと変わらないっていうか……だからこそ気持ち悪いって言うか。

 みんな友好的なのは変わらないし、私たちのことを〝仲の良い夫婦〟と認識しつつ、自分たちの発した言葉に何も違和感を覚えていないっていうね。


 これを気持ち悪いと言わずなんて言えばいい!?

 そしてとってもムカつくんですけど!?


「私は! アドルフさんから言われない限り! 離婚なんてしませんけど!?」


「なら問題ない。俺から言い出すことはないからな」


「アドルフさん……!!」


 惚れてまうやろ!

 いや、心底惚れてますし推してますしただただ推しへの愛が天元突破しただけでした。

 私の推しったらなんでこんなにかっこよくて素敵なんだろう。


「とりあえず王都にいるヘルマンと通信が繋がった。おかしく(・・・・)なっているのはこの町の人間だけのようであることから、やはりあの妙な神官が関与していると考えるのが妥当だろう」


「アエスさんですか」


 自称、予言の神子。

 彼女の発言的にはまだまだ転生者かどうかってところまでは断定できないけど、そう考えるのが順当だろうなあと私は思っている。


(アドルフさんが死ぬべきだった世界線……つまり、ゲームのストーリー通りの殺伐とした世界を彼女は望んでいるってこと?)


 私は推しのためならゲームのストーリーとか関係なく推しに幸せになって欲しいと願ってしまったわけだけども、それはあくまでここ(・・)が現実だからなんだよね。

 確かにゲームの世界ではアドルフさんが不幸になることによって主人公であるヒューゴー、もしくはヒルデは辛い現実に直面していって絶望に叩き落とされながらも這い上がっていく……っていうドラマティックな展開が待っているわけなんだけども。


 あれがあのゲームたらしめる必要な被害だったとして、それはそれでいいと私は思っているワケなんだよ。

 でもね、現実に自分がそこに生きるとなるとまた見方はかわってくるもんじゃない?


 私がゲオルグ陛下たちと共謀して王位簒奪(というと言い過ぎだけども)を目論んだり、戦争を和平って形で終結に導いたりしたってことはゲームとは違ってその分だけ、自国も他国も被害が最小限に抑えられたってことなんだよ。

 あのドラマティックな展開は第三者だったから涙なしに見られないけど、現実の……目の前の出来事である私に取ったら幸せを追求して何が悪いって話。


(……っていうのも結局私のエゴだって言われたらその通り、なんだよなあ)


 しかしながら直接的に何かしてくるわけでもなく、おそらく〝アエスさんと会話した〟ことのある人たちがそれとなく(・・・・・)私たちに対して離婚の話なんかを交ぜてくるから地味にストレスが……。


 まだ真っ向から私たちに対して害そうと行動してくれた方がこっちも実力行使に出られるんだけど……確実にアエスさんのせいだとも言えないこの状況、イライラするわあ……!!


 いっそ『お前のせいで推しの大事な推しポイントが台無しにされたんだ! 責任とって世界線を元通りにしろ!!』とか言ってくればこっちもふざけんなって盛大にキレられるんだけどさ……って好戦的過ぎたわ。

 反省反省。


「おかしなことにならなきゃいいんですけど」


「……そうだな。この天候さえ落ち着けば、王都から迎えが来るはずだ。そうすれば落ち着く……と思いたいところだな」


 早く雨が止んで、道が整備されて、ウーヌの人たちがとっとと王都に行ってゲオルグ陛下にけちょんけちょんに言い負かされて帰ればいいのに……って思っている自分がいて、ああストレスたまってんなあとため息を吐くしかできない私をアドルフさんは抱き寄せて頭を撫でてくれた。


 んんんん。

 ストレスは溜まるけど、推しが甘やかしてくれるならこれはむしろ勝ち……!!

メリークリスマス!(イブ

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