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転生者の私は〝推し活〟するため聖女になりました!  作者: 玉響なつめ
第二章 あなたと、わたし

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第11話

 結婚生活(?)、当たり前ながら同居人スタートな私たちは初夜なんてものはなかった。

 そもそも部屋が別ですし。


 あれからあっという間に一ヶ月が経って、私たちはそれなりに同居人として上手くやっていると思う。

 幸いにも戦線は小康状態で獣神部隊(ビースト)が出撃することもないそうだ。


 まあ国としてもあんまり私たちを酷使して、平民部隊が崩壊されても困るだろうからなんとかして欲しいもんだが……。


(……アドルフさんって、欲とかなさそうなんだよなあ)


 一緒に過ごしてわかったこと。

 アドルフさんは、寡黙だけど別に冷たい人じゃない。知ってた。

 

 早起きが苦手で、寝癖をつけて出てくることもある。

 ハイ可愛い。

 体とか、喉から顔にかけてある大きな傷とか、その辺の見た目が悪いと思っているらしく気を遣ってなるべく体を覆う服を選んでいるようだ。

 紳士か!

 基本的に好き嫌いはないけど猫舌。

 可愛いの化身かな?

 重い荷物は必ず持ってくれる。

 スパダリかよ。

 

 そして女性関係はどうやらまっさら。よく兵士たちが娼館に通ったりするルートはむしろ避けて通るほど。

 ……女性関係に関しては、潔癖の傾向……なのかな?


(それとも、妻である私に対して一応遠慮してくれている……とか? まさかね、合法的に手を出していい相手だし。だけどアドルフさんは紳士だから……)


 まあ私も推しを幸せにしたいのであって、そこまで高望みはしていないっていうか。

 一人のファンとして越えてはならない線が……いやでももしも万が一億が一にでも推しが求めてくれたら応じる覚悟はあるけども……ねえな。

 アドルフさんは私を愛さないと言った手前、きっと一年間は我慢するんだろうな。

 真面目な人だから。


 あれなのかな。

 ゲーム上で見た限りは奥さんになった人のことが大好きで、その人以外見えてないとかそんな……?


(ううーん、だとしたら私は彼女が悪の道に染まらないようにしてあげて、二人を応援してあげるべきなのか……?)


 接点ゼロからどうしろと。

 いや、とりあえずはアドルフさんに健康的な生活を送ってもらって、彼を幸せにしてくれる女性を探した方が建設的な気もしてきた。


 そう、一緒に暮らしてわかったんだけど……アドルフさんは割と自分に無頓着だ。

 ゲームではやさぐれてたからそういう感じしてたの理解できるけど、ゲーム開始の一年前でもそれかい! 可愛いね!!


 いやあ、推しに尽くせるとか最高じゃない?

 おはようからおやすみまでお世話させてもらえるとかご褒美以外の何ものでもないんだけど。

 ただまあ家事は折半でってアドルフさんに言われているし、新婚生活から始めた治癒に関しては続けさせてもらって、最近では彼の私室に入ることまで許されちゃって……進歩が過ぎる。

 はう、推しの私室……。


 ちなみに出撃がないからなのか、アドルフさんが私のことを部隊のみんなに紹介してくれたのは一度だけだった。

 私はみんなと話がしてみたかったんだけどね。

 部隊の人たちと訓練や会議があるからお前は帰れって言われてボッチでおうちに帰りました。


 ああいや、アドルフさんは私を家まで律儀に送ろうとしてくれたんだけど、そんな距離もないから私がお断りしたんだよ。

 教会に行くから馬車に乗るんで大丈夫だって言ってね。

 まあ聖女は祈りこそが訓練……なはずなんで、教会で祈りを捧げるって言えばアドルフさんも何も言えなかったようだ。


 今日も今日とてアドルフさんを送り出して、私は教会で奉仕活動と祈りを捧げ、勉強する日々だ。

 今頃下級神官たちは戦場でいつ開戦するかとビクビクしている頃だろうし、中級神官たちだって癒やしの術を高めるために各地の病院を回らされていると思う。


 上級神官と聖女だけが、そういった類いの仕事はしない立場にある。


(……アドルフさんには言わなかったけど、聖女の半分はただの貴族令嬢なんだよなあ)


 そう、実は聖女の大半は、回復能力を持たないただのご令嬢である。


 民間はほっといても正直国があれば食いっぱぐれることのない公務員になれるから、兵士は人気の職なんだけど……それでも上の人たちだけが安全な場所にいたら、不満も募るもんである。

 

 だから、貴族には徴兵制度が存在する。

 ゆえに彼らは将校になるか、戦地に行かない(・・・・・・・)獣神部隊(ビースト)に所属するのだ。


 そして、彼らの婚約者として内定している者が聖女として所属し、婚姻関係を結ぶのだ。

 一定期間従事した隊員と聖女は去り、また次の貴族が……というからくりが存在する。

 要するに、国民が不満を抱かないように、そして貴族たちから反感を買わないように。


(……アドルフさんは、気づいているかもしれない)


 だからこそ、働かない獣神部隊(ビースト)の第一、第二部隊に対して他の部隊が反感を抱くのだ。

 とはいえ、第三は国防で少しだけ外に出るだけで戦闘はしないので似たようなものだけど。


 いやあ、うん、でも私もこうして教会で祈ってばかりなので、正直第五部隊の人たちからしたら『隊長の嫁は働かずにぐうたらしている』って思われてそうなんだよな!

 それが困るんですよ!!

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