考察:異世界転生の展開ワンパターン化を防ぐために
異世界転生モノは「なろう」というワードが代表するほどの典型的かつ巨大ジャンルとなった。
その一方で異世界転生作品は「エタる」更新中断が非常に多い。
特に、作者が現在連載中の作品に見切りをつけ次の作品に移行するケースがしばしば見られるが、このような作品に典型的なのが「ワンパターンな展開を繰り返す物語構成」だ。
本考察ではこのようなワンパターン化を防ぐために必要なプロット構成について意識するべきポイントを抽出することを目的とした。
異世界転生モノでよくある繰り返しパターンは以下のようなものだ。
「新しい街に進む→事件発生→新しい技やスキルを思い付いて敵を倒す→新しい美少女に惚れられる→次の街へ」
これが各章ごとに繰り返される。
しかし、次第に新しいスキルを考えるネタが尽きてきて、どこかで見た他作品のパクりになったり、既存のスキルで問題ないのにわざわざ新しいスキルで切り抜けたりしようとする。
この変形として
「ぽっと出の新しい国や貴族が主人公にちょっかいをかけてくる→これまでとは違うジャンルの戦いになる→主人公がうまく切り抜ける→次の章へ」というものもあるが、この場合は作者が新しいジャンルの勉強が不足していたりして、特に慣れないジャンルの記述で思い込みによる間違った描写などが増えて読者からの批判的なコメントが多くなり作者が萎えて更新頻度が低下していくというパターンが多い。
このような展開を避けるためには、成長戦略の考え方を再考すべきだと考える。
単に「主人公のレベルが上がりました、スキルが増えました」は同軸のパラメータが増えているだけで成長の実感が読者に生じない。同一の興奮はすぐに耐性が獲得されてしまうから作者にも読者にも飽きられるのだ。
そうではなく、主人公の目線が物語の進行と共に「数人の幼なじみの仲間の物語」「数軒のご近所の物語」から「小さな村の物語」「大きな街の物語」になり、やがて世界全てにかかわる物語へと拡張・成長していく。これが成功する作品に共通するストラテジーである。
すなわち、小説の扱う世界が章の進行と共に広がっていくのだ。
わかりやすい例で言えばグレンラガンのような筋立てを思い浮かべて欲しい。
グレンラガンは1クールごとに主人公の見ている世界が広がっていく。
そのようなプロットを最初に構成するのが肝要となる。
これにより、同じパターンの繰り返しは回避され、序盤はとっつきやすく。完結時には壮大なテーマを扱った作品という読後感を遺す。
ゆえに世界観の構築後に最初に出す情報を絞り、小さなアリの視点から鳥の視点、神の視点へと見るべき世界が広がっていくことを意識して物語を紡ぐのが上策と言えよう。




