二人の間に険悪な空気
俺らは場所をかえ、喫茶店に入店し、店員に案内された席に腰をおろした。
手短に注文を済ませ終え、話を切り出す伊奈沢。
「いよちゃんとはどういったご関係なんです?」
「ちょっとした知り合いってところだよ。あなたが心配しているようなことはなぁーんも!ブラを見られたってくらい」
テーブルに肘を付いた左手のひとさし指でグルグルと円を描きながら、返した女子高生。
「ふぅ~ん......って、ブラを見られたぁぁぁ~!?いよちゃんっっ、どういうこと?白状しなさいっ!」
テーブルをバンッと叩きながら立ち上がる伊奈沢。訝しげな目付きが彼女から俺へと移り、顔を近付けながら追及してくる伊奈沢の迫力に視線を逸らそうとするもズズゥと視線を合わせられ、諦めた俺。
「それには、訳がありまし、て......そのぅ、ですね......去年の夏休みに旅行に行きまして」
うん......それで?と不機嫌な低いトーンで促す友人。
「その旅行さきで彼女が絡まれてるのに遭遇して......既に彼女の服が濡れていて、見てしまっただけ......という、感じです」
「へぇー、どさくさに紛れて手を繋いだりしてないよね?」
「ししっしてないっ、からっ!してませんよね?」
顔の前で両手を勢いよく左右に振りながら否定して、向かいに座る彼女に確認した俺。
「うん、そうだね......」
不満そうな表情を浮かべながら返答した彼女。
「怪しいぃ~なぁ......恋愛感情が──」
「無いから」
「まあ......ちょびっと」
否定した俺に対し、向かいの彼女は俯き頬を赤らめながら返した。
──。
一時間も経過せずに会計を済ませ、喫茶店を後にした。




