校内一の美少女な友人
高校二年に進級した一ヶ月後のある日、通学路を歩んでいると背後から聞き馴染みのある元気溌剌な挨拶と共に背中に激しい痛みを感じた俺は声にもならない呻き声をあげた。
「よぉ~すっ!いよちゃーんがしみったれた顔してるぅ~」
「ぅぅ......ぁぁぁ。いつも言ってるよね、手加減をしてって」
「細かいことは気にしなぁ~いっ!いよちゃんは、いっつも他人と関わろうとしないんだからぁさぁー。私が居なかったらどうすんのさっ、ねぇーいよちゃんってばぁ。このこのぅ~」
隣を歩きながら屈託のない笑顔を浮かべ、容赦なく肩をバンバンと叩く彼女。
鬱陶しいノリを延々と続ける彼女にゲンナリしてしまう。
余計なお世話だっつうの。
邪険にできないのが困りものである。何せ高校入学時からの友人が彼女──伊奈沢陽葵だからだ。
毎度毎度、登校中に出くわすと現在のハイテンションでこられるので最近の悩みになっている。
俺の頬を人差し指でツンツンと突っついている彼女を憎めないのもあり、強めに言えないでいる。
依寄、陽葵でよりよりカップルなんて周りから呼ばれている。
目立ちたくないのに、平穏な高校生活を送りたいだけなのに噂されて、注目の的になる羽目になった。
「近いって、陽葵。離れて、お願いだからぁっ!」
「もしかして、私って臭いの?正直に言ってぇ~いよちゃーん」
「暑苦しいってだけだから。気にしなくても、そんなことないってぇ!」
周りから嫉妬の視線をグサグサッと刺され続けながら、通う高校に到着した。




