海を眺めながら、少女の話し相手に
「えっ、どういう......?」
少女の口にした言葉の意味が理解できず、思わず聞き返した。
「あっ......ううん。今のは聞かなかったことにしてほしい。青少年は海が好きで来たのかな?ここに」
「は、はぁ......好きか嫌いかといえば、好きですよ。さっきから呼んでいる青少年っていうのはやめてくれませんか?」
「ごめんね、そういうつもりはなかったんだけど。なんて呼べば良いの?キミのこと」
声のトーンを低くしながら謝り、声音を戻して訊ねてきた。
「イケメンくんとか?......じょ、冗談ですぅっ、調子に乗りました!ごめんなさい、蒼嶺でいいです」
冗談のつもりでいったのを冷えきった目付きで見つめられ、慌てて訂正した。
真夏の筈が真冬の極寒の地で強風に身をさらされたように全身に悪寒を感じた。
っしょっと、とそんな声をあげて砂浜に腰をおろした彼女。
彼女にならい、隣に腰をおろした俺。
「美しいね、この景色。そりゃ選ばれるよね」
「そうですね。知らないんですか?名称」
「知らないけど生きていけるよ。お腹減ったなぁ~!なんか買って来てほしいなぁ、蒼嶺くーん」
「好みを知らないですし、一人にするとナンパされているのが過るんですけど」
「はぁーあ、仕方ないかっ!その代わりに話し相手になってくれないかな?」
ため息を付きながら声音を戻して訊ねてきた。
「それなら良いですよ。さきに喉が渇いたので行きませんか?自販機に」
「ありがとう。蒼嶺くん」
立ちあがり、自動販売機に向かった二人。
砂浜で彼女の話に耳を傾けた。
17時まで彼女の話し相手をして、彼女の濡れたブラウスの代わりとなるTシャツを買い終え、その場で彼女と別れた。




