『オモイ』
土曜日。
私は友人の井上と喧嘩した。
付き合いが悪いと喧嘩にまで発展した。
井上と居るより、蒼嶺をからかうのが楽しいんだから仕方ない。
暇があると蒼嶺の顔が浮かんできて、思いを馳せる。
昨夜も蒼嶺の自宅まで押しかけて、あしらわれてを繰り返す。
あの海水浴場で逢ったのが悪い。
たわいない会話をして楽しめたのが蒼嶺だった。
蒼嶺と幼馴染だったら、蒼嶺と同じ高校に通っていたら……そんなたらればを毎日脳に過ってしまっている。
井上とは長い間付き合いがあって、つい口をついて言ってしまう失言が嫌になっていた。
スマホの画面にSNSのアプリのメッセージは未読になっている。
どんだけ、頑固なんだ。
井上のことは忘れて、蒼嶺の自宅を訪問しよう。
着ていたルームウェアを脱ぎ捨て、持っている服でオシャレなものを着ていこう。
服を選んでいる内に、30分が経過した。
出掛けているかもしれないと思い、急いで支度を済ませた。
施錠して、駆け出す私だった。
蒼嶺の自宅に到着して、前髪を確認して、インターフォンを押す。
どくん、どくどくどく。
蒼嶺の顔が見たい。会うなり、あしらわれても構わない。
早く彼に会いたい。
1分経っても、玄関扉が開かない。
もう一回、インターフォンを押して、待ってみる。
煩わしそうに出てきても良いから。
出掛けているのかな……
もう一度だけ、インターフォンを押してみる。
彼は出てこない。
近所に小さな公園があり、そこで待つことにした。
ベンチに座り、スマホでSNSのアプリを起動させ、井上がメッセージを読んだか確かめる。
まだ未読だった。
ため息を吐いて、蒼嶺と会えたときのテンションを考えてみる。
スマホの画面に表示されていた時刻に驚き、立ち上がる。
ショッピングモールに行ったら、会えるかもしれない。
そう思い立ち、ショッピングモールに行くバスのバス停に駆けていく。
バス停で待っていたら、来たバスから彼が降りてきて驚いた。
笑いながら、彼の背中を叩いて、彼の隣を歩いた。
私は彼の家に上がり込んで、井上の愚痴を漏らしたり、何を買ってきたのかを聞いたりした。
私が、彼に秘めている想いはまだ言わない。




