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中庭で向かい合う

俺は伊奈沢に呼び出された中庭に赴いた。

彼女は中庭で背中で腕を組んで俯いていた。

「おぉい、陽葵!なんだよ、こんなとこに呼び出して。友人が心配してたぞ!」

「いよちゃん……依寄、来てくれた。依寄、私のこと……好き?」

「そんなの……すぅ、好きだよ、友人として。恋人としてじゃないけど」

「友人としてかぁ。アイツのこと、どう思ってる?」

「なんとも言えない……葦羽さんのことだろ?好きではない……まだ知らないから。それより、普通にしてろよ。人気者としての地位は下がっても陽葵は陽葵なんだから。人間味がある方が俺としては好き……だよ」

「そっか。そ、そう……依寄はいつになったら私と付き合ってくれるの?」

「付き合わない……距離が近過ぎるんだよ、熱苦しい。恋人と間違われない距離感を保ってくれ」

「いよちゃんとくっついてないと寂しい……けど頑張ってみる」

彼女は小さくガッツポーズをとる。

「頑張る程のもんじゃないけど……話は終わったろ?帰ろう、疲れた」

「うんっ、帰ろ〜!!」

俺の隣に来て腕を組もうとして、やめた彼女。

中庭を出て、廊下を歩く俺と彼女だった。

校舎を出るまで無言の二人だった。


俺は伊奈沢とコンビニで別れ、帰宅した。

自宅に到着すると、自宅の前で佇んでいる女子高生がいた。

「やぁ、蒼嶺くん!あの娘は居ないんだね、今日は。お邪魔して良いかい?」

「はぁー。葦羽さんって部活してないんですか?」

俺は背後に居る葦羽に質問を投げ掛けた。

「そだよー。そんな詰まらない質問して何になんだよ、君ぃ〜!漫画って沢山ある?」

「それなりに……部屋に上げませんよ。リビングで勘弁してください」

玄関扉の開錠をして、中に入る。

彼女にスリッパを用意して、リビングへと進む俺。

「蒼嶺くんの匂い充満してて良いね〜!」

「はぁ……そうですか」

俺は冷蔵庫から麦茶を出し、グラスに注ぎ、ダイニングテーブルに置いた。

葦羽はグラスが置かれた位置にあるダイニングチェアに腰を下ろした。

「お菓子はないの〜?」

「無いですよ、ひと様に出すほど用意は良く無いですからウチは」

「ふぅ〜ん、そうなんだ。今日はなんか面白いことあったー?」

「面白いことなんてあるわけないじゃ無いですか!葦羽さんこそ、面白いことありましたか?」

「あるわけないじゃん、面白いことなんて!ぷぶぅ〜!!あーっはっははっっ!!」

「笑うとこですか?」

「つまんない男子(ひと)ぅ〜!一緒の高校だったらよかったなぁ、君と」

「俺は嫌ですけど……」

「ぷはぁ〜!正直過ぎ〜!!」


葦羽は一時間以上も居座り続けた。

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