オンナ同士の大喧嘩
「やっぱり、いよちゃんを狙ってた……」
「なんてゆーか、そりゃ親身にされちゃコロッといっちゃうって〜」
「はんっ……乙女ぶったことをよくもッ!」
「あ、あのーぅ喧嘩はそれくらいに——」
伊奈沢と葦羽に挟まれた形で登校していた。
殺気を放ちながら殺気を込めた言葉を投げ続ける伊奈沢を葦羽紫衣菜は軽やかにかわしていた。
俺が二股しているかのような構図なんで、二人には一刻も早く喧嘩を終わらせてもらいたい。
身を縮めながらの登校に発展するとは……
「そこの荒ぶってる小娘さんなんて、ほーっといてデート行こうよ〜蒼嶺くぅ〜んっ!」
「荒ぶってる小娘ぇ〜ッッ!?荒ぶるよう煽ってんのはどこのどいつよッッ、アンタでしょうがッッ!てかっ、愛しのいよちゃんの腕にアンタの汚い腕なんか絡ませるなッッ!それにいよちゃんがアンタみたいな馬の骨なんか相手にするわけないつーっのッッ!」
「はあ〜〜あッッ!馬の骨呼ばわりの私に腕を絡まれてるくらいで盗られると思ってる自信のねぇ性悪な小娘に、私のダーリンはふさわしくないねーっだっ!」
「んだとぉ〜ッッ!?もういっぺん言ってみろッッてめぇッッ!」
「アァんっ!やんのか、性悪小娘ぇッッ!」
「ちょちょっ……二人とっ——」
いつのまにか、伊奈沢と葦羽が胸ぐらを掴み合って大喧嘩に発展していた。
胸ぐらを掴んでいないもう片方の手は相手の髪を掴んでいた。
修羅場……過ぎだよ、これぇ。




