龍は夢を見る
俺は拠点としている湖に戻ると魚を獲っていた。ここの魚は脂が乗っていてめちゃくちゃ美味い。だからここ最近の主食となっている。
魚を食べた後は魔法で遊んだりしながら、エルフ達が来るのを待つ。しかし本当に魔法というものは面白いな。もっと使える魔法が増えたらいろんなことができそうだ。
そして3時間ほど経ち日も暮れ始めた頃、ようやくエルフ達が到着した。先頭にはハイエルフのアーデルハイトの姿がある。
(とりあえずお疲れ様だな。もう日も暮れたし、結界を張っておくから休むといい。家を建てるのは明日からにしとけ。)
「ありがとうございます神龍様。」
俺は待っている間に作っておいた結界用の魔法陣を起動させ結界を張り、エルフ達に残していた魚をやり、眠りについた。
☆
そこでは2つの軍が向かい合っていた。
合図もなく唐突に始まる戦争。
大量の魔法が飛び交い、また大量の剣が振り下ろされる。
大地には赤い雨が降っていた。
それを止めるべく、2匹の龍が割って入る。
片方は全身真っ黒な鱗に覆われ、眼だけが赤く光っている。
もう片方は真っ黒な方とは正反対の光り輝く龍。
2匹の龍が戦争を止めようとするが双方の軍は止まらない。
そんな時、片方の軍から巨大な砲を持った、空を飛ぶ戦艦が現れた。
戦艦を止めるべく2匹の龍は果敢に攻めるが、攻撃が効いている様子はない。
そして巨大な砲から撃ち出されたレーザーは黒い龍に直撃、その身体に風穴を開けた。
「レイラァァァァーー!!」
最後に聞こえた声は紛れもない俺の声だった。
☆
眼が覚めるともう既に朝だった。いつもよりちょっと遅い起床だ。
何やら夢を見たようだが内容は覚えていない。唯一覚えているとすれば黒い龍だ。まぁ黒い龍しか覚えていないので、内容はわからない。
「おはようございます、神龍様。」
(おはよう、アーデルハイト。ゆっくり眠れたか?)
「地面は硬かったですけどいつもより安心して眠ることができました。神龍様のおかげです!」
(それは良かったな。今日から家を建てるのだろう?手伝えることがあれば俺に言えよ。)
「ありがとうございます!」
それから1週間後、エルフ達の村が完成した。