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軍人は出撃する

〜ソーン視点〜


俺は第五〇三魔導航空部隊所属のソーンだ。


先ずは俺のことについて話しておこうと思う。ここはアシュヴィ帝国の帝都、アーヴァンだ。そして俺はアシュヴィ帝国軍の魔導航空部隊って言うちょっと特殊なとこにいる。


魔導航空って言うのは魔石と魔力を使って空を飛ぶ乗り物のことだ。この魔導航空はめちゃくちゃすげーんだ。時速は最大200キロまで出すことができる。武装は魔導砲と焼夷弾、あとは機銃が装備されている。やっぱり一番強力な武装は魔導砲だな。


第五〇三魔導航空部隊には現在12名が所属している。4機編成三分隊が存在しており俺はそのうちの一つの分隊の隊長機として働いている。


そして今回の任務は、先日起こった謎の光の場所が判明した場所に赴き、敵であった場合は殲滅することだ。


ここアシュヴィ帝国では人間至上主義を掲げており、亜人はいない。出会った亜人は例外なく殺しているのだ。だから今回も亜人を見つけたら皆殺しにするんだろう。


これから今回の任務のブリーフィングを各部隊の隊長が集まり行う。ブリーフィングを行う場所は第3会議室を借りているらしいのでそこに向かう。


第3会議室に入るとそこには1人の男がいた。彼はオットー。俺たちの部隊纏めているリーダーであり、俺の親友だ。


「よう、ソーン。早かったな。」

「早いといっても5分前だけどな。」

「十分さ。全く、あいつも見習って欲しいぜ。」


オットーの言うあいつとはレッグのことだ。レッグはちょっとお調子者だがいい奴だ。


「遅れてすいませんっす!」


噂をすれば何とやら、レッグが入ってきた。


「1分遅刻だぞ、レッグ。」

「そんな固いこと言わないでくださいよ、オットーさん。ちょっと用を足していただけっす。」

「それじゃ、揃ったことだし明日の打ち合わせをしていくぞ。」

「はいっす!」

「おう。」

「出発は早朝、目的地はキュクロ大森林の奥地の調査だ。」

「キュクロ大森林の奥地って、未踏破エリアじゃないっすか。」


キュクロ大森林。今レッグが言った通りその森はとてつもなく広大で未だに探索が終わっていない場所だ。キュクロ大森林の反対側にはヒュペリ王国があるが、そちらも全てを探索することができないでいるらしい。


厄介なのが中央に行けば行くほど、魔物の種類は多くなり強くなっていく。そんな場所の調査となればかなりきついだろう。


「未踏破エリアだが俺たち魔導航空部隊ならいけるはずだ。なにせ魔導航空の時速は最大200キロだ。これに追いつける魔物は俺は聞いたことがない。」

「それもそうっすね。危なくなったら全力で逃げればいいんすもんね。」

「その通りだ。……ソーンどうかしたのか?」

「いや、ちょっと嫌な予感がするんだよな。胸がもやもやする。」

「なんすかなんすか!?今から修羅場でも起きるんすか!?」

「レッグ、ちょっと黙ってろ。……ソーン、お前の嫌な予感は結構当たる。だからまじでやばいと思ったら俺たちも部下も見捨ててすぐに逃げろよ。いいな?」

「……部下を見捨てるのは嫌だな。」

「諦めろ。お前だけでも情報を必ず届けるんだ。わかったな?」

「……わかったよ。」


大事な部下を置き去りにして俺だけ逃げろか…。オットーの言いたいこともわかるがこればっかりはな…。


「自分湿っぽいのは嫌いっすよ!ほらオットーさん次いきましょ、次。」

「ソーン、もしもの時は頼んだぞ。よし、あとは各自入念に整備をさせるように伝えておけ。以上だ。」

「はあ〜、やっと終わったっす。もう自分クタクタっすよ。先に失礼するっす。」

「おう、ちゃんと伝えろよ?」

「わかってるっすよ。」


そう言ってレッグは先に部屋に帰っていった。


「俺も部屋に戻るよ。お疲れ様、オットー。」

「お疲れ、ソーン。しっかり休めよ。」

「ああ。」


俺は部屋に戻って部下達にさっきの内容を伝えて横になった。


「はぁ。何も起こらないといいんだけど…。」



翌日、天気は晴れ。格好の飛行日和だ。


俺達は自分の愛機のところに行き、入念に最終確認を行う。確認を終えるとコクピットへと入り魔導無線をつける。これは魔力を使って他の機体と連絡を取り合うためのものだ。


『よし、全員準備はいいな?第五〇三魔導航空部隊出撃するぞ!』


合図とともに燃料に点火。さぁ、大空に飛び立とう。



『こちらα1、異常なし。』

『こちらβ1、こっちも異常ないっす。』


俺たちは今、キュクロ大森林の奥地の大空を飛んでいる。


俺の部隊がα、レッグの部隊がβ、オットーの部隊がΩと呼び合っている。ここまでは魔物も一度も現れず平穏な時間が過ぎている。


『おかしいな。ここまでくれば普通、ワイバーンでも出てきていそうなのに。』

『確かにな…。よし各部隊は10キロ間隔で飛行してくれ。何かあればすぐに連絡を入れろ。』

『『了解』』


俺は右へ、レッグが左に向かう。


しばらく飛行すると俺たちの部隊は大変なものを見つけてしまった。


『こちらα1。集落を発見。住人はエルフみたいだ。耳が長い。』

『こちらΩ1。了解した。すぐにそちらへ向かう。焼夷弾の準備をしておけ。焼き払うぞ。』

『こちらβ1。こっちは何もないっす。強いて言うならでっかい湖が見えてるぐらいっすかね。俺らもそっちに行きましょうか?』

『いやいい。お前達はそのまま進め。αとΩで殺る。』

『了解っす』


正直気がすすまない。帝国軍人の俺が言うのもおかしいが、彼らは彼らの生活があるのに今からそれをぶち壊そうとしている。だがそれは帝国のルール。入れは心を無にして焼夷弾の準備をする。


オットーの部隊と合流し、編隊を組み直す。横一文字になりエルフの集落の上を通過する。通過するときに焼夷弾を大量にばらまいた。


焼夷弾は火炎石を加工して作られたもので、着弾すると大体1時間〜2時間ほど燃え続けるものだ。


俺たちはエルフの集落を眺める。


『いつ見ても慣れないな…。』

『あぁ…。』


その時緊急通信が入った。


『こちらβ1!落ちるっす!機体が上がらない!うっうわああああああああ!!』

『こちらΩ1!どうした!?何があった!?』


通信が切れノイズが走る。


『ソーン!急いで離脱しろ!』

『りっ了解!』


俺は反転して全力で魔力を注ぎながら来た道を戻っていく。いや戻ろうとした。戻ろうとした時、急に機体が制御不能となった。


おかしい、最終確認をした時は一切問題は見当たらなかった。一体、何が…?いや、今はそれよりも脱出を優先しよう。


俺は緊急用のレバーを引く。これを引けばコクピットのドアが開きパラシュートで脱出できるはずだ。だが何度レバーを引いても反応がない。


そうしている間に目の前には地面が迫ってーーー

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