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光刃龍

その日、世界には光が満ちた。


万物を照らす光が満ちた。


さぁ、目覚めよ。


この世界を導くのだ。



(暗い)


俺がこの世界に転生してからの感想だった。辺りは暗闇に包まれていた。とりあえず身体を起こそうと動くと、頭を思いっきり何かにぶつけた。手の届く範囲に何かがある。それも形からして丸い何かだ。


俺はどうやら丸い何かに閉じ込められているようだ。


(こんなこと頼んだっけ?確か森に住みたいと言ったはずだが…。まあいい、今はここから脱出することを目指そう。)


どうやって出ようかと悩んでいると、先程頭をぶつけた箇所からピキっという音が聞こえてきた。何事かっ!?と思っていると徐々にピキっという音が全体に広がっていく。


(もう一度ぶつかればいけるんじゃないか?)


思い立ったが吉日。俺はもう一度頭を思いっきりぶつけてみた。すると丸い何かはパキッと割れて外に出ることができた。


「キュア!」


眩しい光が木々の隙間から差し込んでいる。周りを見渡すとたくさんの木々に囲まれていた。足元には俺を閉じ込めていた物のカケラが落ちていた。俺はそれを見てギョッとした。


(なんだよこれ…。卵…?)


足元に落ちているのは明らかに卵だった。そして俺はさらに異常なものを見てしまった。


自分の脚に金を薄くしたような色の鱗が生えていた。


「ギュァァァ…。」

(おいおい、どうなってやがるんだ?)


俺は自分の体を確認することにした。そして思った。


(俺、ドラゴンになってる…。)


額にはツノが生えており、背中には翼、腰のあたりからは尻尾が生えていた。尻尾の先は丸くなっておりふわふわな物に包まれている。体調は約2メートル程、どう見ても完全にドラゴンだった。


(それにさっきからの鳴き声…。これもしかして俺の鳴き声か?まじか、完全に人間やめてるわ…。)


人間をやめたことはちょっとびっくりしたが、それほど落ち込んではいない。


(別に人間にこだわる必要はないな。人間は嫌いだったし。)


あの世界で俺は生きる価値が無かった。この世界では誰にも干渉されず、自由にいきていく。それが俺の願い。だから俺がドラゴンになったのは僥倖だったのかもしれない。


(さてまずはどうするか。)


食べ物を探さないといけないし寝床も探さないといけない。問題は山積みだ。


(よし、水を探すか。)

「ちょっと待ってください。1つ言い忘れていたことがありました。」


移動しようと思っていた時に突然後ろから声をかけられた。俺は驚いて振り返るとガブリエルがいた。


(いつの間にいた?っていうか普通にこの世界に来れるのかよ。)

「先程転移してきました。レーベさんに1つ、この世界にはステータスというものがあります。レーベさんが前世でやっていたゲームと同じようなものです。レーベさんは鑑定というスキルを持っているのでいつでもステータスを見れますよ。自分のステータスを見るときは自分を対象に鑑定してください。以上です。それでは私は仕事がありますので失礼します。良き人生を…。」


そしてガブリエルの足元にゲームでよく見る魔法陣が現れ消えていった。おそらく今のがガブリエルの言っていた転移だろう。


(とりあえずステータスを見てみるか、鑑定)


ワクワクしながらステータスを見てみた。これが俺のステータスだ。


名前 ルミエール・ラム・ドラグイユ (レーベ)

種族 光刃龍

Lv 1

筋力 S

耐久 S

俊敏 S

魔力 S

スキル 光刃 龍の王 空の王 鑑定 千里眼 空間魔法 結界魔法 全魔法耐性 精神耐性 不老不死 擬人化


(……。チートか?というかなんで名前がレーベじゃないんだ?)


チートと思えるほどのステータスだった。名前のことも気になるがまずは気になるスキルを鑑定していく。


光刃……あらゆる光を吸収し蓄えることができる。さらに蓄えた光であらゆる物体を創造可能。


ぶっ飛んだスキルだった。


(光を吸収ってことは外にいる限り常に吸収状態じゃないか。太陽の光と月の光…。初っ端からぶっ飛んだスキルだな。)


龍の王……竜もしくは知能の高い者を眷属にすることが可能。眷属となった者はどこからでも召喚可能。さらに全ステータスを2ランク上昇させる。更に自分の持つスキルを1つだけ与えることができる。


これは仲間を作る時に便利だった。しかもステータスを2ランクも上昇は強すぎるだろう。


空の王……自分から半径100メートルを支配することができる。支配した領空は許可されたものしか飛ぶことはできない。空を飛ぶ際魔力消費無し。


魔力消費無しということは本来ならば飛ぶ際に魔力が必要なのだろう。空戦はかなり俺が有利な舞台だろう。


千里眼……全てを見通すことができる


不老不死……歳を取ることもなく死ぬことはない。


文字通りのスキルだった。


(というかこれスキルでいいのかよ…。)


人化……人間の姿になることが可能。人化している間魔力の回復量が2倍となる。


まだギルギリ人間をやめていなかったようだ。だが今のところこのスキルを使う機会はないだろう。後の鑑定、空間魔法、結界魔法、全魔法耐性、精神耐性はよくゲームで見るやつだった。


まぁ自分のステータスが異常だということはわかった。まだスキルのことが気になるがひとまずは食料と寝床をどうにかしよう。


先ずは食料からだな。使えそうなスキルは光刃、これで前世で食べたものを創造しよう。


というわけで早速光刃のスキルを使う。さっきの説明にあった蓄えた光というのを認識する。……確かに俺の身体の中に何かがある。それも2つ。1つは蓄えた光でもう1つは魔力だろう。とりあえず蓄えた光……これからも世話になると思うし光力と名付けよう。光力を使って食料を創造することにする。


昔一度だけ食べたハンバーガーにしよう。あれはかなり美味かった。俺は上手く光力を操ってハンバーガーを創造する。出来たのは巨大なハンバーガー。ちゃんと龍の食べれるサイズで創造できている。ハンバーガーは美味かった。


次は寝床だ。寝床はちゃんと安全な場所にしておきたい。ということで結界魔法の出番だ。結界の種類は2つある。1つは完全防御結界、これは自分の魔力が続く限り展開することができ大体の攻撃は防ぐことができるというもの。2つ目が刻印結界、魔法陣を4つ作りそれを基点に結界を張るというものだ。これは完全防御結界より魔力消費が減る代わりに強度が低くなるというもの。結界の強度は個人の強さに比例するらしい。


今回は2つ目の刻印結界を使ってその中を寝床として使おう。まずは周囲の木々を少し伐採しひらけた場所を作る。木を伐採する時には爪に薄く光力を纏わせて伐採していた。伐採した木は空間魔法のアイテムボックスに収納する。伐採が終わると隅の方に魔法陣を刻んで魔力を込めて結界を発動させた。これで敵が来ても時間稼ぎができるだろう。


寝床を作っている時に気づいたのだが、スキルを持っていれば知識は無くとも普通に扱えた。まるで体が覚えているような感じだった。


さてもうすぐ日が暮れそうだ。明日はこの周辺を探索することにしよう。それにステータスにあったルミエール・ラム・ドラグイユという名前。このことについてもしっかり調べていきたい。俺は尻尾のふわふわを枕に眠りについた。

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