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プロローグ
ここはとある王城の一室。外は真っ暗でもういい子は眠る時間だ。
「お母様!今日はこの絵本を読んでください!」
元気な女の子が天蓋付きのベッドで横になりながらそう言った。
「はいはい。エリーは本当に本が好きね。」
「お母様、早く早く!」
「あらあら、それじゃあ読むわね。これを読んだらちゃんと寝るのよ?」
「うん!」
そう言って絵本を読み始めた。
むかしむかし、ある森の奥深くに1匹の龍が誕生しました。
かの龍は光り輝くとても美しい龍でした。
龍は自由に生きています。
龍は誰にも邪魔されることはありません。
龍の存在は誰にも知られていません。
龍は人間を見守っています。
かの龍の名はーー
「すぅ……。」
「かの龍の名はってあら?もう寝ちゃったのね。おやすみなさい、エリー。貴女に龍の加護がありますように。」
そして最後にこう呟いた。
かの龍の名は光神龍と。
これは1匹の龍の物語。