22 シャローン姉妹拉致・・・誘拐、奪回に成功！
22 シャローン姉妹拉致・・・誘拐、奪回に成功！
22－Finder
そのライフルの弾は、スーツを着たインテリヤクザの、
胸ポケットをかすめ、右手をもかすめた。
「おい！ タバコだ！」
そう言って、ケントの箱を取り出し、言葉を付け加える！
「何もしや・・・・・しねー・・よ！」
「・・・・・・・！」
流石に、驚いた様子のインテリヤクザ！
そのまま続ける！
「解かった！・・・・解かった！！」
「お前がいては、冗談も駆け引きも通じねぇな！」
「・・・・・・そうだ！」
「直ぐに、彼女たちを解放しろ！」
勿論ライフルを発射したのは拓哉ではないが、その意向が狙撃主に、
そのまま伝わったのだろう。
「・・・・・・・！」
それにしても・・・この特殊部隊、本気の実戦部隊だ！
まさか日本に、こんな訓練された部隊が存在するとは！
こんな時勢に・・・救いか・・・・
再び無言の圧力が・・・・太平洋上の空気に浸透する！
「・・・・・・下の・・・・倉庫に！」
ついに、インテリヤクザ口を・・・彼女たちの在り処を話した。
その言葉の0.8秒後に沢田、二宮が甲板を走り降りる。
拓哉とそのインテリヤクザの睨み合いがなおも続く！
そして、一言！
「拓哉！ ・・・・お前が相手じゃ・・・俺の負けだ！」
「俺だと！・・・・・知っていたくせに！」
「まさか、お前が自ら追っ手として来るとは・・・・・」
「思わなかった・・・・さ！」
「俺には・・・・、相手がお前だと・・・初めから知っていたさ！」
「拉致された時から・・・そして身代金を・・・・・な！」
「そうか！」
「そうだ！」
「お前の本気度も・・・・よく解かった！ よ！」
「拓哉さん！ いました！」
沢田がシャローンを、二宮が妹をそれぞれ抱きかかえるようにして、
それを補佐するように、防衛省の特殊部隊がそれぞれ抱きかかえて、
倉庫の階段をゆっくり上がって来た。
拓哉、インテリヤクザを目で制してシャローン姉妹に近づき、
様子がおかしい事に気づき！
「おい、龍二！・・・・・何をした！」
拓哉ものすごい形相で、インテリヤクザの龍二を睨み付ける。
「何もしちゃーいねーよ！」
「何故だ！・・・・二人の様子がおかしい！？」
「・・・・手をつけちゃ・・・価値が下がる！ だろ！？」
「・・・・・・・本当だな！」
その会話の最中に防衛省の特殊部隊の医療班か、
そう経験のある一人がシャローン姉妹の様態を見ている。
「これは・・・恐怖による軽いショックと、船酔いでしょう！」
「そう・・・ですか！」
少し安心した様子の拓哉が尚もシャローンを見つめる。
確かに呼吸の乱れや、衣服の乱れは無いようだが・・・・
二人とも手首、足首にテープ状のもので拘束された後は見られるが、
それ以外に外見上から・・・・・何もなさそうだ！
拓哉シャローンに歩み寄り抱き抱え・・・・、
優しい声で・・・耳元で！
「シャローン！ シャローン，大丈夫か？」
その声に返事が帰ってこない！
なおも拓哉はシャローンを傍に抱き寄せ彼女の名を呼ぶ！
妹のローラも、意識がはっきりしない。
事態を重く見た拓哉、防衛省の医療関係者と相談して、
緊急搬送を決意した。
後の事は防衛省と、高速艇の若い連中に任せて一刻も二人を助けなければと、
無線で、ヘリポートのある救急病院へ搬送を決意した。
捨て台詞を龍二に投げかけて・・・
「この二人に何か合ったら・・・・・」
「殺すぞ！ 本気でな！」
「・・・・・・！？」
インテリヤクザの龍二は無言で拓哉のその言葉を聞いていた！
「よし、大至急病院へ搬送しよう！」
残った連中のヤクザの警備以外は、協力して素早くシャローン姉妹を、
拓哉の運転するＡＳ３５０型ジェットヘリに、載せた！
このヘリはドクターヘリとして使われている機種なので、
二人とも寝かせて搬送が可能だ！
拓哉はヘリの操縦席に座り、レシーバーを耳に当て、
いつも以上に慎重に機体を上昇させ、安定飛行に移った段階で、
管制官と交信を始めた！
助手席には二宮が座る！
「受け入れ先の救急病院は？」
「はい，ここからヘリで20分範囲内にT大学総合病院が OKです！」
「よし、急ごう！」
拓哉は迅速にそして、機体を安定させながらT大学総合病院へ急いだ。
ヘリの機体の横に寝かされてぐったりしている傍に、沢田が寄り添い、
意識の薄れた二人は、横にして寝かせている。
防衛省の医療関係者は医師では無いが、最適と思われる処置を施している。
ペットボトルから、水をタオルに下し聴診器で胸に当てて、心臓の鼓動を・・・
脈拍も確認している。
脱水症状が・・・・そして、
気になるのは、少し体温が高めな事だ！
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