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13-Finder

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「はい、もう良いだろう!」

 「えっ・・・もっと!」

「ねえ・・もっとーぉ・・・!!」


もはやルミは、自制が効かない状況になっている。

ルミの気持ちも良くわかる。

 必死で・・・耐えて、耐えて・・・拓哉を忘れようと・・・

拓哉に聞いて欲しくて、詩を書き、曲を作って・・・

拓哉のために歌いたくて・・・これまで必死で生きて来た。


 あの時の、美ヶ原の事が一変に蘇る。

あの時の熱き気持ちが・・・・

 少しオトなになったルミが・・・・・

“拓哉ったら、沙霧さんとずっと話してばかりで・・・・・”

“私なんか、全然相手にしてくれないんだもん!”

“いっそのこと、沙霧さんで写真を撮ったら・・・!!”

“彼女、スタイル抜群だし、美人だし・・・・・・!”

そんな言葉が蘇る!


 思いのたけをルミは拓哉に体ごとぶっつけた!

“私より、いい写真撮れるんじゃない・・・・・!!”

“拓哉は完全に、私より沙霧さんのほうを向いていたわ!”


拓哉が私を好きなことは知っていた!

でも・・・・・・

“ファインダーを通して、愛することはするよ!”

“その辺のところを、君は理解してくれないか・・・”

“もしかして・・・・、君が僕のことを好きになってくれるのはうれしい!”

違う、きっと私を愛してくれていた!


“拓哉は・・・・、愛してくれるなんて、尚更うれしい!“

“なおも、 君に誤解されるような、振る舞いを見せたとしたら許してほしい!”

“君が好きなことは、事実だ!!”

そう言ったのに・・・・

“ファインダー越しに、あなたの目が見えることがあるのよ!”

“そんな時私、あなたに愛されていると感じるわ!”

“体がジンジンして、抱かれている感じ、よ!“

“そう、もうどうにかして、・・・・って、感じ!”

“私は、拓哉の中にいるのだわ・・・、って!!”

なのに・・・・拓哉は、無言のままで・・・・

私の心を・・・・・コ・ロ・ス・・・の!


 悪天候の中、私は飛び出した!


“きっと、今まで彼女は振られた事など、決してないだろう!”

“拓哉の気持ちは不安でいっぱい!早く探さないと・・・・・・!!”

“不安が拓哉の心を押しつぶす”

“降りしきる雨の中、台風のような強い風で、時々吹き飛ばされてしまうような事もある!” 


聞こえたわ!拓哉の心の声!

“何処にいるー、・・・・  ルミ! ルミよ!!”

“視界も非常に悪い、10メートル先が風雨で見えない”

“ちょっと足を踏みはずせば、谷底へまっしぐら!”

 でも・・・しょうがなかったの! あの時の私の気持ちは!!


 沙霧さん本当にごめんなさい!

 私のために・・・・自らの命までも!

“沙霧にとって、彼女は、いちばん大切人なのだ!”

“社長に、何と申し開きをしたら良いか・・・・・・!”

“日ごろ温厚な社長が、険しい。当然だ!”

“それでも、沙霧に絶大な信頼を置いているせいか、沙霧に対しては、

それ程きつく当たらない、それが、沙霧にとってつらい!“

“沙霧の心の中には、強い意思が・・・”もしもの時は、自分の命に代えても・・・・”


本当にごめんなさい・・・わたしの・・・無知ゆえに!

“今の沙霧の体力を考えると、自殺行為に等しい!”

“かろうじて、生きている身体なのに、自分の健康状態を返り見ずに!”


“沙霧さんは、ルミさんを探しに先程、出て行かれました!”

“えっ、沙霧が捜索に出た!”


 拓哉が見つけてくれた・・・・でも!!

とっても嬉しい・・・なのに、沙霧さんを犠牲にした!

“そこに、いた・・・・・、 沙霧が! ルミが!!”

“横を向いたルミに・・・、覆いかぶさるように・・・”

“ そう、手を伸ばし抱きかかえるように 沙霧が!”


本当に馬鹿な私だった!

“既に力尽きた拓哉が、必死の形相で前に進む、やっと、二人の前に・・・・”

“声の限りに・・・声をふりしぼりながら!”

“「おい、沙霧!」 「ルミ!」「ルミ!」 「沙霧!」”


聞こえたよ、拓哉の声・・・何だか別の世界から・・・

“懸命に二人の意識を確認する拓哉!”

“なんと、沙霧はもう息をしていない!”

“続いてルミに顔を近づける、微かに息が・・・”

“すかさず、ルミの脈を診る!”


どうやら二人にあの時の過去が蘇る!

素敵な事も・・・・

悲惨な事も・・・・


拓哉これ以上長いと自分の理性が壊れてしまうのがわかる。

必死に堪えて、そのままその場を後にした。

 


「はい! そうですが・・・?」

 「あの外人さん・・・シャローさんですが・・・是非うちで!」

今電話している相手は、日本を代表する化粧品メーカーだ。

拓哉その会社で何度か仕事をもらった事があり、無下むげに断れない。

「はぁ・・・、先ず本人の確認を取らないことには・・・私の一存では・・」

 「そこを、是非・・・・拓哉さんのお力で、是非うちの目玉に・・・」

「そこまで、買って頂けるのは本人にとって光栄な事でしょう!」

「とにかく本人に確認を取りまして、改めて・・・・では!」


まあこんな電話が後を絶たない、当然電話だけでなく直接訪問も多い。

IBC(インターナショナル・ビューテー・コレクション)&

ULC(上戸ルミ・コンサート)と名乗ったこの一大イベントは、

衣装、アクセサリー、バッグ類の売り上げも相当な額になって、

メーカーは大喜び、次の開催の準備にもう話が出るくらいだ。


- -  Finder-TV-CF 13 Fin Finder-TV-CF - -


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