30-シャローン拓哉にゾッコン!
30-シャローン拓哉にゾッコン!
しばらくぶりの強烈な感動と刺激、やる気と言うかエネルギーをを貰った拓哉、
シャローンの眼も、もちろんウルウルだ。
会場を出る時、きっと二人の心は熱い高炉で混ざり合うように溶け込み、
そして1つの熱ままの金塊の様になっているのだろう。
「ねえ、拓哉素敵だったわね!」
「そうだね、シャローン!」
「やっぱ、すごい・・・、凄いとしか言えないね!」
「うん、うん、・・・」
「・・・!」
いつの間にか自然に二人ぴったり、絡み合うように寄り添う、
二人どちらからとも無く・・・。
「グルグル・・・グル・・・ル!」
「あ、ごめん、お腹ならしちゃって!」
拓哉腹を押さえて、誤る。
「ねぇ、お腹すいたね!」
「えぇ・・・」
何と、先ほどのお腹の音、実はシャローンが鳴らしたのだ。
シャローン眼にいっぱいの涙。
拓哉ってなんて優しい心遣いなんだろう。
わたしの事を、素早く自分に切り替えて、その場の雰囲気をすり替えてしまう。
そんな些細な事、でもそんな些細な事でも、
女の子の気持ちを非常に幸せな雰囲気にしてくれる。
大げさなゼェスチャーより、どんな高いプレゼントより、
シャローにとっては嬉しかった。
「どうしたんだい、目にごみでも入った?」
益々シャローン涙が止まらない。
拓哉はシャローンを優しく抱きしめた。
シャンプーのTVCMに出てきそうな長く伸びた、
滑らかな金ぴかに輝く髪を、
ゆっくりと何度も何度もなでおろした。
ブロードウエーの歩道で・・・・・・、
まるで、ラブシーンを撮影しているように・・・!
何せ木村拓哉、かなりのイケメン、それにシャローンも、
ハリウッドスター顔負けのスタイル、そして顔。
身長差は、シャローンが8センチのハイヒールを履いても、
まだ拓哉のほうが、5センチほど高い。
拓哉の、黒をすこし染めた柔らかな感じの黒と、
透けるようなゴールド、街灯に光り輝く金ぴかの髪、とてもマッチしている。
遅く劇場から出たカップルなどは、誰だろうと、
すれ違うカップルは間違いなく振り返る。
「お腹すいたね、どこか美味しいところある?」
拓哉シャローンにたずねる。
「まかせて!」
「で、何が食べたいの?」
「熱々のステーキがいいな?」
「鉄板焼きのステーキハウス、出来れば日本人向けの!」
拓哉、普通のステーキ、すなわち、地元のステーキハウスは、やはり肉が硬い。
それに、味付けも比較的大味なのを知っているので、
あえて日本人が経営する、日本風のレストランで食べたい。
「わかったわ、たぶん父が好きだった場所!」
「きっとあそこがいいわ!」
「そう・・・それなら期待出来そうだな!」
「叔母に電話して、着てみるわ!」
「私も、何度かおいしいステーキ、食べた記憶があるわ!」
「小さい時にね!」
シャローンは叔母に連絡して場所をメモした。
拓哉も地理は、早めに覚えてしまい、ほぼ場所が特定できた。
拓哉の運転する車で目的に向った。
きっちり30分で目的地に到着。
玄関は予想通り、日本調にデザインされ、
まるで、ここがアメリカだという雰囲気を忘れさせる。
給仕も着物を着て、チーフはやはり、背の高い白いハットをかぶっている。
料理の内容も、ほぼ同じ、大きく違うのは、海老がかなり大きい、
しかしあわびは無かった。
それに、大き目のいかが、適当な大きさに切られて上手そう。
何と、料理人は日本人だった。
もしかすると、日本の香莉奈の系列か、働いていた人間が、
アメリカニュークに店を出したのかも知れない。
日本のステーキ、特に松坂牛などはアメリカでもかなり人気が高く最高級品だ。
とにかく旨い、今までのステーキの概念を、覆すような感覚だ、
肉の旨み、味わい美食家にとって最高の料理だろう。
シャローンも美味しい美味しいと大喜び。
拓哉そんな情景を見て、何故か複雑な表情。
そう、ルミと会ったあの日・・・・
あの爽やかな物怖じしない態度、
一瞬ルミが頭の中に鮮明に蘇る。
「そうか、生年、年のワイン・・・」
「あの時、ルミに・・・」
すると、何と驚く事が・・・
「ねぇ、拓哉ワイン飲みたいんじゃないの?」
「えっ、どうして?」
「拓哉の顔に書いてあるもん!」
「そんな事無いよ・・・・」
「うそ、・・・」
「私がご馳走してあげる!」
「いいよ・・・、それに俺運転だし・・・」
「車は、置いて帰ればいいわ!」
「無理しないの!!」
そう言ってシャローン、ワインリストをウェイターに持ってこさせる。
「ワインは、私が決めてあげる、美味しくなくても飲んでね!」
そして出されたワインは1972年シャトー・オー・ブリオンの赤
なんと、驚いたのは拓哉
「えっ、どうして?」
「私調べたもの・・・」
「そうか! 驚いた、本当に驚いた!」
かなり嬉しそうなシャローン、してやったり、と言った感じで・・・・
拓哉はワインについても詳しい、ラベルを見て、ものすごく驚いてしまったのだ。
値段も高いが、おそらく日本で、酒屋で買っても15万ぐらいはするだろう・・・、
まして、こんなレストランで・・・
実はシャローン、始めから拓哉とディナーを共にするつもりで、
叔母からお金を多めに調達していたのだった。
「どうして、そんなに驚くの?」
「さぁ、呑みましょ、貴方のおきにめす味かどうか・・・?」
「どう言う事になっているやら・・・、拓哉困惑を隠しきれない!」
今宵は、シャローに振り回されそうな拓哉!
拓哉のグラスに、テイステングで2センチほど注がれ、
拓哉味と酷、まろやかさを味わう。
何とエレガントでまろやかな味だ、最高・・!
30数年寝かされて、今ここにその時の空気が当たり一面に、
そして拓哉の口腔内に広がる。
青く澄み切った空気大地の恵みが、まろやかな雰囲気に包まれる。
“デリシャス!” “最高!”と、拓哉絶賛の嵐!
そして、次にシャローンのグラスにも注がれ、二人はグラスを重ねる。
「乾杯 拓哉!」
「乾杯、シャローン!」
真ん中に光り輝く、シルバーの:燭台に真っ赤なローソクがすっと立つ。
時折、緩やかにオレンジの炎が揺れる。
揺れる炎が、何故かシャローンを、より一層大人の雰囲気にさせる。
何時しか拓哉、シャローに見惚れる時間が多くなり、言葉が少なくなる。
すると、シャローン、拓哉の視線に悲しそうな目線を送り
「拓哉、何故もっとお話してくれないの・・・?」
「私のことやっぱ・・・ダメ・・・?」
「違うよ、今君の瞳に吸い込まれて、言葉が出ない!」
「今、君を見ているだけで幸せ・・・とっても・・!」
「本当、本当に・・だったら、私も嬉しいわ!」
「じゃ、私も拓哉の事、ずっと見ている!」
そう言い合って暫らく二人の間で二人の空間が、
何か見えないヴェールで包まれたような感じになっている。
美味しいステーキも、魚介のステーキもそして、最高のワインも
往く時が過ぎ、何かを知らせる鐘の音で、二人はわれに帰り、
あわてて二人はさめた肉や魚介類のステーキを食べ始め、
ワインもフルボトルをほぼ空にした。
デザートのアイスクリーム、デミタスコーヒーを飲み、
二人はレストランを後にした。
二人共にアルコールを飲んでしまったので車は運転できない。
タクシーを止めて、セントラルパークに向った。
何となく二人の心は、そこへ行きたい雰囲気になったようだ。
Cap-30 ファインダー越しに恋して Fin
See you later Nozomi Asami




