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29-拓哉はシャローンと!

29-拓哉はシャローンと!


日差しの柔らかな、午前10頃のニューヨークの郊外、

セントラルパークで、拓哉とシャローンまるで、恋人のように二人よりそって、

広大な緑の芝に座っている。

シャローンはまるで夢のようだ。


 突然の幸運がいきなり、二つも舞い込んで来てしまったのだから。

ひとつは、彼女たちにとって、突然の振って沸いた様な、

かなりの金額が、彼女たちのもとへ・・・。

そしてもうひとつは、シャローンの理想的な、

最高の彼、木村拓哉の出現だ。


 シャローン、本当は彼を友人に見せびらかしたくて、しょうがないのだが、

なかなか拓哉、みんなの前に出るのを嫌かっているようだ。

だからといって、拓哉彼女を決して嫌っているのではない。


何かいつも、自分の殻に篭ってそこから抜け出そうとしない。

 その理由もシャローンはわかっている。

その事にあえて触れると、突然シャローンの前から、姿を消してしまうかとか、

嫌われてしまいそうなのが、シャローンにとって、とっても大きな心配だ。

彼女の心が張り裂けそうなのが、今の彼女の心境だ。

一体、彼にどの様に接したらいいのか、いつもシャローンの小さな心を、

悩まし続けている。 


 拓哉は長谷川ファミリーに頼んで、車を一台手配してもらった。

出かける先は特に言わない。

シャローン達もあえて聞かない。

だいたいの想像はついているからだ。

 出かける時間は早朝で、およそ2時間ほどだ。

おそらく、沙霧の若かりし頃住んでいた場所に、行っているのだろう。

そして、帰って来た日は、その後の顔が柔和になっている。

 

 ある日、清水の舞台(ここでは、ナイアガラの滝かな)から飛び込むような気持ちで、

シャローンが拓哉をブロードウエイに誘った。

拓哉、断る理由も無いので二人していく事にした。


それは、シャローンの企みでもあった。

彼の昔の事は、ネットを駆使して全力で、調べて知っていたのだった。


 ショック療法として、あえてブロードウエイに、

しかしシャローンにとって、それはとても危険な事であった。

元気の無い拓哉を勇気付けるために、

しかし目覚めてしまうと・・・

 自分の所から離れていってしまう不安感。

その重圧に、シャローンは毎日毎日耐え続けていた。

しかし、拓哉のことが本当に好きなら、

拓哉の好きな事をしてもらった方が・・・


 シャローン、毎日毎日、拓哉の事を想い、枕を濡らしていた。

大好きになってしまった彼のために・・・


「ねぇ、拓哉!」

 「なーに・・・」

何故か受け答えが優しい拓哉、そんな拓哉の返事に、

シャローン心が弾む、まるで夢見心地、

恋の世界に誘い込まれるように・・・


「ねぇ、拓哉さん!」 

彼の名を呼ぶ事が非常に楽しくてしょうがない様だ。

 「何・・」「聞こえているよ!」

「今日、楽しみましょう!」

 「そうだな・・!」

ブローウエイ(Broadway)で、“シカゴ” 午後8時を予約した。

シャローンが、一世一代の決断・・・・小さなハートで!


 今日は土曜日、早めに行く事にした。

 シャローンにとっても実は2度目なのだ、一度は小さなとき両親に連れられて、

そして彼女を誘ってくれるボーイフレンドもいなかった。

 というより、彼女はあえて度重なる誘いを断っていたのだ。


なにせ、あんな心の優しい、ましてスタイルも心も顔も、

こんなステキな彼女は、ニューヨーク中探しても、めったにいない。

今までどうして、プロダクションからスカウトが・・・

おそらく彼女は、意識的に避けていた、いつかステキな人が現れるのを待って!


そして今日がその日、本当に待っていた甲斐があったと言うものだ。

シャローンの心はもう張り裂けそう、もうどうなってもいい位の心境だ。


目的地の住所は、Ambassador Theatre219 West 49th Street

二人は、自宅を出て、拓哉の運転する車で、セントラルパークの南西の

角にあるコロンバスサークルを、通り抜け島の西側を北に向かい、

マンハッタンを南北に走りぬけたところに、目的地のブロードウェイが・・・・

そこに、到着した!

到着して駐車場に車を止め、ほっとしている拓哉だった。


今日は土曜日なので開演は2部構成。

二人の予約は8時からなので少し余裕を持ってやってきた。

小腹が減るとまずいので、拓哉は軽く軽食としてホットドックを、

近くのスタンドであえて1つ注文してシャローンと半分ずつにした。


こんな思いやり、ヤッパ拓哉の優しさかな、たったその事だけで、

シャローンは涙が出るほど嬉しい。

当然コーラも少し大きめの容器にストローが2本。

女の子はこんな仕草をたまらなくいとしいと感じるのだ。


拓也はシャローンにとって、すごく近い存在になった!

キスより抱擁より、ある時はものすごく二人きりになれた、

心が繋がった。

そう感じてしまう。


拓哉、シャローンの拓哉・・・、

ますますシャローにとって拓哉は、

かけがえの無い存在になりつつある。

もう、絶対に拓哉を他の人に渡さない。絶対に。

自分の命を賭けても離したくない。


そんな気持ちが、シャローンはあえて、抱き合っていなくても、

それ以上の愛情がシャローンはこみ上げてくる。


ホットドッグを食べ終え、コーラを右手に持ち、

ブロードウエイを歩いていると、なんとなく左手が空いた。

 その左手をシャローンはすかさずシャローンの右手を絡める。

きつく、きつく拓哉の左腕を均整の取れた右胸に押し当てる。

 拓哉は左腕にシャローの胸の感触がじかに感じられる。

そんな拓哉シャローンに誘われた事に、少し何色を示したが、

本当に来てよかったと実感している。


 ここでミュージカルシカゴのあらすじを本場アメリカの解説を抜粋して紹介する。

ミュージカルの名作です!

 1996年リバイバルとして初演のロングランミュージカルで、

トニー賞、8部門ノミネート、6部門受賞。

また同作品映画版が2003年アカデミー最優秀映画賞を受賞。

芸術賞総なめのミュージカルです。


みどころは何といっても名曲とダンスにジャズ。

特に鬼才・ボブ・ホッシ-の振り付けによるゴージャスでダイナミックなダンスは、

ブロードウェイ・ミュージカルでもこの作品でしか見られません。

物語は1926年に実際に起きた事件をベースにしたものです。


愛人を殺害した女優が、悪徳弁護士の力とマスコミを味方に付け、

無罪を勝ち取り一躍スーダムへのし上がります!

女であることを武器に、それを大いに活用すれば殺人も無罪!

また殺人も上手くやれば金儲けもできる!

というなんともアメリカ社会をコミカルに皮肉った物語です。

時は禁酒法時代。舞台は当時、闇の売人アルカ・ポネが牛耳っていたシカゴです。

ジャズ・エイジと呼ばれる1920年代のシカゴを、音楽とダンスでスタイリッシュかつ、

セクシーに描いております。

音楽では特に冒頭に登場する「Overture/And All That Jazz」は傑作です。

ストーリーも楽しく、アメリカの古き良き時代を満喫できる作品です。


 売れない若手女優、ロキシー・ハートは彼女を見捨てた愛人を殺害してしまう。

夫エイモスは、自分が犯人だとあっさりばれるような嘘をついてしまうほどのお人よし。

投獄されたロキシーを待っていたのは、ヴェルマをはじめ、

自分たちの罪を正当化し、出獄を願う女囚たち。

監察官ママ・モートンの手引きで悪徳敏腕弁護士ビリー・フリンの力を借り、

ロキシーは正当防衛の悲劇のヒロインとして、シカゴで最もキュートな殺人犯は、

一躍スターダムへと登りつめる。


ヴェルマは、新たなスキャンダルを追いかけるメディアの注目を取り戻そうと、

ロキシーに結託しないかともちかけるが、ロキシーは自らの妊娠をでっちあげ、

再び話題を独占し、調子に乗って弁護士ビリーをも解雇してしまう。


その後、囚人仲間に絞殺刑が下るや否や、あわててビリーを呼び戻した、

ロキシーだったが、そんな彼女に対してビリーは

「裁判や世間なんて、全てショーさ。あんたには超一流のスターがついている」

と安心させる。

そしてロキシーはお腹の子供を盾にまんまと正当防衛を勝ち取ったのだが、

劇的な裁判結果が紙面で踊ることはなく、

メディアは新たなスキャンダルを追いかけ続けていた…。


拓哉は食い入るように観ていた、なんとなく新しい拓哉が、

生まれそうな予感がした。

そんな拓哉を、シャローンは複雑な気持ちで見入っていた。

不安と希望拓哉の芽が異常に光っていた。

獲物を追いかけるような鋭い瞳が、完全に何かに反応したようだった。


Cap-29 ファインダー越しに恋して  Fin

          

See you later     Nozomi Asami


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