24-傷心の拓哉ニューヨークへ
24-傷心の拓哉ニューヨークへ
あても無い彷徨!
拓哉、夜明け前の海、打ち寄せる漣
何故かルミの楽屋に行けなかった。
なぜだか・・・!
“ルミのコンサートしっかり見ていたよ!”心の中で叫ぶ、
もう君は立派な歌手だ。
もう、俺なんて必要ない。
ルミに対する中途半端な俺の気持ち、
俺は俺で真剣にルミの事見ていたよ!
写真真剣に思っているから・・・・、だから本気で抱けなかった
軽い気持ちでお前は抱けない、確かに心は何度も動いたさ・・・
誰が見てもお前は最高の “レディー” さ!、
気品 ルックス 気高さ 可愛さ スタイル
雰囲気、特に回りを取り込む力、 オーラとも言うべきだろうな?
お前を抱くと、すべてが駄目になってしまいそう、
俺も、お前も・・・
あくまでも、ルミの最高の瞬間が欲しかった、
瞬間が瞬間でなくなり瞬間の一瞬の1コマが、
永遠の1コマとなる。
そんな写真をルミで撮りたかった。
あの時、沙霧に夢中になったのは、
何故か俺にもわからない。
どこか俺に棲む何かが、沙霧に向けられ、
慈愛の心が芽生えた、
何故か沙霧を幸せにしたくて・・・・・
あんなにギリギリで、突っ張って、
一歩下がれば崖下へまっしぐら、
そんな沙霧を見ていられなかった。
ルミの気持ちも理解しないで・・・、
いや、理解はしていたが、きっと許してくれる、
理解してくれると、勝手に思い込んで、
身勝手な行動に出たおかげでルミを傷つけ、
あんな危ない目にあわせてしまって・・・
本当に生きていてくれてよかった。
沙霧が最後の力を振り絞って守ってくれたのだろう、
己の命と引き換えに・・・・・
心からそう思う、沙霧よ、ありがとう、・・・よ。
おまえの気持ちはルミに届いているぞ。
沙霧よ、お前の魂必ずお前の好きだったニューヨークの
あの場所におれが届けてあげる。
おれが届ける!
夜明けが近い、横浜ベイブリッジ近くの海岸沿いを、
沙霧の遺骨を分骨した小さな細長い真っ白い陶器の器に入れ、
それを大事そうに、スーツの胸ポケットにそう、
拓哉の心臓に一番近い場所に当てて。
“沙霧、お前は今おれに抱かれている”
“どうだ、暖かいか?”
お前と、これからニューヨークだ お前の育った原点、
おれも見に行く、会いに行く
空気を吸いに、お前も吸え、
思いっきり、そうだ一緒に吸おう。
おれにも、お前の感じた雰囲気、
感じさせてくれ、そうだ一緒に、だ!
拓哉は今成田空港でチェックイン、
沙霧と一緒にニューヨークに向けて。
偶然にも、長谷川さんの義母と二人の娘も・・・・
同じジェット、同じ空間にいる。
彼女たちとは面識が無い、舞台の上から見えた3人、
挨拶を交わしたわけではない、
近くにいても気づくはずなど無い、
それに、拓哉がニューヨークへ行くなんて誰も知らない。
拓哉はチェックインに際して、チェックぎりぎりの大きさの遺骨、
しかも何度も検査され、肌身に持つことをやっとのことで許された。
その沙霧を胸に抱き、二人して太平洋の空にいる。
コンサートを終えたルミには様々なオファーがあった。
こんな人材周りが放って置くはずが無い、CDデビュー、
コンサートの追加依頼、TV出演・・・・
今は、そんな事は考えられないと丁重にお断り、
ただCDだけは、出しても良いかななんて考えが、
少しは心の隅に無いわけではないようだ。
とにかく一番残念で、心が痛むのは、
拓哉がルミに会いに来てくれなかった事だ。
後で拓哉のスタッフから、聞いた事だが
拓哉は確かにコンサートには来てくれたのは事実だ、
それだけがルミの救い。
でも、拓哉は会いに来てくれなかった楽屋まで、
拓哉のスタッフが、何度も楽屋を勧めても、・・・決して、
イエスとは言わなかったそうだ。
それに、いつの間にか姿を消してしまったそうだ、
何も言わずに・・・・・・。
拓哉はニューヨークのJFK空港に降りたち、
チェックアウトを済ませた。
そこで、まずコーヒーを一杯スタンドで飲む。
まずホテルをキープしよう、何処がいいか、
何せ飛び込むようにやって来た。
まして拓哉ニューヨークは始めて・・・・、
機内の簡単なパンフはもらったが・・・
などと考えていると・・・・・、
何と、長谷川ファミリーに呼び止められた!
長谷川ファミリーは、日本人の思わぬ配慮と待遇そして、
莫大なチャリテーの金額を、受け取る事になった事に対して、
機内で散々話していた。
そして、その感謝の相手とも言うべき人がいたのだ。
目の前を、そう目の前を拓哉が歩いているのを、
長女のシャローンが目ざとく見つけた。
何故かシャローン、拓哉の顔を見たとたん一目ぼれ、
黒髪、精悍な面構え、来日して何人かの日本人を目にして、
日本人の男性に興味を持ったのだった。
目の前の拓哉が、創造していた風貌にマッチしたのだ。
話を聞いていくうちに何と、目の前の彼が沙霧と長谷川達と、
一緒に仕事をしていた事に驚く。
まったく、こんな偶然、神に感謝しなくちゃ・・・・、
と、何度も何度も、長谷川の義母は、胸の場所で十字を切っていた。
「まったく、神の巡り会わせだわ!」
「お名前は?」
「木村拓哉です!」
拓哉日常会話は、ほぼ問題なく可能だ。
そして拓哉も本当に偶然に驚きを隠せない。
まさか、長谷川さんの娘たち、
それに義母だとは・・・・、
そう沙霧の・・・・
「良い名前ですね!」
いつの間にか話し相手は長女のシャローン
「日本で、何度か聞いた名前ね!」
「たぶん、その人とは別人です!」
「その人は・・・・、日本で、超スーパースターです!」
「その人と、同姓同名なのです。」
「そうなの?」
「でも、拓哉さん、あなたも同じ様な人になれそうよ!?」
「ありがとうございます」
拓哉、徐々に沈んだ気持ちが薄れて来た。
この幸せそうな家族に包まれて・・・・、
そこへ、思っても見なかった事を口にされた。
「あなた、せまいけど、家に来なさい、ずっといてもいいわ!」とロザリオ!
「えっ?」
「あなたなら、大歓迎よ!」
「ねぇー、“シャローン” “ローラ”、いいわよね?」
「もちろん、大歓迎よ!」
長女のシャローン大きく頷く!
「もちろん、うれしー」
妹のローラも両手を広げて大歓迎のジェスチャー
「本当ですか、それはありがたい!」
「これから、何処のホテルにしようか迷っていた所です!」
「それは、本当に良かった!」
みんなそろって大歓迎
「本当によろしいのですか?」
「もちろんよ!」
特にシャローンは喜びが半端じゃない!
じっと、拓哉を見つめる。
見つめられた拓哉、・・・・ビクッとする!
とにかく、沙霧に瓜二つなのだから・・・・・・・
拓哉何故か変な気持ちだ。
Cap-24 ファインダー越しに恋して Fin
See you later Nozomi Asami




