白峰 雪乃の一日。―中(2)編
はぁ、もう…………朝から疲れたわ。
教室に入って席につくと、後ろから声がかけられる。
「おはよう、白峰さん。」
「あら、砂塚さんも早いのね。」
一つ空席を挟んで後ろの席の砂塚さんが話しかけてくる。
「そうね、房子…………あ、うちのネコが朝早くから布団の中でもぞもぞ動いて、それで目が覚めちゃったから早く来てみたの。」
砂塚さんはアクビをしながら答える。
「へぇ、猫なんて飼ってるのね。」
てっきりタヌキかと思ったわ、なんて言いそうになってやめる。…………流石に失礼よね、それは。
すると、そんな私に気がついたのか、
「………………別にタヌキは飼ってないわよ。たまに転がり込んでくるけど。」
「………………あら、そう言う割には楽しそうね。」
「そ、そう、かしら?」
なんとなく砂塚さんがよそよそしくなる。
しばらくして
「あら、2人とも早いのね。」
後ろの空席の主、城谷さんが現れる。
「あら、あなたが遅いだけよ。」
後ろから砂塚さんが茶化すと、
「うちの部屋の小動物の世話をしてたのよ………………全く、脱いだパジャマぐらい畳んで欲しいわ。それに寝ぐせバリバリの頭で行こうとしてたから、ブラッシングしてやってたの。」
「………………それは、なんと言うか…………お疲れ様。」
「その点、白峰さん、あなたの所のは手がかからなくて良さそうね。」
「あら、そうでもないわよ?目覚まし何個かけても平然と寝てるし、ほっといたら授業放り出して丸一日寝てるような人だもの。…………練習終わったあとに起こすんだけど、ちょっと手荒にしないと起きてくれないもの。」
…………あれ、二人共ちょっと引いてる?
「て、手荒と言うのは…………具体的にどんな感じなの?」
砂塚さんが恐る恐る聞いてくる。
「………………今日は、おでこにデコピンだったわね。それも止める方。」
「………………痛そうね、それ。」
二人しておでこを抑えてる。…………失礼ね、ちゃんと右手でやったわよ?
その時、始業の鐘が鳴って、話はこれっきりになる。
…………暇、ね。
私は授業中もそんな真面目って方じゃないし、時たま足らない睡眠時間の補充はするけど…………それでも休み時間以外寝てるような望乃夏よりはマシ、なのかな?
今の時間は保健体育。これまでだったら外でマラソンとかだったのに、なんで教室の中で保健を学ばなきゃならないのかしら…………?まぁ、温かいからいいけど。
「…………で、これがこうで…………」
ふぅん、身体の造り、ね………………。大体覚えてるし寝ててもいいかしら。
ところが、この後授業はヒートアップする。
「………………で、女の子同士で愛し合う時は…………」
……………………ふぇっ!?ど、どどどどどうして、そ、そそそそそそんなことを!?
そっと見渡すと、クラスの半分ぐらいは興味津々で。………………あそこで撃墜されてるのは長木屋さんね。うわ言で何を言ってるのかしら…………。前を見ると、戸惑いながらもメモをとる沢野さん。………………マジメなのはいいけどそこまでやらなくても…………。
こっそり後ろを見ると、城谷さんは興味津々で、砂塚さんは既に撃墜されてた。………………これ、私も聞いておいた方がいいのかしら?
友情出演(?)
長木屋・沢野……………………しっちぃ様
城谷(郷奈)・砂塚(聖)………………芝井 流花様