望乃夏のメガネ3 ―雪乃(メガネの日記念)
「こ、個性的、ね…………」
「う、うるさい………………」
今、望乃夏の顔にはいつものアンダーリムじゃなくてスペアのメガネが乗ってるけど………………
「…………ニュースキャスター。」
「雪乃、次それ言ったら殴るよ?」
黒縁フレームの四角いヤツ、簡単に言えばニュースキャスターメガネだ。
「…………あ、ここ。」
望乃夏が指さしたお店に二人で入る。望乃夏が店員さんと何か話し合ってる間、私はお店の中をぶらつく。――へぇ、色んなのがあるわね。
「…………へぇ、雪乃。そういうの興味あるんだ。」
後ろから突然降ってくる望乃夏の声。思わず振り向いて…………やっぱりニュースキャスターメガネで笑う。
「…………ひどくない?」
「ご、ごめんなさい…………。」
「んもう…………そんな悪い子にはこうだぞっ。」
と、並んでいたメガネを顔にはめられる。
「ちょ、ちょっと、」
「ほら、鏡見てご覧。」
そう言われて恐る恐る鏡を覗くと、
「…………こ、これが私…………?」
「そう…………けっこう似合ってるじゃない。」
「そ、そんなことないわよ………………」
すると、望乃夏が私の肩に腕を載せる。
「…………前に聞いてきたことあるよね。なんでコンタクトにしないのって。」
「………………そうね。」
「それはね………………目に何か入れるのが怖いから。コンタクトって外し忘れたりすると最悪視力無くなるし、こう、なんか抵抗感が………………。後はね、雪乃のことをずっと見てたいから。コンタクトって外してからのメンテナンスも大変だからね、その点メガネなら外すだけだから、ベッドに入る直前まではっきりと雪乃が見れる。だからコンタクトにしないんだ。」
「…………望乃夏…………。」
私もまた、メガネを外す。
「…………折角だけど、これは私には必要ないわ。だって、望乃夏のことを直に見てたいから。」
望乃夏も軽くうなづいた。
「あ、終わったみたいだね。」
と、望乃夏がメガネを受け取りに行く。
「…………このフレームは寿命かぁ…………じゃあ同じフレームにレンズ移植してください。あ、元のフレームは…………」
「………………私が貰ってもいい?」
「え、構わないけど…………。」
「………………ありがと。」
数週間後………………
「白峰さんおはよう…………あれ、それどうしたの?」
「………………ま、たまにはこういうのもありかなって。」
私の制服の胸ポケットには、望乃夏と同じアンダーリムが収まっていた。
┌(┌'ω')┐<長くなりましたなぁ
┌(┌'ω')┐<メガネの日記念はこれで終わりです。