ドラゴンとの遭遇と新たな目標
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俺はしばらく動けなかった。
目の前には凶悪な、そう、すぐにでも自分を殺せるであろう金色に輝く龍がたたずんでいる。
それを見た俺は足が震え、力を失いペタッと宿の床にへたり込んでしまった。
しばらく呆然とその龍を見ていると部屋のドアが勢いよく開いた。
「早く王城に避難してくれ!アイツは俺らがくいとめる!」
ガイラが鎧を装備しながら部屋に入ってきて避難をしろと叫ぶ。
「王城なら魔のモノをはじく強力な結界がはってある!」
なんて御都合主義、そんなんあるなら町全体にはれよ、と思ったがそこは黙っておく。
まぁとりあえず安心な場所があるならば行くっきゃねぇ。
力の入らない足をなんとか動かし立ち上がる
そしてドアに向かい一歩踏み出す。
しかし二歩目はなかった。
それ以上は足が動かなかった。
今まで絶望したら逃げてきたのに。
勝てないと、それに打ち勝てないと思った時点で逃げる事を考えていたのに。
そうだよ...今までどうり逃げればいいんだ、めんどくさいことから逃げればいいんだよ、そう、前世のように。
逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、逃げて、.........逃げてどうする?
このままでいいのか?
本当にいいのか?
自分に問いかける。
そして、今までの自分の生き方を振り返る。
今まで嫌だった、逃げる自分が。
今まで嫌だった、無力な自分が。
今まで、嫌だった!すぐにもう無理だと、努力もせずに諦める自分が!
もう無力ではない!剣だって使える!魔法だって教えてもらった!対抗手段はあるし努力もしてきた!
あとは、最後まで諦めない強い心だけだ!
いい加減立ち向かってみよう。
負けて死ぬかもしれない。
ただなにもしないで死ぬよりは百倍いい、いや一万倍いい!
しばらく考え込んでいたので心配したらしいガイラが
「おい?聞こえるか?」
といってくる。
「大丈夫、決心した。この世界では、絶対に諦めない、そして、逃げないことを」
「この世界?」
つい口走ってしまったことを疑問に思ったらしいガイラは困惑する。
「なんでもない、気にしないで」
俺はそのことをはぐらかし行動にうつる。
さっきまで動かなかった足を動かし、ベットへ向かう。ベットの下にある引き出しを開け、胸当て、剣を取り出し装備する。そしてボサボサだった髪を一つにまとめてポニーテールにする。
そして戦うことを、争い続けることを告げる。
「私も...戦う...私も戦ってやるんだ!絶対逃げてたまるか!」
そう宣言した俺にガイラはあきれ顔でいった。
「死ぬかもしれないぞ?」
「戦って、抗って死ぬなら望むところ」
そう答えた。
心に勇気という名の小さな火が灯った瞬間だった。
ーーーー
「ゴールドドラゴンは普通あんなに大きくならねぇ、あれはゴールドドラゴンキングだ」
走りながらドレイドはいった。
なんかどっかで聞いたことがあるような...。
あっ最初ここに来たときだれかがゴールドドラゴンが東の山ででたとかいってたな...。
「ゴールドドラゴンキングは普通山を降りてこないの、降りてきた記録はない。だからいままでとくに問題視されてなかったのに...」
シーニャが続けた。
移動する間にゴールドドラゴンキングのことを聞いてみた。まとめるとこうだ。
ゴールドドラゴンキングはドラゴンを、つまり全ての龍族を支配する絶対の王なのだと。
普段は標高の高い山の頂上にいて人里には降りてこない。それ故にゴールドドラゴンキングを神として拝める人も少なくないとか。
ちなみに竜人という種族がその、ゴールドドラゴンキングを神として拝める種族なんだとか。
ドラゴンに近ずくにつれて金属同士がぶつかる音が聞こえてきた。
5分ほど走っただろうか。
急に視界が開けた。
どうやらドラゴンが踏み潰したらしい建物の上でドラゴンと30人くらいの冒険者が戦っていた。
ドラゴンが五月蝿いと言うかのようにシッポをふる。
それだけでシッポの軌道上にいた10人ほどが倒れていく。
よく見ると死体が沢山あった、もちろん冒険者達のだ、その数30以上。
そもそもドラゴンが大きすぎて攻撃が足かシッポにしか当たらないのだ
ウロコのない数少ない弱点である腹に当たるとすれば投石、弓矢、投げナイフ、ピックだろうがその全てが火力が足りてない。
魔法にしてもまったく効いていない。
俺は絶望した。しかしそれで動けなくなっていては前世と同じ、ただ一方的にやられるだけである。無力だった俺は居なくなり、力を得た俺が今はいる。
「「「うオォォォオッッ!!!」」」
「「イヤァァアァアアアッッ!!!」」
そしてガイラたちも雄叫びをあげ突っ込んでいった。
「イィヤァアァアアアッッ!」
それに続いて俺も同じく叫び、走り出す。
──ルゥァアアァァアッッ!!
ドラゴンは新たに増えた俺達に気付き、いつまでも終わらないこの現場にいらだったのか天高く吠え、尾をしならせ地面を叩く。
その衝撃で近くにいた冒険者たちの足がもつれて転んでしまう。転ばなかった冒険者も転倒しないようにバランスをとるのに必死で動けなくドラゴンの爪による追撃を避けられないようだ。
歴戦の猛者がいとも容易く吹き飛ぶ瞬間、シーニャがすかさず火球を生み出しドラゴンの目に当てることでそれを回避する。
「シッポくるぞぉお!回避だ回避ぃい!」
「爪くるっ!盾隊前に出ろっ!」
やがてパターンがわかってきたのか随分と負傷者が減ってきた。
だがしかしドラゴンの新しい攻撃方法によりその天秤は悪い方へと傾いた。
俺たちはしばらく攻撃をさけていたが、一向に攻撃が当たらなく苛立ったらしいドラゴンが頭を後ろにさげ力をため始めた。
俺はドラゴンがやろうとしていることに気づいた、ゲームでよくみたことがあったからだ。
あれはブレス攻撃!?
俺は叫んでいた、ドラゴンがわかるはずがないのに
「やめろぉおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
ーーーー
───.......。
あたりは今さっきまで響いていた戦闘音が嘘のように一切なくなり静寂に包まれていた。
まるで世界から音が消えたかのようだ。
囀いていた小鳥さえも、飛んでいた羽虫さえもが微動だにせず音をたてないよう地に降り木に止まっているかのような静けさだ。
否、その通りだった。鳥は気に止まり、羽虫は地に降り...冒険者たちは今起こっている現状に戸惑い狼狽え、しかしこれから起こるであろうことに備えじっとある一点を見続けている。
なにかおかしい?
そう判断した俺は冒険者たちの視線の先を見る。そして黄金の鋭いキバを持つ口を覗かせ頭を俺自身に下げているドラゴンの王を見て固まった。
そこには生きている仲間がいた。
自分も生きていた。
仲間たちはある一点を見たまま固まっている。
よく見ると周りの人々全ても同じ所を見ている。
俺も皆が見ているほうを見た。
そのまま固まった。
ドラゴンが俺に頭を下げていた。
まるで命令をまつ主人に尽くすシモベみたいに。
ゆっくりとドラゴンの目線をおって冒険者たちがこっちを見る。
俺が少しずれるとドラゴンの、頭もそれに伴い動く。
そこでふと思い試しに命令してみた。
「空をとんで三回回って炎を吐いて」
犬のやつを丸パクリなのは勘弁してくれ。
そう俺が命令するとドラゴンは空高く舞い上がり縦に3回回転し、炎をはいたのだ。
なんとやってくれた。
面白くなってきた俺はさらに追加で命令をしてみる。
「私を乗せて」
器用に爪を使い背中に乗せて飛んでくれたドラゴンを見てやはり意思疎通ができるのだと理解する。
さて、いま殺された人たちは生き返るのか?
でもドラゴンの王とはいえ…。
((できますよ。勇者様))
ん?
何か頭の中で響いた気がする...
それに今勇者って…
「ええええええええええええええええええええっおぇごほごほ」
驚いてむせた。
急にむせた俺を見て冒険者がポカンとしている?
((じつは...))
話を聞いてみたところどうやら魔王さんが
生け贄だとか言い配下のドラゴンを連れていって殺してしまったらしい。
んで作れたのはダンジョン一つ。
おい、魔王、あんたなにしてんの?
で生き返らせるには死体が必要だから無理というわけか。
それで勇者の力を借りて魔王を倒そうとしたのね。
なるほど...いや俺勇者だったのか!
やったぜ。
ていうか魔王倒しても復讐になるだけで何も生まれない気がするんだが。
まあいっか。
とりあえずさっき死んだ奴らを生き返らせて
もらった。
かなり冒険者たち驚いている、まあ急に150センチ程度の少女がドラゴンを手なずけ死んだ奴らを生き返らせたんだからな。
そりゃあ混乱しないほうがおかしいな。
ガイラたち、めっちゃおどろいてるな。
いやードラゴン面白いな。
他に何ができるか聞いてみたところ。
他にはないと言われた。
そっか少し残念だ。
ーーーー
「ーーにして、によることがーー...
さらに勇者としてーー...
によるとともに、門を開くためーー...」
あの騒動の後国王に呼ばれ、王城にくる羽目になった。めんどくさいったらありゃしねぇ。
なんかずーっと話してるのでとりあえず聞き流す。
この人話長いなと思いながら聞き流すこと1時間、やっと終わった。
かなり前から眠気が襲ってきている。
とりあえず宿戻ってねたい。
その日は宿に着くなりすぐに眠った。
疲れたせいかぐっすり眠れた。
ーーーー
とくにやることがないので。
剣の素振りをしていたら。
何か外がうるさいな...。
お、あれ国王じゃん。
なんかいってんな。
うっさいな...。
とりあえず宿の敷地外にいる国王にあいさつはしておく。
「こんにちわ」
そう、だいたい可愛らしく挨拶しとけば男はだいたいでれでれしてなんでもやってくれるもんだ。俺もそうだった。一見キリッとしててもどうせ心ではデレデレしてんだろ?リア充どもめ。
「おお、勇者様またお会いできてよかった、この前受けてくれた魔界への門をふさぐ魔神は倒してくれたか?」
国王は外には出さないタイプのようだ。
それにいかにも事務的連絡ですよ感をだして…
ん?
俺そんな約束したっけかな?
ああ、あれか昨日の一時間あった話で言ってたような。
あれこれやんなきゃダメかな?
別に良いよねやんなくて。
そう、逃げないと決意したけどめんどいのからは逃げるわ、ほら、自分からは危ないことに手を出さない的な?そんな感じ。
なので俺は
「そんな話、しましたでしょうか?」
ととぼけることにした。
そもそもなんで10~12歳くらいの子供にそんなことあっさり頼むかな?
確かに力持ちだし魔力も沢山あるし勇者ポジだけどゴブリンしか倒したことないよ。まあドラゴンを相手にしたことはあるけどさ。
どうにか俺が20歳になるまでに倒せば良いことにしてもらった。
倒すと約束してしまったのでいつか倒さなければいけないが...。
国王をやっとのことで追い払ったおれはシーニャに回復魔法を教えてもらった。
しかし何かうまく作動しなかった。やはりイメージが重要なようで傷がすぐに治るイメージが思い浮かばず無理なようだ。
そして俺は勇者になったが俺が勇者だというのは広まらなかった。
なんか国王のおっちゃんが手をまわしてくれたらしい。
俺は感謝した、だって皆に勇者様っ勇者様って言われるなんて恥ずかしくて死んじゃいそうだ。
ーーーー
国王いや、あのオッサンにした感謝はとりやめだ。
次の日朝からやってきて国王の命令だ、拒否権はないとかいって。
着せ替え人形にされた。
オッサン(国王)は重度のロリコンだった。
もちろん俺は脱走したがな。
ーーーー
剣を振って魔法を学習してとやってたら。
いつの間にか一年たっていた。
ガイラたちはさらに腕をあげSランクになっていた。
もちろん俺もな。
そんな感じで案外大きな事件はなかった。
ある春の日昼寝していたら頭の中に声が響いた。
((大変です!あなたのいる場所に魔王軍の幹部が近づいています))
あー久しぶりに聴いたなドラゴンくんか。
幹部かやだなめんどくさいな。
幹部ってどんぐらいいんのかな?
けっこう気楽に考えていた。
だって俺勇者だぜ、と。
あとになってとても後悔する考え方だった。