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 次の日。


 学校が休みだった。土曜日だからである。

 僕は、部活はやっていなかったから暇であった。

 部活をやらないと死んでしまう病に高校生は、かかるらしい。ただ、クラスに数人はその病から逃れられる人物もいるという。僕もその一人だった。


 目が覚めて、立ち上がり伸びをする。体のどの部分から出しているのかわからない声が不意に口からでる。

 いつもの休日だ。


 机の上に置いてある漫画の数々を、元のある本棚に戻した。

 本棚に戻し終えて、顔でも洗いに洗面所にでも行こうかと思った時だった。

 ベットの上に置いたスマホの画面が光り、メッセージを受信した。

《今日、暇?》

 

 ハルからの連絡だった。

 ハルも、もちろんは部活はやっていない。彼もまた、部活をやらないと死んでしまう病にかからなかった高校生の一人である。貴重な非検体と言っても過言ではない。

 

『《特にやることは、ないよ》……ッと』

 僕はなれないスマホのフリック操作を駆使しして文字を入力した。

 

 メッセージを入力してから30秒後に連絡がくる。

 僕はおもわず「早ッ」と声を出してしまった。

《1300 エイガ エキニシュウゴウセヨ》


 読みづらいのもさることながら、なんだか歴史を感じる文章にも思えた。

 そして、この文字を30秒で作成する彼のスマホスキルもすごいものである。僕では考えられない芸当だ。

《リョウカイシタ》

 

 僕は、返信メッセージを送りスマホをベットに放り投げた。

 


 リビングに降りていくと母さんが、朝ごはんを作ってくれていた。

 味噌汁、目玉焼き、白いご飯。海苔。納豆。

 我が家のいつもの朝食である。


「あら、今日は早いわね。休みなのに」

「休みだからこそだよ」


 僕は、テーブルの椅子に腰掛け、テレビをつけた。

 テレビのニュースは土曜日になると少し毛色が変わる。平日の月曜日から金曜日に忙しなくニュースを届けているせいか、土曜日になると少しトーンダウンし、1週間を振り返るような雰囲気の番組内容になる。

 高校生の僕にはあまりニュースの内容は正直よくわからない。経済とか政治とか。

 芸能人のニュースならよくわかる。理由は単純で、結局人と人の話。僕の身近でもよくある話だからだ。誰と誰が付き合ってるとか、誰がテストで良い点とったとか。


 朝から頬杖ついて、また難しいことを考えてしまった。いや、考えたかったわけではないのだけれど。


「今日は何か予定でもあるの?」

 母さんは、味噌汁をすすりながら僕に話しかける。


「今日は、ハルと映画を見に行く約束になってるよ」

 僕は、納豆に醤油をかけながら返事をする。


「あら。ハルくんと。それは良いわね。彼本当にかっこいいわよね。なんで、あなたなんかとお友達なのかしらね。あ、わたしにも醤油かしてちょうだい」

 僕は、醤油を母さんに渡す。


「そんなの知らないよ。まぁ、見た目はかっこいいかもしれないけど、中身は結構変わってるよ。うん。正直中身なら僕の方が100倍カッコいいかな」

 僕は、納豆をご飯の上にかけ、海苔を細かくちぎって納豆の上にまぶした。


「へぇ。人は見かけによらないと言いたいわけね。朝から良いこと言うじゃない」

 かあさんは、ご飯を口に入れてもぐもぐとしている。


「まぁね」


 朝ごはんを食べ終えると、台所のシンクに食器類を置いた。

「あ、洗い物しておいてくれる?」

 母さんは、テレビを見ながら言う。


「えぇー面倒くさい」

 僕はあからさまに嫌そうな返事をした。


「休みでしょ。ね、ほら」

「はいはい。やりますよ」


 僕は、まず水で食器類の汚れを軽く落とし、スポンジに食器用洗剤を適量かけた。

 ゴシゴシと食器類をスポンジでこすり、汚れを落としていく。

 泡がたっぷりついた食器類にお湯をかけて、泡を綺麗に流した。そのまま食器乾燥機に、食器を一つ一つ丁寧に置いていった。食器乾燥機のボタンを押すと、モーターが回転する音が聞こえ、乾燥タイムが始まったのだった。


 僕は、部屋に戻り、倒れこむようにしてベットに飛び込んだ。

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