11
先日の友達の結婚式は良かった。
旦那さんは、とてもハンサムで、えっちゃんの着ていたウェディングドレスはとても綺麗だった。
えっちゃんは、クラスでもあまりモテるようなタイプではなかった。
少し太っていたし、少しオタクっぽい子だった気がする。
男子たちも、彼女のことは異性としては見てはいる素振りなんて見せなかったし、私も特段可愛いと思ったことは無い。
そのえっちゃんが、結婚した。しかもイケメンと、である。すでにお腹に子供もいたと聞く。まさかのデキ婚。
でもきっと、彼女は家庭的で、帰ってくる旦那さんをありったけの笑顔で迎え、美味しい晩御飯をふるまってくれるのだろう。結局のところ、男性はそういう母性に魅かれることくらい私でもわかっている。
別に、イケメンと結婚することが、女子の人生の最大のテーマでは無い。
できれば、イケメンと結婚したい。
できれば、良い大学卒であればいい。
できれば、良い職業に就いていて将来有望であればいい。
【できれば】というフレーズを繰り返した結果、形成されたのが私である。
しかし、この【できれば】というフレーズも少々贅沢である。
イケメン?
高学歴?
高収入?
世の女性は、鏡で自分の姿を見たほうがいい。
イケメンと結婚したいなら、自分も綺麗になるしかない。
高学歴の男性と結婚したいなら、自分も高学歴になるしかない。
良い職業に就いた男性と結婚したいなら、自分も大企業なり公務員なりになるしかない。
こんなに複雑なことを考えてる時点で、私は結婚できないのだろうといつも思う。
『結局、結婚なんて勢いと運だよ』
会社の先輩が私に言った言葉だ(その人は、結婚後妊娠をし、そのまま寿退社をしていった)。
私が仕事についてからもう、6年くらい経つ。
28歳。行き遅れの女性といわれても仕方がない年齢になってきた。
しかし!
そんな私でも、最近、彼氏が出た。
付き合って、1週間。デートは今日が初めてだし、初めて会う。
SNSでその男性とは知り合った。メッセージアプリのグループトークに登録し、メッセージを交換し合っている間に親しくなり、付き合うことになった。私ながら、ずいぶんと若い人間の手法に基づいて彼氏を作ったなぁと思った。
しかし、こうでもしないと彼氏はできない状況にもなっていつのも事実である。
そんなにイケメンでもない。
高学歴でもなさそう。
良い職業に就いている気配はない。
でも、わたしなりに妥協した。結婚は妥協だ。
残りの人生を一人で終える気はさらさら無いのである。
私は、洗面台でいつものように化粧を整えた。
あまり、濃い化粧は嫌われる。だから、少し薄めに化粧をして、ピンク色のリップを唇に塗った。
「よし」
鏡を見ながら、自然と声が出た。
それなりに良い化粧ができた。なかなか化粧のノリは悪く無い。今日のデートは成功させたいと思った。
私は、窓の外を見る。
起きたときはそれほどではなかったのだが、今は雨が音が出るほど降っていた。化粧のノリとは正反対に、デート場のコンディションはあまり良さそうでは無い。
私は、ベージュのワンピースの上に、紺色のジャケットを羽織った。
家を出る前に、胸元から着ている下着を一瞬確認した。
「よし」
胸元を確認し、自然と声が出た(なんのだ)。
机の上に置いていたスマホが画面を光らせながら震えた。
私は、そのスマホを手にとってロックを解除して、届いたメッセージを確認した。
【今日は、映画を観ようね。13時の回でいいよね】
彼と付き合うきっかけになった映画の続編的作品が最近、公開された。
まさに、見るべくして公開した映画である。彼と少しでも距離を詰められるチャンスである。
玄関を出る際に、お気に入りの傘を一本手にとった。
柄の部分を強く握り絞めながら、私は玄関を出た。




