第26話 忘れ去られた研究所(5)
「やっぱり来おったか!お前さん方が装置を破壊した途端これだ!」
「待ってください!こうなったのもオレ達の責任です!オレ達が何とかします!」
「ならこれを使え!」
ロロスはオレにバンドのようなものを手渡した。
それは腰に巻くベルトじゃなくて頭く巻くバンドのようだった。
バンドには不思議な模様が刻まれていて特別な効果があるものだと言うのはすぐに分かった。
「これは?」
「それは洗脳バンドじゃ、頭に巻け!相手に暗示をかけられる!」
「え?」
オレは一瞬ロロスが何を言ってるのか分からなかった。
するとロロスは洗脳バンドをオレに渡した理由を話してくれた。
「ここで敵を倒しても追手はどんど現れる!意味が無いんじゃ!それより暗示をかけて虚偽の報告をさせるのが一番なんじゃ!」
「なるほど!」
ロロスの話に納得したオレは玄関に向かいながら彼にもらったバンドを早速頭に巻いた。
すると一瞬視界がぐにゃっと曲がったもののすぐにその感覚は消えて元に戻った。
「これでいいのかな…うまくやらないと」
玄関につくとオレは早速ガラの悪い二人組に遭遇した。
こいつらがここの研究を悪用しようとしているのか…やっぱり悪夢帝の手先なのか?
「おいお前!こんなところで何をしている?」
二人組の一人が大声を上げてオレをけん制する。
オレは怯む事なくヤツらに告げる。
「ここには何もないぞ!引き返すんだ!」
「何…だと?」
二人組はオレの言葉を聞いて唖然としている。
あれ?これ、ちゃんと効いてるのかな?
でもここはロロスを信じて言いくるめてやる!
「この建物もなかった!霧に包まれて迷って幻を見てしまったんだ!」
オレはその場て適当なでまかせを言い放った。
もし洗脳が効くならこれでも相手を言いくるめられるはず!
失敗したらその時はその時だ!
オレの話を聞いた二人組は一瞬話を理解するのに動きを止めた。
そして話を理解すると全く疑いもせずにオレの言葉を信じ込んだ。
「お…おう…そうだった、おい!帰るぞ!とんだ無駄足だ!」
結局、このガラの悪い二人組は何もせずに素直にこの元研究所を出て行った。
何この洗脳バンド、効果すげぇ!
「やるじゃねぇか!」
その場にはいつの間にかロロスが立っていた。
「これ、返します。有難うございました」
オレはロロスに洗脳バンドを返そうとする。
するとロロスは笑ってそれを拒否した。
「持って行くがいい!何かの役に立つ事がまたあるかも知れん。それにこれはワシには使えないんだ」
「え…でも…」
「全てこのお嬢ちゃんから聞いたよ。お前さん、世界を救うんだろう?」
ロロスはそう言って笑う。
その笑顔は経験を積んだ老人が見せる何とも言えない味わい深いものだった。
レイ、グッジョブ!!
「じゃ、じゃあ…お言葉に甘えます。有難うございます」
「それと…ワシが道案内してやるよ。道が分からないんだろ?」
「え…いいんですか?」
「どうせ装置を修理するために外に出なくちゃいけないんじゃ…そのついでじゃよ」
こうしてオレ達はロロスの好意に甘えまくって正しい道へと復帰した。
ちなみに地図にこの研究所へのルートが載っていなかったのは当時はもっと霧が深く発生していて
分かれ道辺りまで霧が隠していたかららしい。
どうせ直すんだから装置をその当時のレベルまで徹底的に直してやるとロロスは息巻いていた。
「あの爺さんならそれが出来ちゃいそうだよね」
レイがそう言って笑う。
「きっと出来ると思うよ」
オレもレイのその意見に同意見だった。
しばらく歩くと目の前に巨大な断崖絶壁が見えてきた。
立ち塞がる壁は何人たりとも通さないようなそんな威厳に満ちていた。
ここを越えないと目的の場所へは辿りつけないんだ…。
オレ達はその天然の壁のあまりの巨大さにため息すら出なかった。




