第25話 悪夢への一本道(4)
オレはそのまま着地するとレイにこの事を伝えた。
レイはすぐに納得してオレと同じようにジャンプする。
レイのジャンプ力はオレほどではなかったもののそれでもこの霧から抜け出すほどには飛べるのだ。
「みっけたー!」
上空から聞こえる嬉しそうなレイの声。
その後、ここからははっきり見えないけれどエネルギー弾が発射されたっぽい。
ドゴォォォン!
エネルギー弾が着弾して地面が揺れた。
きっとあの機械も破壊された事だろう。
スチャッ!
着地したレイはオレに向かってVサインをする。
どうやら見事ミッションコンプリートしたらしい。
流石レイさん、かーっこ良い!
「それじゃあ、今ある霧はオレが晴らすよ」
そう言ってオレは演舞で霧を晴らした。
「はぁぁぁぁぁーっ!」
ぶわわわわわっ!
一瞬の内に霧が晴れていく。
そしてまた特に何もない殺風景な景色が視界に戻って来た。
遠目にあの霧発生装置が見える、
…レイの攻撃でめちゃくちゃに破壊されてたけど。
「あの機械、調べに行く?」
「えー?罠かも知れないじゃん」
オレの提案はレイに即却下された。
まぁ、君子危うきに近寄らずって言うしなぁ。
「視界も晴れたんだし先に進もうよ!」
「じゃあ、そうしようか…」
オレはあの装置への興味に後ろ髪を引かれながらもレイの言葉通り先へと進む事にした。
そう言えば上空から見たここの地形は地図に記載されていた情報と一緒だったかな?
歩きながらオレがそんな事を考えているとレイが道の先を指差していた。
「ねぇ…建物がある…」
「え…っ?」
確か地図の通りに進んでいたなら本来この先は大きな壁があるはず。
と、言う事はもしかしてオレ道を間違えた?
しかしこの道の先にある建物にもオレは興味を持ち始めた。
「行ってみようか?」
「どうしよう?ちょっと怖いかも」
オレの提案にレイが早速拒否反応をしました。
そうしたい理由も分からなくはないんだけどもう一つの理由もあって
オレはどうしてもこの建物に行かなくちゃって思っていた。
「ほら、もうすぐ日が暮れそうだし建物の中の人に事情を話して休ませてもらおうよ」
「でも敵の建物だったらどうするの?」
そのレイの心配も最もだった。
そこでオレはちょっとカッコつけてみる事にした。
「その時は敵を倒して寝る場所を確保する!」
「やだ!かっこいい」
そんなこんなで話しながら歩いてると自動的にオレ達は建物の前にまで辿り着いていた。
その建物は意外に大きくちょっとしたセレブの邸宅のようでもあった。
これは…きっと入ってみろって神様からの思し召しだよね?
オレはそう都合よく判断して吸い込まれるようにその建物の中に入っていった。
「ちょっと、待ってよ!」
さっきまで及び腰だったレイもオレが建物に入っていったのでしぶしぶオレの後に続いていく。
ギィィィ!
建物の重厚な扉は少し重かった。
それはまるで何年も使われていないようなそんな感じだった。
「お邪魔しまーす…」
建物の中は恐ろしい程に静かだった。
人の気配なんて微塵もない。
ここの住人は一体どこに行ってしまったんだろう?




