第5話 やっぱ現実は最高だな!(2)
(青春って…何かね?)
自問自答しても仕方ないか。
普通は青春って言ったら恋愛なんだろうなぁ…(遠い目)。
格闘王タダシの息子って魔法が効いている内は多少言い寄る女子もいたけどメッキが剥がれたらみんな去っていった。
オレは所詮その程度だったんだよ。自分自身の魅力の無さに愕然とするよ。
だからつるむのもモテない同士。マニアックな話題で盛り上がるはぐれものグループの一員になってしまった。
こいつらと話のもそれなりに楽しいけど…こんなんでいいのかなぁ…(遠い目)。
(でもさすがにあの夢の話はな…)
部活は体力関係ない部活を選んだ。
囲碁部の…幽霊部員。今はもう部に籍があるかどうかも不明だ。
部的にオレはもう辞めたって事になってるんだろうな…(遠い目)。
囲碁部に可愛い子がいたら続けていたんだろうけど…現実はそんなに甘くはない訳で。
そんな訳で今日もオレは学校が終わるとすぐに帰宅。
帰って好きなアニメの動画を見るのだ。
ああ…何でもない日常最高!
「おかえり。ホットケーキ作ったから適当に食べてね」
帰ったら母さんがおやつを作ってくれていた。
この母さん特製のホットケーキ、実は結構好きなんだよね。
ハムッ!
ムグムグ…
「美味い!」
オレは素直に味の感想を述べた。
このホットケーキ、何て事はない味なんだけど妙に癖になる美味しさなんだよね。
きっとこう言うのもおふくろの味、なんだろうな。
「そう?良かった」
オレの感想には母さんはにこっと笑っている。
その話の流れでつい母さんに夢の事を質問していた。
「そういえば昨日変な夢を見たよ」
「あ、その夢のせいで今日は早起きだったのね」
「そうなんだけど…変なオモチャが出て来てさ…そいつが父さんの親友だって言うんだ」
「え…」
今までニコニコ話を聞いていた母さんがこの一言で急に真面目な顔になった。
アレ…?もしかして母さんもアサウェルの事を知ってる?
「変な夢でさ…その中で父さんが世界を救うために戦っているって設定なんだ」
「それで父さんはどうだって?」
オレの話に母さんは身を乗り出して食い気味に質問を返してきた。
それは少なくともただの夢の話に対する反応じゃなかった。
「それが…そいつが言うには悪のボスに返り討ちにあって行方不明になっちゃったんだってさ」
「…そうなの」
オレの返事を聞いて一気に落胆する母さん。