第22話 小人たちの洞窟(2)
「じゃあ、明るくなったし先へと急ぐよ!」
テンションマックスで意気揚々と洞窟の奥へと進むレイ。
オレはそんなレイの後をついていきながらアサウェルにこの洞窟の事を聞く事にした。
「この洞窟について何か情報は?」
「そうですね…かつてこの洞窟はその名の通り小人たちが住んでいたそうです」
「じゃあ今は小人たちは?」
オレがアサウェルの洞窟の詳細を聞いていたら突然レイが叫び声を上げた。
「キャアアアーッ!」
考えてみればホラー関係な苦手なレイの事だ。
洞窟内でうごめく生き物とかを見て何かと見間違えたりしたんだろう。
とりあえず叫び声の正体を確認して落ち着かせないと。
「どうした!」
「あ、あれ…」
レイが指差す先にいたものは…小人だった。
さっきアサウェルが話していた小人と同じ小人かどうかは分からないけど…。
その小人は小人と言うか…子鬼と言った方が相応しい容姿だった。
身体は小さく50cmもないかも知れない。
服は汚れてみすぼらしく顔は彫りとシワが深く狂気に歪んでいた。
こんなのが急に暗闇から現れたらビビる…オレだって大声を上げただろう。
「ア、アサウェル…」
オレは後ろのアサウェルに助けを求めた。
こんな時、一体どうすればいんだよっ!
オレの呼びかけにアサウェルも前にやって来てこの小人をその目で確認する。
「ええ…しかしこれは…私も初めて見ます」
この小人、アサウェルも知らないのか…。
しかし一体どうすればいいんだ…。
オレ達はこの突然現れた先住民を前にどう対処していいか決められないでいた。
「これ…ヤバイやつじゃないの?」
レイが怯えながらアサウェルにこの小人の事を質問する。
その顔は顔面蒼白でいつもとのギャップに笑ってしまいそうだった。
「多分大丈夫ですよ。言葉が通じるかどうかは分かりませんが」
アサウェルはそう言って小人にコミュニケーションを試みた。
「初めまして。私はアサウェルと言います。私達は決して敵対する者ではない事を保証します」
アサウェルらしいとても丁寧な挨拶だ。
さあ、この小人はどう反応するかな…。
「ふん、言葉が通じるかだと?馬鹿にするな!」
あらら…小人さんご機嫌斜めになっちゃった。
さっきの挨拶に何かNGワード入ってたかな?
「俺はお前さんと同じ変異体だ…元からこうだった訳じゃない」
この小人の話によると昔はちゃんとした人間だったがとある実験の犠牲になってこの姿になったとの事。
研究を脱走して研究職員に追われ逃げている内にこの洞窟に辿り着いたらしい。
「もしかしてあの時敵が言ってたのはこいつの事なんじゃ…」
「そうかも知れませんが…」
オレは段々話が違うんじゃないかと言う気がして来た。




