第13話 ネットの国 前編(3)
ああ…もうすぐ日が暮れる…。
ずっと建物を張っていたものの…怪しい動きは今のところなさそうだった…見逃していなければ(汗)。
酒場の情報収集でもきっと同じ場所に辿り着くはずなのにアサウェルの姿がまだ見えない。
もしかしたらこの情報はガセだったのかも?
何にせよ夢世界の住人でないオレはずっとこの世界に留まる事は出来ない。
夜になって眠らないと…現実の世界で目覚められないからだ。
そんな訳で何の成果も得られませんでした!と、言う成果を引っさげ落ち合う予定だったホテルへと戻った。
ホテルには着いたもののアサウェルはまだここには来ていない御様子…。
あの人形…本当に真面目に情報収集しているんだよな?
とりあえずものすごい眠気が襲ってきたのでオレは部屋に入ってすぐに眠りについた。
そうして現実世界のいつもの日常を経てまた夢の世界へ。
え?学校?本当に何のイベントもなくつまらなくも面白くもなかったよ。
確か期末テストがもうすぐだって言うんで授業のペースがちょっと上がったかな?
本当、どうでもいい話。
さて、現実世界そっくりのネットの国の話の続き。
夢の世界で目覚めた後、また昨日の場所に向かうと先客が。
「遅かったですね」
アサウェル先輩ちーっす。
昨夜は遅かったのに今日はやたら早いご出勤ですね。
ま、そう言う事は思っても口には出さないけど。
オレは平静を装ってアサウェルに経過を質問する。
「何か動きは?」
「もうすぐ動くでしょう…幹部が近々ここに来ると言う情報を仕入れています」
さすがアサウェルさんだぜ。ネットと違い生きた情報を仕入れているじゃねぇか…。
やっぱり情報は生の声を聞くのが一番だなとオレは思った。
ネットはどんなに最新のものでも時差があるよねぇ。
カチャ
「ちょっと事務所まで来てもらえるかな?」
オレ達が建物の出入口に注目しているといつの間にか組織の人間に周りを取り囲まれていた。
あるぇ?警戒は十分していたと思ったのに…さすがに北部のメアシアンは下っ端でも質が違う。
「ちょうどよかった。どうやって事務所に入るか考えていたところなんです…招待してくれるとは手間が省けました」
アサウェルは余裕の表情で周りを取り囲むメアシアンにそう答えた。
さすが場数を踏んでいる人形は一味違うぜ…。
「ようし…丁重に御招待しろ…」
ドサッ!
オレ達は身動き取れないように縛られて事務所の3階の会議室のような部屋に通された。
何て言うか、定番のパターンやね。
「今日は北部の支部長が来て下さる大事な日なんだよ…いい手土産が出来た」
「それは良かった…私も幹部に会って聞きたい事がありまして」
「貴様っ!俺達を舐めてると承知しないぞ!」
アサウェルとここの事務所のボスがやりあっている…。
うわぁ…まるでヤクザやん…。
悪の組織ってもっとエリートな感じの方々ばかりだと思ってたけど…この人達普通にヤクザやん。
オレはこのやりとりを見てテレビでやっていた安っぽいドラマを思い出していた。




