第10話 サーカスの国(3)
グオオオオ…オッ!
ズ…ゥゥゥゥン!
オレの攻撃を受けた熊は大きく立ち上がり…そして倒れた。
熊の身体から闇が漏れ出していく…やった!成功だ!
「アサウェル!オレ…」
オレはアサウェルにこの成果を報告しようとしたら…もう他の動物達は全て倒されていた。
ちょっとアサウェルさん…手際良すぎじゃね?(汗)
「ほう…初めてにしては上出来ですよ…」
実力の差を見せつけられてオレは何も言えなかった。
やっぱまだまだだな…オレは。
「すごい…さすがアサウェルさんです。有難うございます」
騒ぎが収まってサーカスの関係者達がオレ達の前にぞろぞろと姿を表した。
この国でもアサウェルは有名人だった。そりゃ一度世界を救っているしねぇ。
「礼はいいです…それよりあのピエロの事なんですが…」
「それが…私達にも彼の事はさっぱり…」
関係者の話によるとあのピエロは最初から部外者だったらしい。
つまり催眠術か何かでここのピエロになりすましていたって言う事か…。
「とりあえず追いましょう!」
「おおっ!」
オレ達はサーカスのテントを後にした。
しかしあのピエロ、あのまま逃げたとしたらもう探すのは無理なんじゃ…。
「やるじゃねぇーか!」
い、いたーっ!
ピエロ、オレ達がテントをを出たと思ったらいきなり視界に入って来た。
そう、まさかの待ち伏せだった。
こいつ、かなり自分の腕に自信を持っているのか?
「オレはそこらのメアシアンとは違う!」
「幹部ですか?」
アサウェルはピエロに質問する。
ピエロはまたあの邪悪な笑みを浮かべながら得意気に口を開いた。
「そうとも…俺は悪夢帝東方部隊隊長…」
「ハァ…何だ、雑魚ですか…」
アサウェルはピエロの役職を聞いてあからさまにがっかりしていた。
その様子を見てピエロは激昂した。
「こ、この俺を馬鹿にするなぁーっ!」
ピエロがアサウェルに殴りかかる。これは結構な早さだぞ。さすがに下っ端とは動きが違う。
けれどアサウェルはその攻撃を軽くかわした。格の差…だな。
とす。
「うぐぅぅぅっ!」
アサウェルの軽い手刀一撃でピエロは倒れた。
ピエロは白目をむいて泡を吹いて体を痙攣させている。
余りにもあっさりと倒れたのでオレは拍子抜けしてしまった。
オレは倒れたピエロを見下ろしながら感想を漏らした。
「本当に雑魚だった」
「いや、君相手にならちょうどいいくらいだったでしょう」
アサウェルはピエロの強さをそう分析した。
えーと、それはどう判断したらいいのかな?(汗)
「本当は君に戦ってもらいたかったのですが…まぁ仕方ないですね」
おいおい、挑発したのはあんただよ…とオレは思ったけど口には出さなかった。
正確には口に出せなかったと言うのが正解かな。
アサウェルの実力を知ってあんまり刺激させない方が得策かなって思ったんだ。
「さあ、雑魚はほっといて先を急ぎましょう」
倒れたピエロを放置してオレ達は先を急ぐ。
あのままでも誰かが適切な処置を取るだろう。
父親救出作戦はまだまだ時間がかかりそうだ。




