第10話 サーカスの国(2)
そして舞台に残されたのはオレと暴走した動物達。
おいおい、これちょっとヤバくない?
サーカスのスタッフは脱出するお客さんの誘導などでこっちまで手が回らないっぽい。
頼りの動物の飼育員や調教師は真っ先に暴走した動物達の餌食になっていた。
動物達の指導のプロが倒されているって言うのにどうしたらいいのこれ…(汗)。
オレが動物達を前に立ち往生しているとすぐにアサウェルが舞台に駆けつけた。
「これはいい修行になりますよ!」
「はいはい…分かりましたよ」
この状況でもアサウェルは軽口をたたく余裕があった。
オレはもう緊張感で一杯一杯なんですけど。
「これが終わったらあのピエロを追います!出来るだけ余力は残しておいてください」
「無茶言うね…」
動物達を前に頭グルグルなのに何か追加ミッションまで来た。
だから目の前の問題解決だけで他の事まで頭は回らないっつーの。
グオオオオオオ!
狂気の目をした熊の爪がオレに襲いかかる!
アサウェルの前にはライオンが!
「これ、正気に戻す方法はないの?あの闇を追い出すとか何か!」
「思いっきりぶん殴ってください!」
「はっ?」
「身体に宿った闇を出すにはそれが一番手っ取り早いです!」
ライオンの攻撃を交わしながらアサウェルが対処法を教えてくれた。
けどそれって結構無理めじゃね?
「まず手本を見せましょう」
アサウェルはそう言うとライオンの攻撃を紙一重で避けながら必殺の一撃を繰り出す!
「ふん!」
グオゥ!
いい一撃をもらったライオンはアサウェルの一発でその場に倒れた。
そしてその体から闇が吐き出されていく。
もわわわわ~
動物の体から漏れだした闇は外気に触れてすぐに飛散していった。
その見事な手際はまるで熟練職人の匠の技のようだった。
「もしかして過去にこう言う事を体験済み?」
「ええ…きっとその内こう言うのが日常茶飯時になりますよ」
「マジで?」
オレもアサウェルの真似をして動物を鎮めようとする。
でもねぇ…目の前にいるのは熊、なんだよねぇ。
グオオオオオ!
ひぃぃぃぃぃ!
さすがにおしっこちびりそう。
オレはその威圧感に間合いを詰められずにいた。
ドサッ!
バタッ!
オレが苦戦している間にアサウェルは次々地動物達を仕留めていく。
あ、もしかしてオレここにいなくてもいいんじゃね?(名案)
でも一度熊に敵認定されてしまった為にオレはこの場から離れられなくなってしまっていた。
(うう…早まるんじゃなかった…)
オレがちょっと後悔していると一瞬熊が視界から消えた。
危険を感じたオレはすぐに後ろに飛び退く!
グオオオオ!
スカッ!
オレが下がった瞬間熊の一撃が空を切る。
ヤバかった…判断が一瞬遅かったらミンチになっていたよコレ。
そして攻撃を空振りした熊に一瞬の隙が出来ていた。
(ここだ!このチャンスしかない!)
ハァッ!
ドスッ!
オレは渾身の力を込めて熊に一撃を放つ!
手応えは…正直よく分からない…。
オレの拳の一撃は熊の分厚い脂肪が全て吸収してしまったかも知れない。




