第9話 バナナの国(3)
御丁寧にこの飛び道具の攻撃は定期的に微妙に身体をかすめるように撃ち込まれた。
まさか?誘導されている?
敵の狙いはオレだと…分断が目的だと気付いたのは無我夢中に逃げた先が行き止まりにぶつかったその時だった。
「…あ、あれ?」
オレ、絶対絶命のピーンチ!
仕方ないので覚悟を決めてオレは振り返る…。
敵はどこだ…?
見回してもそれっぽい人物は見当たらない。
街に充満するバナナの匂いが気配を消している。
くっ…。
こんな時は確か…目を閉じて意識を集中させるんだったかな。
飛び道具で狙われているならじっとしている方が危ないんだけど…。
む!(カッ!)
何か感じたっ!
その方角を見ると飛び道具を構えている敵の姿が見えた!気がした!
臨戦態勢を取っていたオレは無意識にその方角に向けて飛び出していた。
とあっ!
夢の世界の特訓でワイヤーアクション並みの身体能力を手に入れていたオレは
ひとっ飛びで20m以上飛び出していた。
ジャンプで接近ーからのー!
必殺!狼王拳!(と言う名前のただのパンチ)
ドッギャァァァン!
たったの一撃で敵は倒れた。
こ、これが…これがオレの力かぁぁぁっ!
「…やりましたね」
気が付くとアサウェルが側に来ていた。
「アサウェル、オレ…初めてあんたを心から師匠って呼びたくなった」
「それが君の実力です、どうか自分に自信を持って」
アサウェルはオレが倒したメアシアンを調べていた。
ある程度調べた後、おもむろにオレの方を向いてつぶやいた。
「下っ端ですね…特に重要な情報は持っていないようです」
「この街にはこんなのが数多くいるんだろ?」
「ですね…我々の力をはかっているのか…長居は無用のようです」
オレ達は敵を警戒しつつ出来るだけ素早くこの国を出る事にした。
オレの反撃にビビったのかそれからは気配は感じても攻撃しようとする敵は現れなかった。
そうしてオレ達のバナナの国の滞在は終わった。
バナナの国の名物のひとつでも食べたかったけど途中で買ったバナナクレープぐらいしか食べられなかった。
流石バナナの国だけあって今まで食べたバナナクレープのどれよりも美味しかった。
「でもどうすんの?これ以上進めばどんどん敵の勢力が強くなってくるんだろ?」
「早速弱音ですか?」
「まさか!早くこの腕を披露したくてウズウズしてるよ!」
「良い返事です!」
オレのこの言葉にアサウェルは満足したようにそう答えた。
ただ今日の宿はどうなるのかな…今夜の夢はどう終わればいいのかな。
オレ達が歩いていると目の前に小さな町が見えてきた。
それは旅人を相手に生計を立てている感じの宿場町だった。
「今日はここに泊まりましょう」
アサウェルの意見にオレは賛成した。
街に入ると当然にようにアサウェルは酒場に向かったけどオレはまっすぐ宿に入ってすぐに眠りについた。
初めての戦闘は楽勝だったもののずっと緊張しっぱなしだったのでかなり精神的に疲弊していた。
ああ…また夢で眠って現実で目が覚める…。
分かってはいても違和感はまだ拭えない。
後何日か続ければ慣れるんだろうか?




